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一か月後。月刊オカルト・サイエンスの事務所にて――――。
北原 風香
編集長
北原 風香
編集長
北原 風香
風香は編集長の机を両手で叩きつけて詰め寄った。 編集長はふいーっと煙草をふかして、風香を睨み返す。
編集長
北原 風香
編集長
編集長はまるで犬に言い聞かせるように風香に告げた。 風香は自分の記事が世界を激震させるのではないかと期待に胸をふくらましていただけあり、あの事件が世間に公表されないと知ると一気に気分が落ち込んできた。 そこで彼女は、午後の仕事を放棄することにしたのだった。
北原 風香
編集長
北原 風香
編集長
北原 風香
風香はなにも答えず、バッグを肩にかけて事務所を出ていった。 街はすでに春の様相となっていた。公園の近くに来ると、桜の良い香りがした。 誘われるように公園に入って、ベンチで一休みする風香。 深いため息をついてうなだれた。
北原 風香
葛城 陽斗
「「ん?」」
風香が顔を上げると、隣には陽斗がいた。 彼は皺だらけのリクルートスーツに身を包み、煙草をふかしていた。
北原 風香
葛城 陽斗
北原 風香
葛城 陽斗
腹を抱えて笑いだす陽斗に、風香は血圧がぐんと上昇するのを感じた。
北原 風香
葛城 陽斗
北原 風香
風香が頬杖をついて冷静に問いただすと、陽斗はしおしおと肩をすぼめ、視線をきょろきょろとさまよわせながら口を開いた。
葛城 陽斗
北原 風香
葛城 陽斗
二人そろってため息をついた。 陽斗が、風香の隣に缶ビールを置いた。
葛城 陽斗
北原 風香
季節は春。 泡沫の悪夢も覚め、生命が芽吹く始まりの季節がやってきた。