「義理のお兄ちゃんは恋愛対象ですかっ!? 第五話」
放課後ー。
東雲 結愛
じゃあ、私、早く帰らなきゃ!
蒼井 渚
あ、そっか。新しいお父さんと会うんだよね?
東雲 結愛
そう。あー、緊張するー!
蒼井 渚
そりゃそうだよね…。まぁ、頑張れー!
東雲 結愛
うん!
蒼井 渚
また話し聞かせてよー?
東雲 結愛
うん!渚も、部活、ファイトー!
蒼井 渚
ありがと。
なんか、すごく緊張してきた…。
はぁ…。
新しいお父さんが、こわそうな人だったら、どうしよ…。
やばそうな人だったら嫌だな…。
新しい兄弟さんも…。
意地悪な人だったら嫌だな…。
はぁ…。
私は、急いで家まで走った。
東雲 杏
ああ、結愛、お帰りー!
東雲 結愛
ただいまっ!
東雲 杏
ねぇ、リビング片づけるの、手伝ってくれない?
東雲 杏
夕方の五時くらいには来るみたいだから、それまでにお掃除を終わらさなきゃね!
東雲 結愛
分かったー
東雲 結愛
ね、ね、お母さん、今日から一緒に暮らすの?
東雲 杏
あ、えっとね、明日からお家に住んでもらおうかなと思ってるの。
東雲 結愛
そ、そうなんだ…。
東雲 杏
やっぱり、心配?
東雲 結愛
何が…?
東雲 杏
いや、帰ってきたから、ずっと不安そうな顔してるから…。
東雲 杏
確かに、不安だよね。初めて会う人がお父さんになるなんて…。
東雲 結愛
んー、確かに不安なのもあるけど、私は全然大丈夫!
東雲 結愛
それより、早くお片付け、終わらそ?
東雲 杏
そうね、結愛、ありがとう。
東雲 杏
ふー、綺麗になったわねー。
東雲 結愛
だね!
東雲 杏
それより、結愛、あとちょっとで来るから、制服から着替えてきたら?
東雲 結愛
あ、分かった!
私は、急いで制服からシンプルな私服に着替えた。
ピンポーン
東雲 結愛
あっ!
東雲 杏
来たみたい…
東雲 杏
はーい
橘 和樹
お邪魔します。
東雲 杏
和樹さん、いらっしゃい!
東雲 結愛
は、はじめましてっ…。
橘 和樹
はじめまして、橘 和樹です。君が、結愛ちゃん?
東雲 結愛
はいっ、東雲 結愛ですっ!
橘 和樹
よろしくね!
橘 和樹
あれ、夏樹、夏樹ー?
橘 和樹
ごめん、息子の夏樹なんだけど、なんかどっか行ったみたいで…
橘 和樹
挨拶するから、居るように言ったんだけど…。はぁ…。
東雲 杏
あら、そうなの?
橘 和樹
うん、多分、そのうち来ると思うから、気にしなくていいと思う。
東雲 杏
でも、心配だわ…。あ、そうだ、結愛、玄関で待っていてあげて?
東雲 結愛
あ、うん、わかった。
橘 和樹
よろしくね。
東雲 結愛
はいっ。
新しいお義父さん…、意外と優しそうな人だな…。
良かった…。
とりあえず、玄関前で待ってたらいいかな…?
玄関前でふらふらとしていたら…。
橘 夏樹
ん、東雲か…?
東雲 結愛
え、あっ!!!
東雲 結愛
た、橘先輩っ!!
東雲 結愛
ど、どうしてここに…?
橘 夏樹
え、親父から隠れてた。
東雲 結愛
え、隠れる…?なんでですか…?
橘 夏樹
え、いや…なんつーか。
橘 夏樹
気まずくて…。
橘 夏樹
んで、東雲はなんでここに?
東雲 結愛
えっと…ここ…私の家だから…。
橘 夏樹
え…、まじ?
東雲 結愛
はい…。
橘 夏樹
え、待って、お前の母さんって、東雲 杏さん?
東雲 結愛
あ、はい…、え、なんで知ってるんですか…?
橘 夏樹
え、まじかよ…。
東雲 結愛
?
橘 夏樹
え、じゃあ…、え、いや、まさか…
東雲 結愛
ど、どうしたんですか…?
橘 夏樹
いや…、え、多分、俺ら、兄弟になるわ。
東雲 結愛
……ふぇっ!?
橘 夏樹
いや、なんか、親父が再婚するから、その挨拶でここの家に来いって言われてて、
再婚相手の名前が、東雲杏さんらしくて…。
東雲 結愛
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
橘 夏樹
ちょっ…近所迷惑…。
東雲 結愛
あ、すっ、すみませんっ…え、
東雲 結愛
きょ…きょ、きょ…きょう…兄弟…!?
橘 夏樹
多分な。
東雲 結愛
…嘘……!?
東雲 杏
結愛ー?大きな声がしたけど、どうしたの?
橘 和樹
大丈夫?
橘 夏樹
あ…、やべ…。
橘 和樹
あ、夏樹、どこに居たんだ…?
橘 和樹
挨拶するから、ちゃんと居るように言ったじゃないか。
橘 夏樹
…ごめん。
橘 和樹
……。
橘 夏樹
……。
東雲 杏
あ、そっ、それじゃあ…、お家に入りましょう!
橘 和樹
そうだな。
東雲 杏
えっと、夏樹くんよね…?夏樹くんは、結愛の部屋でゆっくりしていてね?
東雲 杏
結愛、案内してあげて?
東雲 結愛
あ、はーいっ!
東雲 結愛
えっと、橘先輩、こっちです!