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ワインレッドの真実

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ワインレッドの真実

6 - True end グリーンスリーブスの流れるバーで

♥

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2023年08月31日

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優香の父

話し合いを終え実行したあの日、

優香の父

恭くんがナイフを
奪ったときはヒヤヒヤしたよ

優香の父

あの子、賢いのに見境ないところがあったからね

優香の父

本気で勝くんのこと刺しそうだったから手が出そうになったな~

鴨野勝

思いとどまってくれて良かったです

優香の父

まさか、自分で刺すなんて思わなかったけどね

優香の父

でも、

優香の父

優香の父

君は元から、そうするつもりだったんだろう?

刹那、ワインを煽る手が無意識に止まる。

突然真実を突かれ、目が泳いでしまった。

鴨野勝

本当、お義父さんには敵わないなぁ

優香の父

優香の父

どうして、そこまでしたんだい?

鴨野勝

だって、
悔しいじゃないですか!

鴨野勝

優香を奪われて、
大好きな親友も貶されて

鴨野勝

だから僕は、

鴨野勝

優香や諒のためだと
正義を振りかざして

鴨野勝

あいつと同じ汚いやり方で、
蹴りをつけようとしました

軽快なステップを刻むような曲が 僕たちの間に流れ込む。

黙りこくっていると、お義父さんは優香と同じように、豪快に笑った。

首を傾げていると、お義父さんは、僕がいつも飲むカクテルを用意してくれる。

優香の父

勝くん、
もう少し話をしようか

優香の父

強いていうなら、諒くんと話していた多様性バトルについて

鴨野勝

ふふ、いいですよ
お義父さんからどうぞ

優香の父

うーん……そうだねえ

優香の父

軌跡なんてどうだい?
奇跡とも言い換えれるのは
素晴らしいし

鴨野勝

ふふ
少し、安直すぎませんか

話題を振ってくれた優しさが心に染みる。

鴨野勝

(……今なら、
 あの話をしても大丈夫かな)

鴨野勝

お義父さん

優香の父

どうしたんだい?

ワインを少しだけ煽り、話を切り出した。

鴨野勝

しばらくの間、息子を預かってもらえませんか

優香の父

香(かおる)くんを、私に?

こくりと頷くと、お義父さんは不思議そうに首を傾げる。

鴨野勝

……ここからは独り言なんですが

鴨野勝

鴨野勝

最近何か……感覚がおかしいんです

優香の父

第六感のお話ですか

鴨野勝

どうだろ、五分五分かもしれないです

私、そういうお話苦手なんですよ……と お義父さんは怯え、肩を震わせる。

僕は冗談だと笑って返し、カクテルに映る自分の顔と睨み合わせになった。

どこか不安そうな自分の顔が 不明瞭に映る。

鴨野勝

……息子の血液型がわかった日から、
でしょうか

鴨野勝

息子と会話して、食事をする時

鴨野勝

息子と同じベットで眠る時

鴨野勝

息子と手を繋いで遊んでいる時

鴨野勝

はっきりと言える理由も定かじゃないのに、息子と時間を過ごす度、漠然とした違和感があるんです

優香の父

……それは今、
君が香くんの名前を呼ばない理由にも繋がるのかな?

   

心を見透かされた居心地の悪さを、 カクテルを煽って揉み消す。

鴨野勝

あの子は……
僕の大好きな人の、息子です

鴨野勝

だけど……
どうしても、考えてしまうんです

鴨野勝

僕の子供は

香じゃない

言いかけた固有名詞を 心のうちで打ち明ける。

きっと今、 この言葉を口に出してしまえば、 事実を認めざるを得なくなってしまうから。

   

一つ、カウンターに透明の水滴が落ちる。

拭いた服に広がる染みが、水じゃない 温かさを感じて、少し戸惑う。

一つ、二つ、また水滴がこぼれて、 カウンターをじんわり濡らす。

突然の雨に見舞われた理由は、自分の 濡れる頬でわかってしまった。

鴨野勝

僕はあの時、真実を暴かないでいた方が、幸せでいられたんでしょうか

鴨野勝

薄っぺらい嘘の上で笑っていた方が、幸せだったんでしょうか

答えも聞かないで カウンターに突っ伏する。

また涙が溢れそうになって 目をそっと閉じた時、

それは違うぞ!!

