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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

鏡ココ

なんだか騒がしいな

鏡ココ

打撃の音よりも、
叫び声の方が良く聞こえてくる

鏡ココ

もしかしてお前んとこのボス、
やられたんじゃねーの?

そう言って彼は嘲笑し、目の前で両膝をつくココを見下ろした。

彼の顔には殴られたであろう痣が、 いくつも刻まれており

撃たれた右肩を、 力のない手で押さえていた。

ココ

んなわけねぇだろ

ココ

ああ見えてうちのボスは、
結構諦めが悪いんだよ

ココ

叫び声はお前のボスじゃねぇの?

鏡ココ

へぇ、言ってくれるじゃねーか

鏡ココ

この後死ぬってのに、偉く余裕があるな

ココ

勝手に人の死期決めてんじゃねーよ

ココ

死ぬのはテメェだ

そう言ってよろよろと立ち上がり、 ココは足元にある銃を拾い上げる。

ココ

にしても、もう少し手加減しろよ…

ココ

徹夜デスクワークと夢の失踪で、
身も心もボロボロなんだぞ

鏡ココ

それは配慮が足りなくて悪かったな

鏡ココ

まあでも俺が引き金を引けば、
その苦しみから逃げられるぞ

鏡ココ

良かったな、九井一

ココ

嬉しい提案だが、賛同はできないな

ココ

このまま死んでも未練が残るだけだ

ココ

死んで霊になって、お前を呪い殺してもいいってんなら、その引き金引いてもいいぜ

鏡ココ

俺を呪い殺せたら、
お前の未練は無くなるのか?

ココ

さあな

ココ

何事もやってみないと分からない

ココ

でも未練は無くならないと思うぜ
スッキリはするかもしれないがな

鏡ココ

ふーん…

そう言って少し余裕げに笑うココ。 そんな彼に対し、鏡ココは軽視するような声を出した。

ココ

ひとつ、質問いいか?

鏡ココ

ああ

ココ

お前は蘭の計画やマイキーの言葉に、少しも疑問を抱かなかったのか?

鏡ココ

抱かなかったと言えば嘘になる

鏡ココ

誘拐も、薬漬けも、記憶喪失も

鏡ココ

夢やお前ら、今後の俺らのことを考えれば、やっていい事じゃないとは分かっていた

鏡ココ

でもあの日、蘭が夢を連れてきた時

鏡ココ

確かにあの子は、
俺らの知ってる夢とは違うけど

鏡ココ

また夢に会えた気がして…
夢が帰ってきた気がして…

鏡ココ

あの日々を取り戻せるなら、
なんだってしたいと思ったんだ

ココ

…そうか

鏡ココ

世の中には、
金でも手に入らないものがある

ココ

ココ

急になに…

鏡ココ

人の心、本物の愛、思い出、時間

鏡ココ

そして、命…

ココ

それって…

鏡ココ

失ったものが戻ってくることは無い

鏡ココ

仮に戻ってきたとしても、
それは本物じゃない

鏡ココ

あの日…暁牙のアジトから、
蘭が夢を連れ戻した後

鏡ココ

俺らは僅かな希望を胸に、
夢を病院へ運んだ

鏡ココ

だけど医者から告げられたのは、

鏡ココ

「手遅れ」

鏡ココ

その一言だけだった…

鏡ココ

でも俺は諦めたくなくて、
金つぎ込んで必死に頭を下げた

鏡ココ

情けなかっただろうな…

鏡ココ

大の大人がガキみてぇに泣きじゃくりながら、医者の服引っ張って懇願するとか

鏡ココ

惨めで、汚くて、みすぼらしい
どうしようもない奴だっただろうな

ココ

…!

ココ

お前、泣いてるのか?

終始下を向いていた鏡ココだったが、 そんな彼の目元から一滴の涙が落ちたのを、ココは見逃さなかった。

鏡ココ

なぁ…俺は、どうすれば良かった…?

鏡ココ

なんで夢は死んだんだ…
なんで夢なんだ…

鏡ココ

何も悪いことなんかしていないのに…!

鏡ココ

ただ幸せに生きていただけなのに…!

廊下に彼の悲痛な叫びが響き渡る。 そんな彼を前に、ココは口を噤む。

鏡ココ

いつもそうだ…

鏡ココ

こんなに金があるのに、
金があればなんでも出来るのに、

鏡ココ

肝心な時に、いつも役に立たない…!

そう言って涙を流しながら、 彼は目元を両手で覆う。

殺せる敵を前にしても、 もう銃を向ける余裕はなかった。

ココ

…………なぁ、

ココ

今の俺には、お前の気持ちを
全部理解してやることは出来ない

ココ

見た目が一緒でも、中身は別物だから

ココ

でも受け止めることは出来る

鏡ココ

…!

ココ

ずっと探していたんだろ?

