今日も蝉が鳴いてる。
とてもうるさい。
まるで吹奏楽部の合奏のように。
そんな音も聞こえないと思う人を私は知っている。
音どころか
鳴いている蝉、 それが留まっている木、
何も見えない。
だってあの一件から
瞼をずっと閉じたまま。
そんな彼女の家に
私は今日も足を運ぶ。
莉子
莉子
泳華の母親
泳華の母親
泳華(エイカ)の母親…… 泳ママはいつも通りの笑顔で迎えてくれた。
莉子
莉子
莉子
泳華は水の事故で、
ずっと眠っている。
最初は嘘だと思ったけど
なんとなく時が過ぎて
自然に事実を受け入れる事が出来た。
泳華の母親
莉子
莉子
莉子
泳華の母親
泳華の母親
泳華の母親
莉子
泳華の母親
莉子
莉子
私はいつもより少し長く泳華の顔を見つめたあと、 泳華の家を飛び出した。
莉子
莉子
私は歩くスピードを上げた。
莉子
莉子
森に入った時からずっと走りっぱなしだったので、 息切れが凄かった。
莉子
莉子
莉子
莉子
私は学校の鞄を漁って、
可愛い小さな手帳がある事を確認した。
泳華から貰った物だった。
莉子
莉子
莉子
手帳を胸に当て 目を閉じて
私は「あの時」を脳に浮かべた。
莉子
莉子
泳華
私たちは小さい頃の夏に、 よくプールで遊んでいた。
泳いだり、流れるプールで遊んだり…
それ以外はあんまり覚えてはいないが、 楽しかったのは覚えていた。
「あの時」もいつもと変わらず楽しく遊んでいた。
ある時、 私は誰かから貰った翠色のリボンが付いたヘアゴムを身に着けていた。
舞い上がってて仕方がなかったのか、 それを着けたまま私と泳華はプールで遊びはじめた。
泳華
泳華
莉子
莉子
泳華
泳華
莉子
そう言って見せてくれたのが
可愛い小さな手帳だった。
莉子
莉子
泳華
莉子
泳華
私は手帳を母に預けると、 またプールで遊び始めた。
遊び始めて数分後、
泳華
泳華
莉子
泳華
莉子
莉子
莉子
莉子
何処で取れたか分からなくてパニックになっている私をよそに、
泳華はリボンを探し すぐに見つけてくれた。
近くに網がある所に落ちていた。
泳華
莉子
私たちは空気を吸うと 同時に水の中に潜った。
最初は取れそうだったが、
運悪く網の下にもぐってしまった。
その時、私は酸素不足になって水面に上がった。
クラクラしたので 私はプールサイドに座り込んだ。
莉子
莉子
人の流れに負けて 自分が遠くに行っていた事に初めて気がついた。
それと同時に
莉子
莉子
莉子
莉子
泳華の返事も無く、周りを見てもいなかった。
その後、女の人のような声が聞こえた。
確か、
女の人
と言っていたような気がする。
引き上げられる所を見ると
その子は泳華だった。
手になにか持っていたと思うが、
それは赤い色のなにかだった。
翠色のリボンも見つからなかった。
莉子
私は夜風を受けて、目を開けた。
今私がいる所は
下に深い湖がある崖だ。
莉子
莉子
私は手帳を鞄に入れると、 崖の先端まで行った。
莉子
莉子
私は靴を脱いで、 姿勢を整えた。
莉子
莉子
莉子
莉子
私は深く沈んでいくのを感じた。
莉子
泳華もこんなかんじだったのかな
ごめんね
ごめんなさい
詫びてもどうにもならない事を考えながら、
私も泳華と同じように眠りについた。
コメント
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人権なんて ある訳ないじゃん ゴリラだもの by天災な悪天候←