［ チ ャ ッ ト 版 ］勇 者 が 可 愛 す ぎ て カ ン ス ト 出 来 な い ！

魔法ガチャとは、自分に適した魔法が与えられるガチャのことだ

5回までしかできないから、あまり頻度多く使うことはできないが

生涯一生使える5回もの種類の魔法が与えられると考えると、5回で十分すぎるほどだ

魔法ガチャは500Level以上のものでないと出来ないから、初心者は500レベルを目標として勇者パーティに入るものが多い

自分は、生まれつき500Levelに到達していた

5歳の頃、親が元々魔王に支えていた兵士ということを踏まえて500Levelということを聞くと

なんだか普通の事のように感じた

そのまま15年経ち、20歳になった今では…

2000Level

20歳の女性の平均が300Levelだから、現実的には考えられない数字だ

島の景色を眺めながらぼーっとしていると目の前に影が現れた

びっくりして後ろに倒れそうになる

倒れかける私の背中に手を回し、倒れないように支えてくれた

急に現れた時は驚いて大声を出してしまったが、島から出る道を教えてもらった

さっきいた島は、魔物に溢れていて"上級魔物剣士"という勇者パーティしか立ち入れないらしい

だから、島で見かけたことがない私を心配して声をかけてくれたらしい

優しい…けど

声をかけてくれた理由を知って、優しさに涙が溢れそうになった時に…

泣き虫だなぁ〜

って馬鹿にされた…から、優しいだけじゃないんだな、って少しふてくした

内心怒りながらも、島を出れたのはこの人のおかげだ

今日一の笑顔でお礼を言った

会った時は、大人びた青年という感じがしたが、はにかんだように笑うと幼く見える

思わず声を上げた私にびっくりしたのか、体を震わせる

魔法ガチャをしたところ…

"Levelを偽装する魔法"

だった…

Levelを偽装する魔法が使えるのは珍しいらしいけど、あまり使わない魔法だ

もっとよく使う魔法が出て欲しかった

ありがとう

あの時の少年に似てた

私がLevelを偽装していることを魔王様は知らない…

魔王様にLevelをカンストされないように慌てて偽装魔法を使った

あの時は、Level偽装魔法を身につけておいて良かった、と思ったけど…

今は後悔している

魔王様に嘘をつきたくない

私の本当のLevelを知ってるはず

私の本当のLevelを知ってるはず

…問題はこれだけではない

アマリリスさんは今魔王に仕えているが…

もしもアマリリスさんがあの時の少年だとしたら…

前は"上級魔物討伐"の勇者パーティに入っていたということ

そして、魔王様が魔物退治訓練をしていた時…

私が勇者パーティに入ることを目指すきっかけになった"あの人"に似ていた

…あの雨の日に、"あの人"を見つけた時の真剣な表情が…

似ていた