霧弥
パッ

???
ガシッ

霧弥
誰、?

霧弥
離してよッ

???
そこの柵に足かけて!

???
早く!

???
グイッ

???
何してんの?

霧弥
誰…?

???
あーフードでわかんないか…笑

奏斗
俺だよ

霧弥
なん、で、?

霧弥
どうして、ここに、?

奏斗
頭冷やす為に散歩してた…
そしたら霧弥見つけた。

奏斗
でも様子が変だなって思って見てたら柵に乗り出したから、流石に危ないと思って

奏斗
まぁ結局1回落ちかけてたけど…笑

霧弥
どうして、ッ?

霧弥
どうしてッ僕を放っておいてくれないの、?

霧弥
ポロポロ

霧弥
どうしてッ止めたの、?

霧弥
早く終わらせないといけないのにッ、

霧弥
ねぇッどうして、?

奏斗
俺もわからない、衝動的に、?

霧弥
訳わかんないよ…

霧弥
あと少しだったのにッ…

奏斗
どうして終わらせないといけないの?

奏斗
何をそんなに急いでるの?

奏斗
話して見なよ

霧弥
ぼくッは、

奏斗
うん

霧弥
不幸を、招いてしまって…

奏斗
うん

霧弥
みんな不幸になっちゃう、から、

奏斗
うん

霧弥
早く逝かなきゃって、そう思って…

奏斗
誰かに言われたの?

霧弥
…だいぶ前に、

奏斗
そっか、

奏斗
なんで言われたの?

奏斗
それはわかる?

霧弥
…俺の目、

奏斗
目?

霧弥
少しだけ色が違うんだ…

奏斗
うん、知ってる。

霧弥
それで、気持ち悪いって言われたり、

奏斗
うん

霧弥
昔からの言い伝えで、両目の色が少しづつ違うと“呪いの子”って言われてて…

奏斗
うん

霧弥
呪いの子が居ると不幸になるから、近づくなって

奏斗
うん

霧弥
それから虐められたりしてくうちに、

霧弥
自分は誰にも必要とされてないって気づいてって…

霧弥
何回も終わろうと思ったけど中々勇気がなくって…

霧弥
だから、今日一思いに落ちちゃおっかなって…

奏斗
話はわかった。

奏斗
でも、俺霧弥が居て不幸になったことなんて一度もないよ?

奏斗
なんなら幸せすぎて、怖いくらい笑

奏斗
凪くんもきっと同じだと思うよ?

奏斗
この前、自慢のお兄ちゃんって言ってたし。

霧弥
そう、なんだ、

奏斗
そうだよ

奏斗
両目の色が違うことは俺は知ってた。

奏斗
でも、なんとも思ってなかったよ。

奏斗
なんなら綺麗だなって見惚れてたくらいだよ笑

霧弥
ほんと、

奏斗
本当に。

奏斗
俺は霧弥の全部を知ることは出来ないけど、

奏斗
それでも今を生きていいんだって、思って欲しい。

奏斗
霧弥が俺のことを詳しく知らないように俺も霧弥に詳しくない。

奏斗
だから、これから教えてくれないかな?

奏斗
霧弥が居ると俺はこんなにも幸せなんだってちゃんと言葉にして伝えたいし。

霧弥
僕は、幸せって笑っててくれたらそれでよくって…

奏斗
でもね、霧弥

幸せになって欲しいって願ってる人と、願われる人、その他も、居て、幸せって思えるんだよ。
誰か1人でも欠けちゃったら、それは本当に幸せとは言えないよ。
奏斗
わかった?

霧弥
う、んポロポロ

奏斗
ヨシヨシ(* ˊ꒳ˋ*)ノ゙

奏斗
やっと泣いたね、霧弥

霧弥
えっ、

奏斗
霧弥、ずっと周りに合わせて笑ってたから、

霧弥
周りには合わせてないです。

奏斗
嘘だね

奏斗
それに、

奏斗
元々人前で泣くの苦手でしょ?

霧弥
そう、ですけど…

霧弥
泣いてる人を見ると少し羨ましく思ってしまっていたんです。

霧弥
僕には人前で泣くなんて出来ないから、どうしてそれが出来るのかなって、、

奏斗
人前で霧弥が泣けない理由知ってる?

霧弥
なん、ですか?

奏斗
霧弥はね、周りよりも“我慢上手”なだけなんだよ

霧弥
我慢上手、?

奏斗
そう

奏斗
周りを気遣いすぎなんだよ、

奏斗
もっと自分の気持ちに正直になってもいいと思うよ?

霧弥
でも、

奏斗
大丈夫だよ

奏斗
普段周りを気遣える霧弥が自分の気持ちを言ってくれると周りは嬉しいかもしれないよ?

霧弥
どうして、

奏斗
自分の意見を押し殺してまで誰かに従順に従わなくていい。

奏斗
自分らしさを見つけて自分らしく生きて見なよ

霧弥
自分らしく、?

