花 「それは植物の花ではなく 人間が生まれ持った才能のことである それは最初は蕾のままだが 努力することで より大きく綺麗な花を咲かせる」
俺が昔作った小説に書いてあった
それを見て俺は鼻で笑った
なんともまあ馬鹿げたことを。
ぺらぺらとめくり次のページを読む
すると隣から
「それ君が書いたの?」
いつも屋上に来ると何かとくっついてくる奴がいた
そうだよ俺が昔書いたもの
一通り目を通し俺に言った
「君にも蕾はあるの?」
一瞬言葉が詰まったが
そうだな
昔はあったと思う
けど
俺は自分でその蕾を刈り取った
そう言うと彼は目を丸くして
「なんで?なんか理由あったの?」
と大きい声で言った
俺は元々書くのが好きだ絵も好きだ
けどどれだけ書いても上手くならなかった
ということは俺はその蕾を咲かせることが出来ない
なら持っていても無意味だ
刈り取ってしまった方がいい
するとそいつは
「そんなのあれじゃん、鳥が飛べないから羽を切り落として 死にかけながら地面を歩くのと同じじゃん」
確かに俺がしたことは飛べるはずの羽を切り落とすのと同じだ
けど飛べない羽はただの飾りに過ぎない
だったら俺は死にかけながら地面を歩く
そう言うと彼は悲しそうな顔をして
「僕は君の書いたその小説」
「売っているなら買っていたよ」
そう言い残し教室に戻って行った
この小説が売られていたら買っていた
その言葉は皮肉にも俺を泣かすには充分すぎた
否定され上手くならず自分から取った蕾を
もう一度咲かせることはできるのだろうか
もしできるなら
誰 か の 為 に 咲 か せ た い
コメント
3件
同じ絵は2度と描けないのに、求めてくるプレッシャーと同じくらい苦しいよね。
昔の俺は 誰だって花はあるんだ 努力すれば咲くんだと そう思っていましたが 中学になると それは間違った考えだと思い知りましたね 花を咲かせるために練習した絵も 成長は止まってしまい 上手くなることはなく むしろ下手に見えてしまうし だったらもうやめてしまおうと、まあ無理なんですけどね笑 昔から書いていたものを辞めるのは少しモヤっとするので 試行錯誤しながらでも描こうかなと 心配されない程度に笑