ココ

自分と同じ気持ちを背負った奴を

ココ

でもいなかった
だから止められなかった

ココは銃を捨てると、 彼にゆっくりと歩み寄る。

ココ

夢はもういない

ココ

でも夢という存在は、
ずっと俺らの中で生きてる

ココ

もう消えることも、
無くなることもない

ココ

夢のことを一番よく知る、
お前らという存在がある限りな

そう言ってココは彼の胸に手を当てた。 瓜二つの顔が並び合い、互いの目にその姿が反射する。

鏡ココ

受け止めてくれるのか…?

鏡ココ

あれだけのことをしてきたのに…

ココ

確かにお前らは、夢や俺らに
許されないようなことをしてきた

ココ

でも元を返せばそれらは、
全て夢を想ってのこと

ココ

やり方は間違っていても、
目的は俺たちと同じだ

ココ

他の奴らがどう思ってるかは分からないが

ココ

少なくとも俺は、お前を助けたい

鏡ココ

…ッ…!!

ココの言葉を聞いた彼の目に、 再び涙が浮かんだ。

程なくして溜まりきった涙が、 彼の顔を伝い、床を濡らした。

鏡ココ

ごめんッ…ごめん、…ッ”…!

鏡ココ

おれ”ッ…ゆめに、ひどいこと、ッ”…
たすけ、なかった…、ごめんッ…

ココ

いい、お前は悪くねぇよ

嗚咽混じりの声を漏らし、 子供のように泣きじゃくる鏡ココ。

そんな顔を隠すように、ココは彼の顔を自分の肩に埋めさせた。

???

ハァ…ハァ…、!

???

おい、お前ら!

ココ

ココ

お前は…

武臣

ゲホッ……はぁ、しんど…

武臣

おい、まだ生きてるか?

鏡武臣

ったりめーだろ、なめんな…

廊下に寝転ぶ4人は、 身体にいくつもの傷を携えていた。

武臣

俺もう動けねぇ、お前は?

鏡武臣

俺はさすがに無理だ

望月

俺も

鏡望月

右に同じく…

武臣

お前らには聞いてねーよ…

望月

何はともあれ、
誰も動けねぇってことは引き分けか?

鏡武臣

そうなるな…

鏡望月

うえっ、締まり悪ぃの…

武臣

アイツら、ちゃんと勝ってっかな?

鶴蝶

少なくともこんなに、
ボロボロではないと思うぞ

すると廊下の奥から、鶴蝶が歩いてきた。

武臣

おー、鶴蝶…

武臣

見ろよ、俺ら勝ったぜ

鏡武臣

ふざけんな、引き分けだろうが

鶴蝶

仲良いなお前ら…

望月

何とかお互い分かり合えたぜ
今さっき晩酌の約束したところだ

鏡望月

んな約束してねぇ…
いや、晩酌はありだな

鏡武臣

酒に釣られんなバカ

鏡武臣はそう言い、 呆れた表情を浮かべた。

しかし何だか面白くなり、 4人はかすかに笑みを零した。

武臣

まあ勝ったかどうかは分からねぇけど

武臣

俺たちが分かり合えたなら、
きっとアイツらも同じだと思うぞ

武臣

お互いが同じ想いを背負ってた
それだけで、もう争う理由は無い

武臣

それにこのまま続けでも
最後には共倒れだろうしな

武臣

これでいいんだよ

鶴蝶

そうか

鶴蝶

まあ、お前らが納得してるなら
俺はそれで構わない

鶴蝶

何も出来なくてごめんな

望月

何言ってんだよ
お前は大事な役目背負ってただろ

望月

お前は俺らが死んだ時のための
伝言役だって言ったろ?

鶴蝶

でももう必要ないだろ

鶴蝶

俺も一緒に戦っていれば、
こんなに怪我しなかったはずだ

武臣

怪我なんて日常茶飯事だろ

武臣

今更すぎるぞ

鶴蝶

だが…

鏡武臣

そっちの鶴蝶は、
随分と心配性なんだな

鏡武臣

こっちの鶴蝶と交換して欲しいぜ

望月

なんだ?お前らのとこの鶴蝶は
そんなに厳しいのか?

鏡望月

わかりやすく説明すると
お前らの鶴蝶は「お母さん」で、
俺らの鶴蝶は「オカン」だ

鶴蝶

よく分からん

武臣

つまり言いたいのは、見た目と中身は、必ずしも同じじゃないってことだろ?

望月

まあそんな感じだ

鶴蝶

バカみたいなこと言えるくらいは
元気そうでなによりだ

鶴蝶

怪我が酷いから一旦ここを離れるぞ

鶴蝶

動けないやついるか?

武臣

俺、右足折れてる

鏡武臣

俺は左足撃たれた

望月

アバラやられた

鏡望月

俺ぎっくり腰

鶴蝶

流石に4人は無理だぞ

怪我の状態に思わず笑う一同。 そんな彼らに鶴蝶はため息をついた。

To Be Continued…

ヲタ女と反社【君に捧ぐ想い】

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コメント

51

ユーザー

今回もサイコーすぎます!✨ 続き楽しみに待ってます!

ユーザー

仲良いの神すぎでは?? 鏡カクちゃんはオカンなんですねぇ…笑

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