奏斗
そう

霧弥
でもそれじゃ、自己中心的って…

奏斗
思われないから大丈夫だよ

奏斗
ほら

奏斗
おいで

霧弥
ぎゅっ)

奏斗
抱きついてきたのは霧弥がぎゅってして欲しかったからでしょ?

霧弥
…うん

奏斗
それくらいでいいんだよ。

奏斗
こうして欲しい、だから自分はこうする、みたいな感じでいいんだよ。

奏斗
今だったら、霧弥は抱きしめて欲しいって思ったでしょ?

霧弥
うん…

奏斗
だから、抱きついた。

霧弥
うん…

奏斗
それで良いんだよ。

奏斗
ちゃんと自分の思いを大事に行動できた

奏斗
十分だよ
ヨシヨシ(* ˊ꒳ˋ*)ノ゙

霧弥
うん…

霧弥
温かい…

奏斗
今まで寂しかったでしょ?

霧弥
…うん

奏斗
甘えたいって思ったなら俺が甘えさせたげるから、いつでもおいでね

霧弥
…うん

小さい時、お母さんにぎゅっとしてもらうといつも落ち着けてた
凪もそうだったのかな
僕に撫でられて嬉しかったのかな
霧弥
くしゅん

奏斗
寒い?

霧弥
うん、少しだけ、

奏斗
上着着てこなかったの?

霧弥
凪に貸しちゃって…

奏斗
待って?
マスクは?

霧弥
あぁ、ちょっとだけだし良いかなってしてこなかった…

奏斗
息苦しいとかある?

霧弥
少しだけ…

奏斗
マスクはっと…

奏斗
あっ、あったあった

奏斗
はい

霧弥
ありがとうございます、

奏斗
上着も貸したげるから、着てて

霧弥
ありがとうございます

霧弥
結局終わらせれなかったですね、

奏斗
それは今じゃないってことじゃない?

霧弥
…?

奏斗
まぁ深く考えないでいいと思うよ

奏斗
人間、いつかは終わりが来るんだから、それまで自分らしさを見つけていこうよ。

霧弥
…

奏斗
何か不服そうだね

霧弥
僕なんか本当に居て良いのかな…って

霧弥
凪がこれから不幸になっちゃうかもしれないし、

霧弥
翠にまた迷惑かけるかもしれないし、

霧弥
先輩にだって迷惑ばっかりかけそうだし…

奏斗
凪くんは霧弥が居ないと不幸になるよ?

奏斗
多分翠、?って子も。

奏斗
もちろん俺もね。

奏斗
頼ることはいいことだよ。

奏斗
困った時は頼って?

奏斗
俺はいつでも待ってるから。

奏斗
ね?

霧弥
…はい

奏斗
本当はさ、俺、霧弥にだから、生きて欲しいって思ったんだよね

奏斗
多分、今俺の親が居なくなっても何も思わないと思う笑

奏斗
でもなんでかな、

奏斗
霧弥が暗い顔してるのも逝こうとするのもどうしようもなく苦しかった…

奏斗
なんか変だね、

霧弥
先輩だったから、僕は今ここにいれると思います。

霧弥
多分、先輩じゃない誰かが止めてくれてても、僕は絶対譲れないと思うんです。

霧弥
そう思うと僕も変ですね

奏斗
ねー

奏斗
まぁ何でもいいよ。
霧弥を止める事ができて良かった。

奏斗
本当に心臓止まるかと思ったから笑

霧弥
それはすみません、

奏斗
全然良いんだけどね

奏斗
ただ、これまで辛さに耐えてきた霧弥に気付けなかった俺に俺は腹が立つ。

奏斗
今まで気付けなくてごめん、

霧弥
いやいやいや

霧弥
先輩が謝る事じゃないです

霧弥
僕が勝手に辛くなって勝手に飛び降りようとしただけなんです。

霧弥
だから、悪いのは僕の方で…

奏斗
霧弥は悪くないから、本当に。

霧弥
なら、先輩も悪くないです。

奏斗
ふはっ笑

奏斗
まぁ今回はお互いに悪かったって事でね

霧弥
ですね、

霧弥
ねぇ、先輩。

奏斗
なに〜?

霧弥
ニコッ

奏斗
霧弥、手貸して

霧弥
手…?

霧弥
はい、

奏斗
ぎゅっ)

奏斗
今回は止めれたから良かったけど、次回はわからないからね?

奏斗
だから、俺の傍に居てよ

霧弥
え、?

奏斗
霧弥が辛い時辛いって言えるように近くに居て欲しい。

奏斗
泣きたい時に泣きたいだけ泣けるように。

奏斗
言いたい事言える範囲で言ってくれていいからね。

霧弥
…ありがとうございます

全てが上手くいかなくてもいい。
生きてることに意味がなくたっていい
霧弥
いつ消えるかわからない命に明日を願うのは我儘ですよ、

奏斗
そー?
我儘でも良いから俺は霧弥の傍に居たいよ。

霧弥
先輩って、本気で言ってるのかよくわかんないですよね、

奏斗
はぁー

奏斗
これだから鈍感は〜

霧弥
…?

奏斗
俺は霧弥の事…
