#12
橙side
赤に嫌われているのは分かってた。
だから俺らを避けて生活してるのも
そしてそれの原因が俺なのも。
紫にぃから赤を探すのを頼まれた
大学の帰り道。
遠回りをして帰る中、
飲み物が欲しくて
コンビニに寄ったら
なんだか見慣れた顔を見つけて
思わず声を掛けた。
橙
背が高くて
スタイルの良い
桃色の癖っ毛。
間違いなく
紫にぃの幼なじみ。
というか兄弟全員仲良かったけど、
お互い忙しくて
最後に会ったのは両親の葬儀だったかな
もう6年程前の話。
考えてみると
余りに久しぶりで
つい懐かしさに耽ってしまう。
桃
桃
振り返ってきた顔は
相変わらず整っていて
でも何処か様子が可笑しかった。
後ろを気にしている様な
何かを庇っているかの様な。
なんだか違和感を感じて
時々後ろに送る視線を辿ってみる。
橙
目に入ったのは
見慣れた弟の姿。
まさか休憩で入ったコンビニで 鉢合わせるとは思わなかった。
驚き詰、 様子を見ていると
今迄俺に向けていた 軽蔑した様な目を逸らされる。
僅かに見えた手元は
桃ちゃんの服の裾を握っていた。
人を頼っている所、なんて
一度も見た事のない程
珍しい光景で
思わず固まっていると
赤から気を逸らす様に話題を振られる。
その後、少し話したけれど
頭の中は上の空。
今思い出そうとしても
殆ど話した内容は思い出せない。
唯一覚えてるのといえば
少しの可能性に賭けて
桃ちゃんを家に誘った事くらい。
勿論断られて
結局、赤にも 話し掛けることすら出来なかった。
帰りの電車を待つプラットフォーム。
取り敢えず分かった居場所だけでも 紫にぃに言おうと
メッセージアプリを開いたものの
赤が頼っている所も
甘えてる所も
記憶のある限り知らない光景で
桃ちゃんと居る方が幸せなんじゃないか
なんて考えて
躊躇してしまい、 中々打つ手が進まない。
こうなった原因も
嫌われている原因も
昔から手の掛かる下2人に夢中だった 俺の責任。
最終的には家事も ほぼ全部押し付けていた。
孤独にさせていた自覚も
苦しめていた自覚もある。
何度も迷った末に
何年かぶりに開く 桃ちゃんの連絡先を選んで
一言メッセージを送信した。
コメント
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コメント失礼します どの作品もとても大好きで楽しみに見てます 体調に気をつけて頑張ってください 応援してます 続きを楽しみに待っています
続き楽しみにしてます
桃くん紫くんの幼馴染だったのか予想外れたー