彼が俺を溺愛する

颯side

幸次郎と別れて 1年が経過した｡

あの日以来,全く取って 居ない｡

けれども,今最も売れている 俳優で,ついこの間主演男優賞を 受賞したんだとか｡

マルチに活躍しているようだ｡

俺のことなんかきっと 忘れている｡

和音はズバリと言い当てて しまう｡

この1年間､幸次郎を 忘れた日なんてなかった｡

俺の心の大事なところには ずっと幸次郎が居た｡

和音の言葉を最後まで 聞かず､家を出てタクシーに飛び乗った｡

急いで空港に入ろうとすると 人だかりができていた｡

俺から見た幸次郎は 米粒サイズだ｡

人混みをかき分け､ 息をたっぷり吸って叫ぶ｡

すると､ファンや報道陣の 視線が俺に向けられる｡

一気にマスコミが 詰め寄る｡

幸次郎は俺の肩を抱き寄せて､ カメラを睨みつける｡

幸次郎は俺の顎をクイッと 上げ､優しいキスを落とした｡

頬がかぁぁッと熱くなるのを 感じる｡

幸次郎は柔らかく微笑んで またキスをした｡

そう言うと､幸次郎は 俺の耳元で囁いた｡

顔を真っ赤にし猛抗議 する｡

いたずらっぽくそう言う｡

周囲のファンから 黄色い歓声が上がる｡

力強くそう言った幸次郎の 瞳に嘘はなかった｡

幸次郎を強く抱きしめる｡

甘く濃厚な深いキスを交わす｡

俺の口腔内にいつの間にか入った 幸次郎の舌が口腔内を蹂躙する｡

幸次郎は俺の頭を優しく 撫でた｡

また荒々しく重なる唇｡

互いを求め合うような 欲情を強く感じる 深いキスだった｡

お互いの唇が離れた頃には 俺の意識は朦朧としていてた｡

膝から崩れ落ちそうになる 俺を幸次郎は自分の胸元に 抱き寄せた｡

コイツはイジワルなんて 優しいもんじゃない｡独占欲と 傲慢の塊だ｡

けれども､俺は この男を成海 幸次郎 という人間を愛してしまった｡

ちゅっ…｡

かがませた幸次郎の頬に 優しいキスをする｡

幸次郎は顔が真っ赤に 染まる｡

いつもは意地悪で傲慢で独占欲 の強いこの男が見せる 照れた顔が俺は大好きだ｡

そう誓って､俺たちはまた 深くキスをした｡