ハラム
ハラム
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ハラム
屋敷の外に出ると、空は橙色になっていて、日が沈みかけていた。 もうすぐ夜が来る。 食べられていた人(男性だった。多分あの屋敷の住人だろう。)は、屋敷の庭に埋めた。 そのおかげで隊服と手は泥だらけだ。 俺はほっとけと言ったが善逸が埋葬してあげようとか言い出した。 くそ!強者の余裕ってやつか? 気がついたら日が沈み夜になりかけていた。もうすぐ鬼が出る時間帯。 もう戦闘はこりごりだ。 帰り道、善逸はどうやって鬼の首を切ったの?とか、何の型を使って倒したの?とか聞いてきた。 本当に覚えてないのか?あの華麗で素早い技を・・・ いや、もう言いたくない。こいつの事を認めたみたいで反吐が出る。 「善逸は間違いなく逸材じゃ。」師匠の声が脳裏をよぎった。 あれはまぐれだ。たまたまだ。あいつが俺より強いわけない。 もうその言葉でしかその出来事を片付けられなくなっていた。 家に帰ると師匠がドタドタと大きな音をたて玄関まで来た。 そして俺の顔を見て泣いた。 「初任務からよく戻った。よく生きて戻った。死ななくてよかった。」と言った。 俺は喜べなかった。 鬼殺隊の隊員なのに鬼一匹も倒せなかったのだ。 けれども鬼殺隊でもない善逸が倒したなんて、情けないにもほどがある。 俺は嘘をついた。 嘘で塗り固めた。もう何百回目の嘘かわからない。 そして師匠に鬼討伐の作り話をしている内にどれが本当でどれが嘘かわからなくなっていった。 善逸と師匠は鼻息をフンフンしながら聞いている。 もし、本当の事を言ったら師匠は善逸しか見ないかもしれない。 独りは嫌だった。死ぬ時も独りは絶対に嫌だった。 あの初任務から数ヶ月がたち、任務が何回か来て、全部の任務をこなしてやった。 鬼だって倒したさ、何匹も。 けれどもあの初任務の事がいまだに引っ掛かっている。 今日は特に任務もないし、休日だったから家の縁側でゆっくりとお茶と団子を食べて・・・ 「いだいよぉぉぉ!!!!!」 すごい大きな泣き声がして、驚いたはずみにお茶をこぼしてしまった。 俺は声がした方向をにらんだ。 犯人はわかってる。 その後すぐに「じいちゃ~んたすけて~おとしあなあるよ~あしくじいた~」と、泣き声が聞こえた。 その後すぐに「コラ!そんなんで泣くんじゃない!兄弟子のようになれ!」と師匠の叫び声が聞こえる。 俺はなぜか安心した。 あんな奴があんなカスが俺を越えれるはずがねぇ。 やっぱり俺は雷の呼吸の後継者にふさわしい人間だと思っていた。 夜 師匠から呼び出され、善逸と家の中にある25畳ある道場に入り、そこにあった二枚の座布団の上に座った。 師匠が俺らの前に座り話した。 「もうワシも歳じゃ。そろそろ雷の呼吸の後継者をお前たちから選ぼうと思っておる。」 俺は一つ疑問を持った。お前たち? もしかして俺とこのカスを一緒に? 俺は心の中で何かわからないどす黒いものが生まれた。 そして師匠は 「けれど、後継を決めるのも善逸が鬼殺隊に入隊してからじゃな。」と言った。 善逸は目を見開き、魂が口から出ていた。 怖いのだろう。 そりゃそうだ、俺だって少しは怖かった。 けれど善逸は行かなきゃならない。 それがここにいる人間の定めだ。 待てよ? 善逸が鬼殺隊に入隊すればどうなる? 師匠は善逸が鬼殺隊に入隊したら喜ぶだろう。 そして、喜ぶと同時に希望を抱く。 あの最終選別から生き残ったからだ。 そして、あのカスが最初の任務で死んだり、逃げ出したりしたら、師匠もさすがに善逸を後継にしないだろう。 そして、何度も任務で生き残る俺を間違いなく後継にする。 師匠は俺を特別扱いしてくれるだろう。 