教えられた通りに犬の肉球亭と言う宿に着いた。中に入るとどうやら一階は食堂っぽい。
ユーマ
結構お客さんが入っておりみんな思い思いに食べたり飲んだり話し込んだりしているようだ。
ユーマ
ユーマ
ユーマ
わからないものは仕方ないと諦めてカウンターに向かう。
ユーマ
そう申し出ると、眉間にしわを寄せたスキンヘッドの親父さんが対応してくれた。
親父
ユーマ
親父
突然ガッハッハと笑い態度を豹変させる。
親父
と、肩を掴まれ先程とは嘘みたいな懐っこい笑顔を向けられる。ヤックさんとやらは結構名が通ってるらしい。ありがたい事だ。
しかし先ほどの盗賊の件もあるし、治安がいいとは限らないと思う。
とりあえず財布の中身を全部出すのは危険な気がして、金貨を一枚そろりと親父さんに見せた。
ユーマ
と恐る恐る聞いてみる。すると親父さんは少し考えた後
親父
と教えてくれた。
ユーマ
親父
鍵と金貨を交換しつつ聞いてきたので僕は首を振る。
ユーマ
とだけ告げて宿を去った。
で、だ。僕はすごく今頭を悩ませている。
とりあえず全く意味がわからなかったので親父さんに任せてその通りにしたのだが。
ユーマ
ユーマ
そもそも油ってなんだ。後風呂とかどうすれば良いんだろう。
早く知識とお金の価値を調べなければ。
正直親父さんに聞こうと思ったんだが、忙しそうだったのではばかられた。
僕自身知識を得ないといけないが、暮らしていくのに必要な知識をすぐ披露してくれるような都合の良い天使のような人はいないものか。
ユーマ
ユーマ
などとぼやいているといつの間にか裏路地に入っていたようで辺りが暗い。
これはまずいような気がして、すぐ表通りに戻ろうと振り返ろうとした瞬間、それが目に入った。
『奴隷売ります』
奴隷?この世界?国?かはわからないけど、どうやらここでは奴隷が許されているらしい。
成る程、どんな人たちがいるかわからないけど、教養のある奴隷を側につけて置くのも手だ。
と言うか奴隷を仲間にするって展開もよくある話だし、まぁ悪い事にはならないだろう。
そう思い僕は思い切ってアイリン奴隷商会と書かれた看板の店の扉を開ける。
アイリン
出迎えてくれたのは20代後半と思われる、ブラウンの髪を団子にまとめあげた何だか妖艶なお姉さん。
スカートに際どい位置までスリットが入った、こちらの世界で言うチャイナっぽい洋服を身につけている。
やだー、初めての女性とのエンカウントが奴隷商。
と考えてても仕方ないので、田舎から出てきた事、その為世間知らずなので教養のある奴隷が欲しいと言う話と、もしかしたら、と思いヤックさんの話を出してみた。
アイリン
と丁寧に奴隷について説明し始めてくれた。ヤックさん万能かな?
今回は人を買うという事で全額と言わなくても、袋の中の金貨をある程度お姉さんに見せる。
アイリン
アイリン
僕は奴隷と言う言葉にそんなに不安な顔をしていたのだろうか?
アイリン
ユーマ
アイリン
僕は思わずゴクリと喉を鳴らす。
アイリン
こちらの世界でいうローマの奴隷みたいなものだろうか?いや、僕歴史に死ぬほど弱いから良く分からないけど。
なんか解放奴隷制度とかあったよね?確か。
アイリン
そう紹介されたのは三人の奴隷。内2人は可愛い女の子だった。
残りの1人は、銀髪でキリッときた目をしたいかにも知性に溢れてそうな見た目をした少年。
うーんセオリー通りに行けば女の子なんて選んで決まった場合、このままハーレムルートだよね。
うん、めんどくさい。基本僕は何もしたくないのでハーレムのゴタゴタはとても避けたい!そんな訳で即決で残りの男の子を選んだ。
彼は僕より年下の13歳で、とある下級貴族の出だったらしい。しかし父親が出世を目論み手を出した事業に失敗。
その為可哀想に奴隷落ちしたそうだ。
と言ってもこの少年が背負うべき借金とか諸々を返しきると、奴隷から解放されるらしい。
何より教養もあり下級な為貴族とは言え金銭感覚などは一般人とそう遠くないらしい。
リオン
支払いの話をしていると、少年が突然土下座をしたので僕は思わず目を丸くする。
リオン
ユーマ
額を土に擦り付ける姿に全く訳がわからなくて、僕は奴隷商のお姉さんを見上げる。
お姉さんは軽くため息をつくと、それも丁寧に説明してくれた。
アイリン
そう言ってお姉さんが店奥に連れて行ってくれた。そこにはベッドに横たわる女の子が1人。
アイリン
アイリン
ユーマ
しかしそんな状態でも、酷い扱いは受けていないあたりこの国での奴隷の扱いは本当に悪くないらしい。
ユーマ
うわぁ、先ほどのハーレムになりそうなことは回避したい、なんて考えていたのに思わず僕はそう口に出してしまっていた。
リオンはパァァとあからさまな笑顔を見せ、お姉さんは困った顔をしている。
ユーマ
アイリン
苦笑しつつも彼女は姉弟を買う為の手続きを行ってくれた。
アイリン
ユーマ
2人についている魔道具に契約書を移す。
奴隷は逃げれないように、雇い主は虐待や殺しなど酷い扱いを出来ないようにする魔法がこれで施されるらしい。
アイリン
あまり甘いと足元すくわれるわよ、とお姉さんは僕に耳打ちをして、契約書を纏めてくれた。
アイリン
ふふ、とやはり妖艶な笑みを浮かべるお姉さんに見送られ、僕は新しく手に入れた奴隷、リオンと共に宿に戻る事にした。
コメント
2件
何もしたくないと言いながら、ユーマさん優しいですね!