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第六話
『届かない救いの手』
START
人工的な機械のビープ音とツンとした消毒液の匂いで目が覚めた
視界に飛び込んできたのは病院の白い天井
樹
すぐ横から掠れた悲鳴のような声がした
ゆっくりと首を動かすとそこにはパイプ椅子に腰掛けた樹の姿があった
衣装のままネクタイは大きく歪み髪もボサボサだ
いつもお洒落な樹が自分のことなんてどうでもよくなったみたいに目の周りを真っ赤にして俺の顔を覗き込んでいる
そしてその少し後ろ壁に背を預けて立っていた北斗が弾かれたようにベッドの柵へ歩み寄ってきた
北斗の目は完全に腫れ上がっていて一目でどれだけ激しく泣いていたかが分かった
俺の視線と交わった瞬間北斗は痛々しいほど胸を詰まらせて俺の手元へと視線を落とした
北斗
北斗がベッドの柵に手をかけ今にも崩れ落ちそうな声を絞り出した
ジェシー
その時ベッドの足元からジェシーの声が響いた
大きな身体を小さく丸めボロボロと涙を流している
その隣では慎太郎が怯えたような瞳で俺の肩にそっと手を置いていた
慎太郎
優吾
優吾
髙地が自分を責めるように俯きながら溢れそうな涙を必死に堪えて俺のシーツを握りしめている
5人全員の張り裂けそうなほどの後悔と優しさが静かな病室の中に満ちていた
大我
大我
大我
胸の奥がギリギリと鳴る
本当は今すぐにでも怖かったと泣き叫びたかった
でも5人の流した涙を見た瞬間俺の中の罪悪感が再び『完璧な仮面』を俺の顔に張り付けた
大我
俺は酸素マスクを自らの手で外し5人に向かってこれ以上ないくらい優しく完璧な笑顔を作ってみせた
大我
大我
大我
あははとわざと軽快に笑ってみせる
声の震えも胸の激しい動悸も全部気合いだけで心臓の奥へ押し込めた
樹
樹
樹が声を荒げた
信じられないというように俺の嘘を見破ろうと真っ直ぐに目を覗き込んでくる
ジェシーや慎太郎高地も俺の完璧すぎる笑顔に呆然とした表情を浮かべていた
大我
大我
大我
俺はベッドの上に身体を起こしわざと不敵に笑ってみせた
その言葉に北斗は息を呑んだまま一歩後ろへ退がった。
北斗の瞳には怒りとそれ以上に深い絶望に似た悲しみが浮かんでいた
本人が「平気だ」と言い張る以上これ以上無理に剥ぎ取ることもできない
北斗
北斗の口から出たのは乾いた今にも消え入りそうな声だった
樹も俺の完璧すぎる笑顔に気圧されるように力なく視線を落とした
誰も俺の心の奥の闇には触れられなかった
完璧に騙し通せた
その満足感の裏で俺の心は完全にひび割れ修復不可能な孤独の深海へと静かに誰にも気づかれずに沈み切ってしまった
♡ 💬 待 っ て ま す ⌒ ♪
コメント
3件
好きすぎて好き
読ませていただきました。第7話、胸がぎゅっとなりました……。 大我くんが「大丈夫」と笑えば笑うほど、周りの5人の痛みが深まっていくのが切なくて。特に北斗くんの「怒りと絶望に似た悲しみ」の表情、あれは本当に心臓にきたなあ。 完璧な笑顔の裏でひとり沈んでいくラストの表現がとても美しくて、でもその分苦しくて。この距離感、すごく繊細に描かれてるなと思いました。続きが気になります……!
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#ご本人様には一切関係ございません
らびゅ🫶💕〜!
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