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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

じかん

トン、トン(足音)

ユカ

どうしたの?後ずさっていって

じかん

じかん

(こくちゃんを逃がしたのはいいけど)

じかん

(私は、どうすれば…)

じかん

…?

じかん

(足元に、白い光が…)

その瞬間

見知らぬ部屋に飛ばされた

じかん

!!

ナユタ

…来れたみたいね

じかん

…な、なに、これ

ナユタ

落ち着いて

ナユタ

ここは、私の精神世界

ナユタ

ここで話せる時間は少ないの

ナユタ

私の話を聞いて

じかん

…あ、あなたは、誰?

ナユタ

私はナユタ

ナユタ

ユカの妹よ

ナユタ

覚えてるか分からないけど、あなたがこの館に来た時にあなたに語りかけたこともあった

じかん

じかん

(あの時の声、か…)

ナユタ

この館から生きて出たいなら私の話を聞いて

ナユタ

…あなた達がこの館から脱出する方法は1つ

ナユタ

この館の地下室へ行くの

じかん

地下室…?

ナユタ

この館には地下室があってね

ナユタ

その地下には

ナユタ

私達の、母親がいる

ナユタ

その母親が、この館に憑いている呪いの親玉

ナユタ

その呪いを払えば、この館から出られるわ

じかん

あなた達の、母親…

ナユタ

ナユタ

…これを持って

じかん

…?

じかん

これは?

ナユタ

その場所に行けば分かるわ

ナユタ

それじゃあね

じかん

え、ちょ、ちょっとま…

じかん

って…

じかん

じかん

…あ、あれ

じかん

ここは…?

「え…?じかん…?」

じかん

…え?

こくばんけし

ぶ、無事だったんだね

じかん

こ、こくちゃん?

じかん

どうしてここに…

じかん

ていうかここはどこ…?

「こくか…?」

チョーク

…お前らもここにいたのか

こくばんけし

え、チョーク?

こくばんけし

それに、みんなも…

にっちょく

ねーここどこなのー!

ヤツレ

にっちょく、静かにして

ツクエ

じかんさん達も無事だったんですね

トケイ

困ったな

こくばんけし

…なるほどね

こくばんけし

やっぱりみんなも、あの女の子に飛ばされたんだね

チョーク

そうみたいだな

チョーク

それで

チョーク

この鍵、か

にっちょく

みんな渡されてるんだね

にっちょく

全部で7個?

ヤツレ

うん

ヤツレ

とりあえず早く地下に行こ

ヤツレ

飛ばされてきたこの場所の先が、地下のはず

4分後

じかん

はあ…

じかん

やっと着いた…

こくばんけし

階段長すぎない…?

トケイ

これが、地下室への扉だな

にっちょく

うわー、雰囲気出てるね

ツクエ

はい…

じかん

それじゃあ

じかん

…開けるよ

扉を開けた先には

全く予想していなかった光景があった

じかん

…こ、これは

にっちょく

わー!きれー!

チョーク

な、なんだこれ…

チョーク

地下にこんな部屋が…?なんで…

ヤツレ

…ん?

ヤツレ

みんな、あっちに

ヤツレ

さっきの地下の扉と同じ扉が…

じかん

え…?

チョーク

また、部屋か

ツクエ

一体なんなのでしょうか、これは…

「あははっ!」

トケイ

!!

こくばんけし

な、なに?

じかん

今、声が…

「ねえ、お母さん」

「ん?どうしたの?」

「最近ナユタばっかりずるいよ」

「僕もぬいぐるみ欲しいのに」

ヤツレ

な、なに?これ

チョーク

誰かの、記憶…?

その先

無数に扉は続いた

扉に入る度、誰かの記憶

どこかの家族の記憶を見せられているようだった

部屋で話した記憶、外で遊んだ記憶

ただ普通の…

「お、お母さん!何してるの?やめてよ!」

「やめて!お母さん!」

「解いてよ…」

じかん

これは…

こくばんけし

…一家心中の呪い

こくばんけし

だもんね

「あぁ…私はなんてことを…」

「目を開けてくれ…」

「ナユタ、りぼん」

「ユカ…」

カチャ(扉を開ける音)

私達は最後の扉を開いた

じかん

チョーク

ヤツレ

…この人が

ヤツレ

母親、か

アカネ

アカネ

…ここが、地下室よ

アカネ

最後の部屋、私が作った部屋

アカネ

…あなた達は

アカネ

ナユタに言われてここに来たのね

アカネ

私を払うために

にっちょく

にっちょく

なんか怖いよ、この人…

にっちょく

心の中がからっぽみたい

こくばんけし

…うん

チョーク

その鍵穴にこの鍵を刺せばいいの?

アカネ

あぁ、そうさ

アカネ

そうすれば私達一家心中の呪いは消えるよ

じかん

じかん

…ようやく、終わるのね

ツクエ

チョーク

…は

にっちょく

うわっ!!

