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z視点
訓練用のナイフを構えて、遠くいるトントンをジッと見つめた。 全く実力の分からない相手との対戦、これ程ワクワクするものはないだろう。
ガヤと声が少しチラつくが、些細な事でもない。 よく耳を傾けてみると、察するにトントンはかなりの実力者のようだ。書記長っ!と声援を上げる者のいるため、只者では無さそうだ。
そう分かった瞬間、つい武者震いをしてしまう。 正直今まで戦ってきた相手では満足出来なかった。だからこそ目の前にいる強敵は一層輝いて見える。
すると、スタートの合図が聞こえると同時にトントンは地面を蹴るようにこちらに猛ダッシュで襲いかかってくる。 俺はその勢いに驚いてしまい、少し反応が遅れた。
z
お互いのナイフが音を立ててぶつかり合い、中々譲らない様子だ。 当たり前だが相手は実戦に慣れている。 どれだけ経験を積んだか知らないが、俺も数年間戦場にいた身だ。ここで簡単に負ける訳にはいかない。
さっきは体格の割に身軽な動きに対応が遅れたが、俺も攻めさせてもらう。
z
俺は有難い事に身体が柔軟のためそのまま体勢を低くし、トントンの足首を狙うように足先で払うように蹴る。 するとトントンは咄嗟に対応出来なかったのか、体勢が崩れて尻もちをついてしまった。
すぐさまトントンの身体に跨り、首元に向かってナイフを突き立てた。 トントンも負けじと抵抗するように腕を掴むが、俺はこのまま目の前の奴を殺す勢いで力を加える。
tn
トントンの首元にナイフの先が付くと同時に、ストップの声がかかる。
その瞬間我に返ったかのようにスイッチが切れ、トントンに跨っていた俺は和服の着た男によって無理矢理引き剥がされる。
和服に身を包んだ男
tn
意外とあっさり負けを認めてくれた。 俺は勝ったという気にならず、どこか腑に落ちた気分だった。
tn
こちらに差し伸ばす手を握り締め、熱い握手を交わした。
トントンも中々強かったとお互い鼓舞し合う中、突然俺の腹の虫が鳴り一気に場の雰囲気は崩れた。 先程まで熱い戦いを繰り広げていたのにも関わらず、腹から間抜けな音が鳴った事に周りのガヤはクスクスと笑い始め、俺は何処か苛立つを覚える。
z
tn
第4話-終