と、大きな声がバーに響いた。

声の主がいる方に顔を向けると、そこには右耳にイヤーカフを飾った男がいた。

鴨野勝

諒!

名前を呼ぶと諒はニカッと笑い、こちらに向かってくる。

鶴崎諒

今日は、お前と会いたいって言う奴を連れてきたんだ

鴨野勝

僕に?

諒はドアの方に視線を送り、来いよ! と大きい声で誰かに合図を送る。

恐る恐るといったふうに、諒に呼ばれた誰かはドアから顔を見せた。

右耳には、諒と同じ イヤーカフが輝いている。

鶴崎諒

紹介するよ
この男が俺のハートを射止めた、

白鳥奏

白鳥奏(かなで)と言います

白鳥奏

初めまして、鴨野さん

鴨野勝

初めまして、白鳥くん

鴨野勝

えっと、俺に会いたいってどういう……

諒と白鳥くんは目配せをし、 白鳥くんが口を開いた。

白鳥奏

恭さんが逮捕された経緯についてです

鴨野勝

? それは僕とのことがあったから
じゃないのか?

白鳥奏

……いえ、実を言うと、鴨野さんとの出来事だけで諒のお兄さんが捕まったわけじゃないんです

鴨野勝

鶴崎諒

あいつ、お前とのことを金で解決しようとしてたんだ

聞かされた真実に目を見開く。

鴨野勝

あいつ、まだ罪を隠そうとして……!!

鴨野勝

あれ、でも捕まったって……?

白鳥奏

恭さん、諒くんだけじゃなくて、自分の女性会社員に暴行していたみたいなんです

白鳥奏

警察に捕まったと聞きつけた被害者たちが一致団結して、訴えてくださりました

鴨野勝

それで逮捕に……

鶴崎諒

いや、兄貴はまだ、金の力で押さえ込もうとしてたんだ

鴨野勝

じゃあどうやって

白鳥奏

白鳥奏

決定打になったのは恭さんの会社の賄賂です

白鳥奏

恭さん、会社の裏の秘密を握る秘書さんに日頃から暴力をふるっていたそうで、

白鳥奏

堪忍袋の緒が切れた秘書さんが
情報を提供してくださったんです

白鳥奏

流石に状況も一変して、

白鳥奏

ニュースのトップページにもなるほどの事件に発展しました

鴨野勝

そうだったのか

凶悪犯が無事捕まったことに 安堵のため息をつく。

鶴崎諒

そういえば

鶴崎諒

さっきマスターと、事実を暴露しない方が良かったかな〜とか悩んでたじゃん、お前

鴨野勝

う、聞いてたのかよ……

鶴崎諒

まあな

鶴崎諒

確かに、
お前の大好きな兎野はもう戻ってこないし、
兄貴の会社が潰れて仕事無くなったやつも多いだろうし、
悪い事ばっかかもしれないけどさ

鶴崎諒

お前のおかげで救われてる奴らも多いんだぜ?

鴨野勝

そうなのか?

白鳥奏

そうですよ

白鳥奏

ボクのことだって

白鳥奏

こうして会う前から助けてくださりましたし

白鳥奏

……感謝しているんです

白鳥奏

白鳥奏

今日の本当の目的は、鴨野さんにお礼を言うことだったんですよ

白鳥奏

本当に、
ありがとうございました!

鶴崎諒

俺も、お前には感謝しても仕切れないくらい感謝してるんだ

鴨野勝

2人とも……

鶴崎諒

……だからさ、鴨野

鶴崎諒

暴かない方が幸せだった、
だなんて言うなよ

二人の言葉が僕の胸をじんわり温める。

鴨野勝

そっか……

鴨野勝

そうだな!

鴨野勝

ありがとう、二人とも

僕の声を聞いて二人は微笑む。

鶴崎諒

そうだ、どうせ集まったんだからバトルしようぜ!!

鴨野勝

ふ、急だな

鶴崎諒

内容は
お馴染みの多様性バトルだっ!
奏も参加な!

白鳥奏

へ、ボクも!?

あたふたと慌てる白鳥くんに、諒は楽しそうに多様性バトルの説明をしている。

優香の父

……本当に、平和な光景だね

お義父さんは小さく笑い、僕の隣に立って、多様性バトルの練習をする諒たちの様子を眺める。

優香の父

この風景を眺めることができるのは、全部勝くんのおかげだね

鴨野勝

大げさですよ

優香の父

いいや、君が居なければあの子達の笑顔はなかったよ?

