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また眠る日まで

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また眠る日まで

3 - 眠たい

♥

233

2023年07月28日

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最近いじょうに眠たい

今は成長期だから。 心臓が痛くなるのは成長痛。 朝から立ち上がれないのは…

どうしてっ…!

今日もそんなの分かりきった嘘を着いて不安な心を閉じ込める

本当はね眠くなるのは死に着々と近づいているから。心臓が痛いのは余命が近いから。知ってるよ。赤ちゃんじゃないんだから

『"いい子"だねえ』

『優秀だね』

『流石だね』

辞めて。これ以上俺をいい子呼ばわりしないでッ、!!

お願い。お願いだからっ…!

もう、

辞めて…下さいっ…

ふっ-…ふっ-…ふっ-…

あ、俺また…

俺の腕には沢山の管と点滴が入っている

きっと俺はまた発作を起こしたのだろう。

嗚呼。こんなの良い子じゃない

もっと。もっと迷惑かけないような子がいい子なのに

あっ!すちくんっ!

ごめんね笑

また寝てた

すちく、まだおねむ?

んーん!今は全然大丈夫

本当は身体の至る所がじんじんして辛かった。けれどそんなこと言わない。黙って口を噤んだ

ねえ、そろそろあそこ行こーよ。

あ、俺のせいで遅れちゃったね…行こっか!

すちのせいじゃ、ない、けろ、(訳:すちのせいじゃないけど、)

みことちゃんがてちてち歩いている。その危なっかしい手をいるまちゃんが持って二人で歩いているその光景はどこか俺の知り合いに重なって少しに笑みがこぼれた

ストープっ!

ここだよ笑

みこと、ちゃんとコンコンしてね

こんこん!

違っ、口じゃない!!

ぷっ、w入っていいよ~

中で彼が噴き出したのが想像出来る。みことちゃんはと言うと5歳にしては重いと思うドアを必死で開けていた

ふふっ、笑どーぞ

みことちゃんがドアを開けるのに苦戦していたらドアがガラガラ。と音を立てて開き、中から彼が出てきた

あ、

『こさめちゃん!』

彼は雨乃こさめという17歳の少年。俺と同じ鬱病でこの一般病棟重度患者室というところに入院している。こさめちゃんは身長が標準より低くて声も高め。みんなからは女の子だと思われがちだが列記とした男の子だ

どーぞどーぞ入って〜!

一般病棟重度患者室は、一般病棟と小児科病棟とは違うツンとした薬の香りが毎日漂っている。俺はこの香りが苦手だった。

俺、こさめちゃんのお膝座っても良い?

お?おいでおいで~

うんしょ、うんしょ、

ふふっ笑ほら

こさめちゃんはみことちゃんを抱き上げて自分の膝の上に座らせた。みことちゃんはきゃっきゃっと楽しそうにしている

ん?すちくんおいで?

あっ、うん!

俺もこさめちゃんの隣に座り足を前後にバタバタさせる。いるまちゃんもおれと同じように足をバタバタさせていた

ねーねー!昔話して?

昔話!?渋いねえ笑

小児科病棟に向かう一本道。いつもは静かなのに最近は一つの部屋だけ異様に楽しそうな声が聞こえるようになった。一応ここは一般病棟重度患者室なはず。騒がしくなると言ってもパニックに陥って拘束される時くらいだ

異様な程に楽しそうな声が聞こえる部屋は623号室。確かここは重度鬱病患者さんの部屋だったはずなのに。つい俺はドアに聞き耳を立てた

おばあさんはぁ~…?

うんうんっ…

お前を食うためだぞぉっ!!

きゃあああっ…!!

あ、ごめん…w

ふふっ笑

声の主はあいつら三人とこさめくんだった。だがあの四人はどこで仲良くなったのだろう。果たしてこさめくんが小児科病棟に来る用事があったのだろうか。三人が一般病棟重度患者室を通る事があったのだろうか。そんな疑問が頭に渦巻くようにグルグル回っていた

んー…?

まぁでもあの様子なら三人を預けても安心だろう。そう思い部屋の前を通り過ぎた

もうそろそろ重度患者リハビリ時間だ。このままだとこさめちゃんが叱られてしまう。二人を連れて撤収しなければならないがみことちゃんはぐっすり寝ていているまちゃんも首をコクコクさせている。この状態で起こすのは気の毒だ

こさめちゃん。俺たちそろそろ帰るね!

あ、分かった!

じゃあこさめいるまくん連れてくからみことくん連れてってくれる?

うん…!

よいしょっ…!

最近拘束されたばかりで寝たり座ったりしかしていなかったから久しぶりな為足を動かすが少しぎこちない

もうずっとあそこにこもりっぱなしのこさめだが子供一人をおぶる事はまだできるらしい

良かった…

ふーっ…よいしょっ…!よいしょっ、!

すちくんも一生懸命みことちゃんをおぶって頑張っていた

あっ、

そんな事を考えていた矢先にすちくんがよろついて頭をぶつけた。

うっ…ふっ…

おい!大丈夫か!?

うんっ…みことちゃんは大丈夫だったよ

違ぇよ!すちくんの心配を先生は今してるの!

あぁ。こさめのせいだ。こさめがもっと早く動いてたらこうはならなかったのに。こさめがぜんぶ悪いんだ。存在してること自体ダメな事なんだよ

んっ…こさめどしたの?

ごめっ…こさめのっ…せ…い…

え?

いけない。こんな小さな子の前で泣いてらんない

大丈夫だよ。

あ、こさめくん!!いい所にいた…みことといるま部屋に連れてってやってくんね?

あ、はい!

こさめ、悲しそうだった、なんか涙でそうだった、俺のせい?俺のせいでこさめないた?

こさめの手。あったかい。おっきい。けど少し震えてる。

すちくんは大丈夫!

??

みこと。なんも分かってなさそう。ずっと目が点になってる。

よし、ここだね?

あ、うん!!

あ、あ、

ん?

どしたの?

ありゃとねぇ、

みことはきっとありがとうって言いたかったのかな。めっちゃにこにこ

っ!うん…笑

こさめ、嬉しいのか悲しいのか分かんない顔してる。なんでかなぁ。なんですちもこさめも無理するのかなあ。

…ばいばい

ばいばい。

いるまくん、ありゃとねぇ

え?wなんだよ急に~w

すちくん、ありゃとねぇ

みことは幼稚園にまともに通えてないから喋り方もぎこちない。けれどそこがみことの個性だ

部屋で二人の時間を過ごして結構たった頃。

ドアが開いてゆっくりとすちが帰ってきた

たっだいまぁー!

…え?

ちょっと転けたくらいでみんな大袈裟~www

違和感ない普通の笑い方。本当にただ転けただけだったのかもしれない

この作品はいかがでしたか?

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コメント

15

ユーザー

付き合って欲しい。( (

ユーザー

好きです続き頑張って下さい

ユーザー

すきすぎる……本として売りましょう((

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