真理
ちょっと!
キャンバスが
動かないでよ
キャンバスが
動かないでよ
奈々
ふふっ…
頭も制服も黄色で
面白いね
頭も制服も黄色で
面白いね
裕子
いいなー!
私も塗らせてー!
私も塗らせてー!
久美
ちょ!あはは!
黄色と青で
緑になったー!
黄色と青で
緑になったー!
美咲
…
ごめんね
ごめんなさい
美咲
…ごめ…ん…
奈々
ねぇ起きてよ!!
美咲
ん?
奈々
起きろって!!
美咲
!?
美咲
ここは…どこ?
奈々
美咲!!
大変なの!これ!
大変なの!これ!
美咲
えっ?
裕子
んー…まだ眠い
久美
何ぃ?うるさいなぁ…
真理
ん…どうしたの?
美咲
皆、起きて!
奈々
そうよ!大変なの!
真理
…頭がぼーっとする
裕子
私も
久美
ここは…
何?教会?
何?教会?
美咲
…
確かに教会みたい
薄暗い部屋に 十字架や蝋燭が並べてある
何だか不気味だが
それよりも…
美咲
それよりも
大変なの!
大変なの!
奈々
私達…手が!
久美
!?
え、何これ!?
え、何これ!?
裕子
手が縛られてる!?
真理
これ、手錠だわ…
私達は後ろ手にされて、 手錠が掛けられていた
あまりの出来事に、 頭が恐怖で支配される
美咲
どうして?
何でこんな事に…
何でこんな事に…
奈々
飲み物に睡眠薬が
入っていたのかも
入っていたのかも
裕子
睡眠薬!?
私達、誘拐された!?
私達、誘拐された!?
真理
そう…みたいね
久美
嘘でしょ!?
荷物も無い!
スマホも…無い!
助けてー!!
荷物も無い!
スマホも…無い!
助けてー!!
美咲
お、落ち着いて…
落ち着いて…
落ち着いて…
奈々
美咲の言う通り、
落ち着いて!
幸い足は自由だしね
落ち着いて!
幸い足は自由だしね
裕子
あ、本当だ歩ける
奈々
脱出できる場所を、
探してみよう?
探してみよう?
久美
そ、そうね!
真理
分かったわ
美咲
…うん
私達は 部屋中を調べた
だけど…
真理
脱出できそうな場所…
無いわね
無いわね
久美
助けて!助けて!!
美咲
…どうしよう
奈々
出入り口は、
この扉だけ…か
この扉だけ…か
部屋には扉が一つ
蹴っても体当たりしても、 びくともしなかった
裕子
ねぇ、この同窓会の
主催者って誰?
主催者って誰?
久美
真理じゃないの?
真理
だから、
違うってば
違うってば
美咲
でも、それじゃあ…
その『主催者』が
私達を誘拐したの?
その『主催者』が
私達を誘拐したの?
奈々
一体、誰が…
ある予感が 私の頭を掠めた
でも、そんな… 信じたく無い
美咲
…まさか
あの子…
あの子…
真理
あれ何?
美咲
っ!
どうしたの?
どうしたの?
真理
扉の前に
紙が落ちてる
紙が落ちてる
久美
本当だ…
さっきまであった?
さっきまであった?
奈々
無かったと思う
美咲
メモみたいだね?
何か書いてある…
暗くて読めない
何か書いてある…
暗くて読めない
久美
手が後ろにあると、
取れない…!くそっ!
取れない…!くそっ!
裕子
私、目が良いから
読んであげる!
えっと…は?
読んであげる!
えっと…は?
美咲
何?
何が書いてあるの?
何が書いてあるの?
奈々
早く読んでよ!
裕子
裕子
懺悔の時間です。
さぁ、皆さん
罪を償いましょう。
さぁ、皆さん
罪を償いましょう。
美咲
え?
真理
何ですって?
裕子
だから、
そう書いてあるの!
そう書いてあるの!
久美
懺悔?
美咲
罪を…償う
裕子
懺悔したら、
ここから出られるの?
ここから出られるの?
奈々
ミッション…
みたいな事かも
みたいな事かも
真理
はぁ…何かある?
懺悔したい事
懺悔したい事
裕子
うーん…
奈々
…私はある
美咲
奈々?
久美
まさか、
真面目に答えるの?
真面目に答えるの?
奈々
ここから出られるなら、
何でもするわ
何でもするわ
美咲
うん…そうだね
真理
それで?
奈々の懺悔って?
奈々の懺悔って?
奈々
私…
結婚して小学生の
息子がいるの…
結婚して小学生の
息子がいるの…
美咲
あ、そうなの?
久美
意外と子供が
大きいんだね
大きいんだね
裕子
こんな時だけど、
おめでとー
おめでとー
奈々
…それで
真理
それで?