優香の父

それにしても……あの時は楽しませてもらったなあ

鴨野勝

突然の言葉に耳を疑う。

優香の父

恭くんが頑張って嘘を考える姿は、見ていて本当に気分が良かった

優香の父

諒くんが真実を話していた時、
驚きと同時に怒りが湧いていたんだよ

優香の父

うちの娘になんてことをしてくれたんだ! ってね

優香の父

あの怒りは、優香が初めて君を連れてきた日を思い出すような熱だったな

鴨野勝

ちょっとお義父さん(笑)

お義父さんは冗談だよ!  と朗らかに笑い、話を続ける。

優香の父

でも今は、優香がこの世を去ってもなお、大事にしてくれて感謝しているよ

優香の父

本当に、ありがとうね

優香と似た笑顔で告げられる礼に、胸がくすぶられる。

鴨野勝

(……これだけの言葉をもらってるん
 だから、僕はそろそろ覚悟を決めな
 いとな)

鴨野勝

お義父さん

鴨野勝

しつこいかもしれませんが、
もう一度頼ませてください

鴨野勝

僕の息子を、預かってもらえませんか

優香の父

その心は?

なにもかもを見透かすような視線が 僕に注がれる。

鴨野勝

……僕は自分のやるせなさを八つ当たりして挙げ句、息子から逃げようとしました

鴨野勝

だからこそ

鴨野勝

優香からの贈り物……
香を、幸せにする。

鴨野勝

覚悟を決める時間が欲しいんです

鴨野勝

その時間を、僕にください

沈黙が僕たちの間に漂う。 ……破ったのは、 お義父さんの大きな笑い声だった。

優香の父

私は香くんを甘やかせる口実が出来て嬉しいからねぇ

優香の父

覚悟が決まれば、迎えに来なさい

優香の父

ただし、香くんが私に懐いて帰りたがらなくなっても知らないよ?

鴨野勝

っありがとうございます!

頭を深く下げ、精一杯の礼を伝える。

鶴崎諒

鴨野〜!

すると、 俺の名前を呼ぶ諒の声が聞こえてきた。

鶴崎諒

お前の多様性バトルの点数0点だぞ!

鴨野勝

ウォーミングアップじゃ
なかったのかよ!

鶴崎諒

ハンデがあった方がたぎるだろ?

白鳥奏

ちなみに諒くんは−3点なので
安心してくださいね!

鶴崎諒

えーなんでだよー!!

2人のしょうもない言い合いを見て、 思わず笑みが溢れる。

優香の父

勝くん

優香の父

またあとで、
これからのことを話そうか

鴨野勝

……はい! 行ってきます、お義父さん

   

鶴崎諒

お、やっときたか鴨野!

鶴崎諒

今回はいつもと違って、単元ごとの多様性さを語る勝負をしてたんだ

白鳥奏

最初のお題は数列だったよね

鶴崎諒

リミットのことを言われた時は自分でも納得しちまったよ……

鴨野勝

個性派揃いだもんな

鶴崎諒

鴨野よお……今回の相手、
なかなかに強敵だぞ?

鴨野勝

久々に腕が鳴るぜ!
白鳥くん……上級者に
呑まれないようにな?

白鳥奏

望むところです
初心者は、
斬新な発想が見せ所ですから

お互い挑戦的に微笑み合い、出されたお題について熱く語り合う。

   

真実を暴いた方が幸せなのか、 嘘の上で笑い合う方が幸せなのか……

答えのないこの問いを、僕は これから抱えて生きていくだろう。

時には、 選択しなかった先の未来を想像して、 選ばなかった後悔をするかもしれない。

鴨野勝

(だけど今は)

鴨野勝

(諒やみんなの笑顔を見れた、
 この選択を信じたい)

   

もうすぐ、僕の大好きな グリーンスリーブスの曲が終わる。

次の曲の出だしは、ドラムの音が特徴的なアップテンポだ。

この曲が、僕の初めのステップになる曲にはちょうどいいかもしれない。

   

これから先、幸せだったと言い切れる人生を過ごせるよう

今夜は、僕の大事な仲間と過ごす 時間を楽しんだ。

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