じかん

!!

じかん

(呪い…!)

アカネ

あぁりぼん、来たんだね

りぼん

おか あさん

アカネ

どうしたの?

りぼん

りぼん

…きえたくな いよ

アカネ

アカネ

…うん

「あー」

「みんなここに来ちゃったか」

ユカ

…残念だな

じかん

じかん

ゆ、ユカさんも…

アカネ

…ユカも、来たんだね

ユカ

ユカ

…私達を払わせる気なんだろ

アカネ

…ええ

ユカ

ユカ

…ふざけるな

ユカ

ふざけるなよ、クソ野郎が…

ユカ

お前の勝手で私達を殺して

ユカ

今回もまた自分の勝手で私達を払わせる気なのか

りぼん

そうだよ おかあさ ん

アカネ

アカネ

…でもね

アカネ

私達が存在したことによって、じかんさん達のような人達が呪われてしまってるの

アカネ

だから、終わらせなきゃいけないの

ユカ

…でも

ヤツレ

…これじゃ埒が明かないわね

ヤツレ

そこの黒い髪の男

ヤツレ

君こそ、勝手な行動をしているじゃない

ユカ

…なんだ、人間

ユカ

気安く話しかけるなよ

ヤツレ

君の勝手で私達をここに閉じ込めてる

ヤツレ

私達はあなた達とは全く関係ないの

ヤツレ

他人の家族の事情なんて知ったことない

ヤツレ

あなたの勝手で、私達を呪わないで

ユカ

アカネ

さあ君達、鍵をさして

アカネ

もうこれ以上、君達を呪いたくない

りぼん

じかん

…はい

私達は、言われた通りに順に鍵をさしていった

アカネ

…全員さし終わったわね

ストン(足音)

ナユタ

…終わったみたいね

ユカ

…ナユタか

ユカ

遅かったな

ナユタ

ええ

ユカ

鍵を人間達に渡したのは君だろ?

ナユタ

…ええ

ユカ

ユカ

…ははっ

ユカ

酷いこと、するなあ

ユカ

私は、もっと生きたかったのに

ユカ

もっと、遊んでいたかったのに

ナユタ

…そうね

じかん

…あの

じかん

ユカさん

ユカ

なに?

じかん

お墓はありますか?

じかん

あるんだったら、行ってみたいんです

ユカ

ナユタ

ないよ、そんなもの

ナユタ

1家全員、死んじゃったからね

じかん

…そう、ですか

ナユタ

ナユタ

…そろそろ、時間みたい

ナユタ

私達が払われれば、扉は開くようになるはず

ナユタ

もう、行きなさい

ツクエ

にっちょく

…行こっか

じかん

…分かりました

ユカ

ユカ

…人間

ユカ

悪かった

じかん

え?

ユカ

私は、小さい頃から普通の家族に憧れていたんだ

ユカ

帰ってきたらご飯があって

ユカ

たまにみんなで遊んで

ユカ

たまに喧嘩して

ユカ

しょうもないことで笑って

ユカ

そんな普通の家族が、私には羨ましかった

ユカ

だから君達を呪い、家族ごっこに紛れ込んでいたんだ

ユカ

でも今思えば、そんなものはただの自分勝手な行動でしかなかった

ユカ

本当に、悪い事をした

じかん

じかん

謝らなくていいですよ

じかん

私も多分、あなたと同じ状況だったら同じことをしていたと思います

ユカ

ユカ

…そうか

私達は、館の外に出た

門の鍵も既に開けられていた

こくばんけし

本当に、外に出れたのね

チョーク

チョーク

…はあ

チョーク

疲れた…

ツクエ

じかんさんは何百年分もの時間を繰り返していたんですよね

じかん

うん

にっちょく

え!そうなの?!

チョーク

正確には俺達もだけどな

チョーク

じかんだけ記憶を引き継いでいたから

こくばんけし

ほんと、大変だったわね

じかん

でも、もう全部終わった話だから

じかん

家に帰りましょ

トケイ

うん

トン、トン(足音)

じかん

じかん

(…おかしい)

じかん

(この館の周りって、こんな道じゃなかったはず)

こくばんけし

ね、ねえ

こくばんけし

家への道が、どこにも無いんだけど

にっちょく

わ、私も…

にっちょく

こっちに行けば、家があるはずなのに

ツクエ

なんか、街並みが新しくなってませんか…?

トケイ

トケイ

…?

トケイ

これは、新聞?

トケイ

トケイ

……

チョーク

ん?どうしたんだ?トケイ

トケイ

トケイ

…日付が

トケイ

150年後の、日付になってる…

じかん

じかん

…え?

話は簡単だった

館の中でループして経過した時間がそのまま外の世界に反映されていたのだ

私達が館の中で囚われていた時間 の4730400000秒

外の世界は、150年後の未来になっていた

エンドイラスト 「知る人のいない世界で」

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