ひかり
ふう〜
私は深いため息をついた。
紗羅
そんなにため息ばっかりつかないの〜!
紗羅
楽しいよ?フェスは、
今は電車に乗ってフェス会場に向かっている
3カ月前、今隣に座っている親友の紗羅に
フェスいこ〜!
と誘われ無理矢理引っ張って連れられて来た
私は嫌なのに...
ある事を理由に私はフェスが嫌い、というより怖くなった
そんな私の心をよそに、紗羅はニコニコして座っている
ひかり
はあ〜
ひかり
もう寝よ〜
電車に心地良く揺られながら、私は案外あっさり意識を手放した
ひかり
…ここは、どこ?…
私は明かりが消えた屋台ばかりが並んでいる森の中に
1人ポツンと立っていた
暗くて怖い、幼い頃の記憶
ああ、そうだ
お母さんと一緒にフェスをまわっていたら
はぐれちゃったんだ…
歌っている声が、ひどく遠くに聞こえる
歌声が聞こえる方を頼りに進んでいくけど
いつまでたっても暗闇から抜け出せなくて…
私はついに泣きだしてしまった
ひかり
うっうう〜
このまま抜け出せなかったらどうしよう
誰も見つけてくれなっかったら…
彼
ねえ、どうしたの?どうして泣いているの?
優しい声に呼び止められて私は振り向いた
そこには、私より少し背が高く、髪が少し長い
ほっそりとしたギターを背負った少年が立っていた
彼
どうしたの?
彼は再び問う
ひかり
ま、迷子になっちゃって…
彼
そっか、
そう言って彼は笑った
彼
大丈夫、泣きやんで。
彼
僕がずっと側にいるから
続く