流石に師匠はそこまでバカじゃない。 必ず俺を後継にする。 次の最終選別は一週間後、作戦決行だ。 一週間後 藤襲山道中 善逸はガタガタ震えながら、泣きながら歩いていた。 あいつは耳がいいから物音一つでもたてたら気づくだろう。 俺はばれないように隠れながら善逸と一緒に藤襲山まで行った。 藤襲山 やはりいつ見てもこの山は綺麗だ。 そして、ばれないように藤の花に隠れて善逸の様子を伺っていた。 あいつは道中転びまくってもう泥だらけだ。 そして、最終選別が始まると善逸は恐怖で大声で泣きながらしゃがんでいた。 あのバカ! そんな大声だったらすぐ鬼に見つかる! 案の定鬼が三匹善逸に気づき追いかけてきた。 善逸は泣きながら「じいちゃぁーーーーん!!!!」と、叫んで逃げた。 逃げ足だけは速く鬼が追い付けないほどだった。 助かった。 俺は善逸を追ってた鬼を殺した。 次の日もまた次の日も善逸に襲いかかる鬼を殺した。 すべては俺が後継になるため・・・ 最終選別が終わると生き残ったのは4人だった。 まず物静かで蝶と戯れてる少女。 そして、目付きが悪く、髪型がおかしい男。 頭に包帯を巻いてて、髪の毛が少し赤い、雲の服を着ている男。 そして、ブツブツ何かを言っている善逸。 あの調子だとあいつは生き残れなかっただろう。 先に俺は家に帰った。 師匠には長めの任務だと嘘をついていたから大丈夫だ。 善逸が入隊して何日かたった。 善逸が上の階級の奴を殴ったと言われた。 俺は恥ずかしかった。 なぜこいつが上の階級の奴を殴ったかと聞くと、俺の事をバカにしたからだとよ。 全く恥をかかせやがって。 俺はカスに背を向けて歩いた。 少し嬉しかった。 その夜師匠から呼び出しを受けあの道場に入った。 師匠から 「とうとう善逸が鬼殺隊に入隊した。そろそろ後継決めようと思う。」 善逸の初任務はまだだったが、こいつが壱ノ型しか使えないのは師匠も流石に知っている。 元柱ならわかるだろう? 師匠は 「後継はお主ら二人じゃ、どちらも長所、短所があるが、この二人なら雷の呼吸を任せてもいいと思っとる。できるならお主らの代で鬼を滅しこの雷の呼吸と言う技を無くして、平和な世界を築いてくれ。それがワシの頼みじゃ。」 は? このカスと俺と同レベルで見るんじゃねぇよ。 クソヤロウ。 俺の心の中にいるどす黒いなにかは着々とオレを蝕んで行った。 善逸の任務が来た。 任務は鼓屋敷と言う場所での任務だった。 そこで死んでくれたらありがたかった。 そして、3週間後俺は十二鬼月がいるかもしれない山、那田蜘蛛山での任務だった。 那田蜘蛛山につくと、隊員同士で殺しあいが繰り広げられていた。(それが累の母に操られていたのは俺は知るよしもなかった。) 目の前で男隊員と女隊員の殺しあいが行われた。 男隊員と女隊員はお互いに水の呼吸を使う隊員だった。 鬼殺隊の持つ刀、日輪刀。 通称色変わりの刀。 その刀は持ち主の呼吸によって色が変わる。 代表的なのは、炎の呼吸を使うものは赤色の刀になり、水は青、雷は黄色、岩は灰色、風は緑色になる。 そして、目の前の隊員の刀は二つとも青だった。 そして、女が男の腹を横に切った。 そこから桃色の内蔵がこぼれた、腸だ。 刀で切られ、腸がが裂けていて、中から茶色いものが血と一緒に流れた。 ツンと鼻につくにおい、便だ。 そして血と便が地面にボタボタ垂れた。 そして女は男の胸を突いた。 男は口からゲロと血が混ざった者をを吐いた。 女の刀は真っ赤でパッと見、炎の呼吸を使う者かと勘違いするほど赤かった。 そして、女は俺に、襲いかかり、俺は刀を構えた。 ガチィと刃物と刃物がぶつかり会う音。鳥肌がたった。 そして、俺は女の肩を切った。肩から血がピュと吹き出した後、刀が固いものに当たった。 