存在しない記憶

真っ白な天井が見える

泣いている女性がいる

俺の周りを囲むように大人たちが沢山居た

大人たちは皆顔を見合わせて喜んでいた

しかし俺の次の一言でその笑顔は消えた

俺はすぐに診査室に連れていかれた

先生の口から出た言葉は

そう言われた

女性は泣いていた

大人たちも絶望した表情をしていた

でも俺は何も分からなかった

思い出せなかった

早くこの人たちに迷惑かけないように……

思い出さないと

そう思った

見るのが辛かった

でもその晩

ベルモットが俺を迎えに来た

そうして俺はベルモットの手を取った

今の俺を生きるために

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