店長
はい、つくね3本!!

松本
はいよォ!!つくね3本!!

美月
はぁ〜今日も忙しめ!

店長
よし、もう22時か!

店長
美月!上がっていいぞ!

美月
はい!

美月
(ふぅ…今日も疲れたな…)

松本
美月、もう上がるん?

この人は一緒に働いている松本さん。
よく声をかけてくれるいい人なんだけど…
美月
ま、松本さん…

松本
気ぃつけて帰りや。

美月
は、はい。ありがとうございます。

松本
次来る時は気ぃつけて来ぃや。

松本
次来てまた帰る時は気ぃつけて帰りや。

松本
次来てまた帰ってまた来る時は気ぃつけて来ぃや。

美月
は、はい。じゃあお先に失礼します。

松本
( -ω- ´)フッ

松本さんはいつもこんな感じなの。
年齢もよく分からなくて、謎が多い人。
噂によると今年で42歳だって聞いたけど…
美月
はァ、はァ、

美月
ずっとつま先上げてると疲れるなぁ

松本
美月ぃ!!!

美月
キャッ!!

美月
松本さん!?!?

松本
今ちょうど客いいひんねん!

松本
客来るまで話ししよや!!!

美月
早くお店に戻って下さい!!

美月
店長に怒られますよ!

松本
あぁ…、店長ならもうええねん。

美月
えっ?

松本
店長の話しに来たんとちゃうねん。

美月
いや店長はいいって…そんなわけないですよ!絶対怒られますって!

松本
チッ…うっさいのぉ

松本
店長店長うっさいのぉ!

松本
のぉ?

美月
もう何言ってるか分かりません!

美月
とにかく戻ってください!

美月
ていうか、なんでずっと着いてこれるんですか!

松本
はははははは

美月
なんなのこの人!?

美月
(おかしい!私に追いつけるのも、私にずっと着いてくるのもおかしい!)

美月
(ありえない…だって私は…私は…)

そう、美月はローラー付きシューズで坂道を下っていた。人間の走りでは到底追いつけないはずの速度が出ていたのだ。
美月
なんで着いてこられるのよ!!

松本
ぼくも

松本
いっしょやで

松本
いっしょのローラー

松本
体重が重い方がスピードが乗るねんねん

松本
ぼく、150㌔ありまんねん。

美月
気持ち悪いっ!!!!

松本
ひゃくごじゅうやでぇ??

松本
わかる?ひゃくごじゅう。

松本
5が30こでひゃくごじゅう。

松本
3が50こでひゃくごじゅう。

松本
みつきが3こでひゃくごじゅう7

松本
あは

松本
ぶち殺すぞ

美月
ヒィィィィっっっ!!!

先程まで必死に逃げていたせいで
気づかなかったが、松本の両手には
イタリア料理に使われる半月型の包丁
「メッツァルーナ」が握られていた。
松本
ひぃぃぃぃぃっっっ!!

松本は美月の真似をして叫び、
美月を突き飛ばした。
松本
いひひひひひひひ

松本
IPPONグランプリチェアマンの実力、みせたるさかいに

美月
もうやめて!もうこれ以上は…!

松本
かくにのかくにん…うふふっ!

松本
いっぽぉぉぉぉぉん

そう叫ぶと松本は、美月の四肢を1本ずつ切り落としていった。
松本
てんきのてんきん…あはあは

松本
いっぽ〜ん

松本
こうしのきこうし

松本
いっぽん?

松本
みつきのやみつき……!

松本
いっぽぉぉぉぉぉをん!!

美月は四肢をもがれ、抵抗することも出来なくなっていた。
美月
ぁがっ…痛い…いたいっ

松本
居たい?いっしょにいたい?

松本
遺体?ころしてほしい?

松本
言いたい?なにかいいたい?

美月
だれか…たすけて…

もはや力のない声は、お茶の間に流れる
IPPONグランプリの音にかき消された。