テラーノベル
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レイの頬を、 涙が一滴だけ伝った。 静かな部屋。 誰も、 すぐには動けなかった。 ノアですら、 少し目を見開いていた。 レイは泣かない。 どれだけ傷ついても、 苦しくても、 全部飲み込む男だった。 なのに今。 カラスの言葉だけで、 簡単に崩れた。 ⸻ 『ハル、最後まで君の手掴んでたよ』 ⸻ レイの呼吸が乱れる。 記憶が蘇る。 雨。 血。 冷たくなっていく手。 それでも離れなかった指。 ⸻ 『……レイ』 ⸻ 『お前、生きろよ』 ⸻ 「っ……」 レイが小さく息を呑む。 その瞬間。 ノアが、 強くレイの腕を引いた。 レイの身体が少し揺れる。 ノアは低く言った。
ノア
掠れた声。 でも、 真っ直ぐだった。 レイの黒い目が、 ゆっくりノアを見る。 ノアは離さない。 まるで、 今度こそ落とさないみたいに。 カラスはそれを見て、 少し笑った。
カラス
楽しそうな声。
カラス
ノアの眉が寄る
ノア
カラス
カラスは壁にもたれたまま、血の着いた口を拭う
カラス
静かな声
カラス
レイの指が震える。 ノアはその手を見た。 冷たい。 壊れそうなくらい。 だからノアは、 ゆっくりその手を掴む。 レイの目が揺れる。 ノアは低く笑った。
ノア
レイは何も言えない。 ノアは続ける。
ノア
ノア
部屋が静かになる。 ユキが小さく息を呑む。 クロエが目を細めた。 ジンは黙って、 二人を見ている。 カラスだけが、 少し苦しそうに笑った。
カラス
カラス
その瞬間。 ノアの目が冷える
ノア
ノア
低い声。 殺気。 でもカラスは、 どこか寂しそうだった。 初めてだった。 あいつが、 少しだけ笑わなくなったのは。 その時。 ——ブブッ。 突然、 カラスのスマホが震える。 全員の空気が変わる。 カラスは画面を見る。 数秒。 そして。 初めて、 笑みが消えた。 アベルが低く聞く。
アベル
カラスは答えない。 でも、 その目だけが僅かに揺れていた。 ジンが眉を寄せる。
ジン
カラスはゆっくり顔をあげる そして、 静かに呟いた。
カラス
コメント
1件
うわ、第16話……読み終わってしばらく動けなかった。レイが涙を見せるって本当に大きいシーンだし、そこを「ハル、最後まで君の手掴んでたよ」の一言で引き出したカラスの立ち回りが憎い。でもノアが「重んなって言ってんだろ」と踏みとどまるからこそ、その関係性が一層際立つ。終盤の「ミナトが逃げた」も絶妙なブレーキ。このタイミングで次を意識させられる構成、心憎いです。