奈々
息子は
私立の小学校で、
お受験だった
私立の小学校で、
お受験だった
美咲
わぁ、すごいね
奈々
ぜ、ぜ、
絶対にその学校に
入れさせたくて…
絶対にその学校に
入れさせたくて…
久美
奈々?大丈夫?
真理
入れさせたくて、
どうしたのよ?
どうしたのよ?
奈々
奈々
裏口入学…しました
美咲
!?
裕子
マジ!?
真理
思っていたより、
衝撃的ね
衝撃的ね
久美
裏口入学って…
本当にあるんだ
本当にあるんだ
奈々
うぅ…ごめんなさい
美咲
奈々…
奈々
旦那の親戚に
コネがあって…
お金を積んで、
入学させました
コネがあって…
お金を積んで、
入学させました
美咲
…
久美
なんか、
何て言ったら良いか…
何て言ったら良いか…
裕子
でも、
犯罪じゃないよね?
犯罪じゃないよね?
真理
そうよ…
コネも実力のうち
コネも実力のうち
奈々
…
奈々は俯いて 涙を流していた
息子の為とは言え、 辛かったのだろう…
後悔しているように見える
美咲
奈々…
懺悔してくれて、
ありがとう
懺悔してくれて、
ありがとう
裕子
奈々に勇気もらった!
次は私ね!
次は私ね!
久美
ゆっこも何かあるの?
裕子
あるよ!
とびきりのやつ!
とびきりのやつ!
真理
教えてよ
裕子
実はー
美咲
…実は?
裕子
会社の部長と
不倫してまーす!
不倫してまーす!
美咲
!?
久美
ちょ、やば!
奈々
裕子は未婚でしょ?
相手が既婚者なの?
相手が既婚者なの?
裕子
そーだよ!
だから部長が、
離婚してくれるのを
待ってるの!
だから部長が、
離婚してくれるのを
待ってるの!
真理
それ、懺悔?
悪いって感じてる?
悪いって感じてる?
裕子
もちろんだよ!
家庭を壊そうと
してるんだもん!
家庭を壊そうと
してるんだもん!
美咲
何で、浮気なんて
裕子
略奪愛最高!
私、略奪しないと
燃えないんだよね!
私、略奪しないと
燃えないんだよね!
久美
最低…
奈々
裕子…反省して
裕子
はぁ?
お説教とか嫌い
お説教とか嫌い
美咲
ゆっこ…!
裕子
チッ…
はいはい、
私が悪いですー
はいはい、
私が悪いですー
ゆっこは不貞腐れたように 頬を膨らませた
その仕草は 昔から変わらない
久美
じゃあ…私も
真理
何かあるの?
久美
いや、あの…
美咲
久美?
久美
やっぱり無し!
やめる!
やめる!
裕子
ちょっと!
ズルいよー!
ズルいよー!
奈々
全員言わないと!
久美
でも、私は…その
美咲
大丈夫だよ久美…
誰にも言わないから
誰にも言わないから
真理
そうよ、
私達だけの秘密よ
私達だけの秘密よ
久美
…
久美
私、結婚して
子供も出来て、
仕事もしているの
子供も出来て、
仕事もしているの
裕子
え、何?自慢?
奈々
どこが自慢なのよ?
裕子
未婚の私には、
羨ましい話しなの!
羨ましい話しなの!
美咲
久美、それで?
久美
…仕事は小さな工場の
経理事務で…
経理事務で…
真理
うん
久美
私の旦那、
稼ぎ少ないし…
子供の習い事とか、
出費が多くて…それで
稼ぎ少ないし…
子供の習い事とか、
出費が多くて…それで
美咲
…まさか
久美
少し…経費の数字を…
変えて入力して…
変えて入力して…
裕子
横領したの!?
奈々
嘘でしょう?
久美
だって!
本当に困ってたから!
最初は数万だったけど、
それが積もり積もって…
本当に困ってたから!
最初は数万だったけど、
それが積もり積もって…
美咲
い、いくら横領したの?
久美
…300万くらい
真理
よくバレないわね
久美
社長は私の事、
信頼しているから
信頼しているから
裕子
立派な犯罪じゃん?
私より酷いね
私より酷いね
奈々
流石に引くわ
久美
…
美咲
…久美
久美は唇を噛み締めて 顔を背けた
その姿は
自分の未来に 絶望しているように見えた
真理
じゃあ…
次は私?
次は私?
裕子
真理の懺悔?
えー!興味ある!
えー!興味ある!
真理
うーん、
思い浮かばないけど
思い浮かばないけど
奈々
何でも良いから、
思い出せない?
思い出せない?
真理
そうねぇ
真理は考えた素振りを 見せた後
真理
あ!
嬉しそうに 声を上げた
そして…
真理
人を殺したわ
明るい声で そう告げたのであった
つづく