骨だ。 俺は雷の呼吸を使って女を痺れさせた。 女は倒れ、刀が落ち、その刀を目で追い刀が落ちた地面を見ると、小さな蜘蛛が俺めがけて移動してきた。 俺はそいつらを切ったがどんどん沸いてきた。 俺はすぐに逃げた。 何時間逃げただろう。 そして、俺は月夜の下に家がぶら下がってる場所についた。 人がぶら下がっている。 いや、人か蜘蛛かわからなくなっているやつもいた。 「ちょっとでいいから一人にして!!ちょっとでいいから」 と、聞き覚えのある声が響き渡った。 木の上に登った金髪の男、善逸だ。 鼓屋敷の任務から生き残ったのか! あいつがいなかったら俺が後継を継ぐはずだった。 あの蜘蛛鬼が殺してくれたら・・・ 善逸が木からずるっと落ちた。気絶か。 俺は初任務を思いだしもう一度善逸を見た。 シィィィィとあの鋭い呼吸と共に刀を持った。 「雷の呼吸壱ノ型 霹靂一閃」 善逸は木を蹴り、鬼に向かって飛んだ。 鬼が口から謎の液体を吐き、善逸は避けた。 そして、その液体は木にビシャ!と音をたてあたり木が溶けた。 俺でも避けられるか怪しいほど急だった。 素早い動きだ。 その後壱ノ型のフォームをしたが、子蜘蛛が飛びかかり、それを避け、もう一度壱ノ型のフォームをとった。 鬼も気づいたらしい。 あいつが一つの技しか使えないことを。 次の瞬間刀から稲妻が見えた気がした。 子蜘蛛が襲いかかり、鬼蜘蛛が液体を吐いて、善逸の羽織を溶かした。 「刺せ!!もっと毒を打ち込め!!」 その言葉を合図に子蜘蛛から針が出た。 それを善逸に刺そうとし、善逸はそれを避けた。 そして、吐血をした。 俺はさっきの男隊員の吐血を思いだし吐いた。 ビリビリビリと空気が揺れた。 吐き気が収まり善逸を見ると、善逸の周辺に青白い稲妻が発生し、次の瞬間 「雷の呼吸壱ノ型 霹靂一閃 六連」 次の瞬間稲妻が木から木へ、また木へ飛び移り、そして稲妻は鬼の首と共にぶら下がっている家を貫いた。 そこにいたのは月に重なり夜を手に入れた黄色い戦士。 俺はあれが誰なのかわからなくなった。あれが善逸? 壱ノ型をここまで? 俺は怖かった。 あいつが俺を越えたような気がした。 もしかしたら、師匠は心変わりして善逸を後継にするかもしれない。 俺を見てくれないかもしれない。 背筋がこおり、顔は青ざめた。 善逸はぶら下がってる家の上に落ちた。 俺は一つの考えが浮かんだ。 あいつを殺せば俺は後継になれる・・・ 背中に背負った刀に手をかけようとした時、屋根の上に誰かが現れた。 あれは蟲柱か? 善逸の元に胡蝶しのぶが舞い降りた。 もう殺すチャンスも失った。 そして、十二鬼月下弦の伍を水柱が倒したと報告があった。 生き残った。 死なずにすんだが、あの事が師匠に知られたら俺は終わる。 だが幸運な事に善逸は重症で蟲柱の屋敷で治療中らしい。 善逸からの手紙で今すごいかわいい女の子と全集中・常中の練習をやっていると連絡があった。 あいつはかわいい子に弱いもんな。 ちなみに俺は常中を2日で覚えた。 炎柱 煉獄杏寿朗の訃報から二週間がたった。 任務のために近くの廃村を通ると目の前に帯刀した男がいた。 その男は目が六つあり、背が高く、侍のような格好をしていた。 鬼だとわかった。 俺はその時肩慣らし程度に奴と戦った。 奴の強さもまだ知らずに・・・ 中編 完
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コメント
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おもしろかったですーーーーー‼︎長文お疲れ様でした‼︎続き待ってます!
いつもこの長い文章書くのお疲れ様でーーーす!!!!!!!!