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食堂に着くと、ナムジュナが心配そうに身を乗り出してきた。
Nam
Hobi
咄嗟についた嘘。 本当は、心臓を直接掴まれたような、あの甘くて低い声を思い出して、唐揚げの味なんて全くしなかった。
放課後。一人で校門を出て、夕焼けに染まる道を歩いていると、ポケットの中でスマホが短く震えた。
立ち止まって画面を見ると、そこには見覚えのない、でも忘れられない名前。
新着メッセージ1件:ミン・ユンギ
心臓がドクン、と跳ねた。 恐る恐る指を動かして、トーク画面を開く。
Suga
それだけの、短い言葉。 でも、あんなにクールに見えた先輩が、僕がちゃんとご飯を食べられたか気にしてくれていたんだ。
Hobi
Suga
Suga
.....ね、妬ける...!?
画面を見つめたまま、僕は道端で固まってしまった。
先輩の "可愛かったから" という言葉が、呪文みたいに頭の中でぐるぐる回る。
返信が打てないまま、僕は逃げるように家に帰り、ベッドに倒れ込んだ。
(…ミン・ユンギ。あの三日月みたいな瞳の、先輩…)
暗い部屋で、スマホの光だけが天井を照らしている。
ただの挨拶なのに、何度も何度も読み返しては、熱くなった顔を枕に押し付けた。
翌日の放課後。
僕は教室に忘れ物をしたことに気づいて、一人で校舎へ戻った。
静まり返った廊下。ふと、3階から微かにピアノの音が聞こえてきた。
導かれるように階段を上がり、音のする方へ向かう。
3階の突き当たり、音楽室。
少しだけ開いたドアの隙間から、夕日に照らされた "彼" の背中が見えた。
昨日とは違う、繊細で、どこか寂しげなメロディ。
僕は息をするのも忘れて、その指先の動きに見入っていた。
不意に、ピアノの音が止まる。
ユンギ先輩がゆっくりとこちらを振り返り、僕の視線とぶつかった。
Suga
先輩はピアノの椅子に座ったまま、少しだけ意地悪そうに、でも優しく目を細めた。
Suga
逆光に照らされた先輩の笑顔は、昨日よりもずっと、僕の心をかき乱した。
家に帰っても、心臓の音がまだ耳の奥に残ってる。 暗い部屋でポツンと光った、先輩からの短い言葉。 ただの挨拶なのに、何度も読み返しては枕に顔を埋めた。 明日の朝、どんな顔して学校に行けばいいんだろう。 僕の「普通」が、音を立てて崩れ始めていた。