優希
お嬢様。朝です、起きてください
お嬢様
んぅぅ...
お嬢様
もう朝ぁ?
優希
はい、そうです
これが私の幸せ、今しか得られない幸せなのだ。
私は今、このお嬢様のメイド(バイト)をしている。
優希
では、掃除をしてきます、ちゃんと起きてくださいね
お嬢様
うん...
お嬢様
あっそうだ!
優希
どうしました?
お嬢様
私の机の引き出しの中に手紙が入ってるからそれ読んで
優希
手紙...ですか
お嬢様
うん、ごめん 中見ちゃった
優希
そう...ですか
表紙を見る
優希お姉ちゃんへ。
優希
この字体は...
優希
こころ...?
お姉ちゃんへ
今すぐ帰ってきて。お母さんの余命がすぐなの。最後にお姉ちゃんの顔を見せてあげて。最後...になっちゃうから
優希
.........
優希
掃除、してきます
お嬢様
だめ、お母さんの所に行ってあげて
優希
いつか...行きますよ
お嬢様
.......
優希
掃除行きます
優希
外に出てみたけど...掃除できる気分じゃない...
優希
(私は小さい頃から愛されてなかった)
優希
(いや、こころが生まれなければずっと愛されていた...はず)
優希
(妹が生まれてから、私は冷たく接された)
優希
(お母さんの所になんて行きたくない)
????
もしかして...優希お姉ちゃん...?
優希
.........こころ...?
こころ
うん!そうだよ...!
こころ
久しぶりだね
優希
...久しぶりね
こころ
手紙...読んだ?
優希
...................なに、それ
こころ
いや、読んだはず
こころ
手紙に付けてたシールが服についてる
優希
っっっ!?!?
こころ
.......あっはは
こころ
じゃあ、ついてきて
お嬢様
.......
優希
お、お嬢様!!!
優希
私は行きたくありません!この人追い払ってください!!
お嬢様
.....行ってらっしゃい
こころ
ねぇ!!!お姉ちゃん!お母さん死んじゃってもいいの!?会えないで...仲直りしないで...終わっていいの!?
優希
...でも家事が...
お嬢様
いいの、ほかのメイドにやらせるから
あはは...
あはは...
優希
.......行ってきます!
こころ
はい、行くよ
こころ
...そういえば、なんであそこで働いてるの?
優希
お嬢様は命の恩人だから、
こころ
命の恩人?
優希
えぇ、私が家出した時、道に迷っていた私を助けてくれたの
こころ
そっか...
こんな会話を長々と話していたら、あっという間に家に着いていた
優希
.........変わってないわね
こころ
お母さんのところ行ってあげて
こころ
私、ここで待ってるから
優希
うん...
優希
お母さん...ただいま
お母さん
...優希...?
優希
うん...
優希
おかあっ
その時、お母さんに抱きしめられた
お母さん
ごめんね...ごめんね
優希
...え?
お母さん
私からしたら、独立のためだけにちょっと冷たくしていたんだけど...
お母さん
それがあなたを不快にしていたなんて
お母さん
母親失格だわ...
優希
ううん.....ごめん、私も
お母さん
でも、優希、あなた愛されていないって思ってたのね...
優希
っ...
優希
ごめんな...さっ...ごめんなさ...ぃ...!
お母さん
はぁ...安心したら眠たくなっちゃった
お母さん
寝ちゃったら多分もう目を覚まさないわ
お母さん
大好きだからね...!
優希
お母さん!お母さん!!!
優希
まだ...まだ行かないで!
優希
うっあ...あぁ...
お母さん
もう...だめだわ...
お母さん
最後に何か言うことある?
優希
...今まで...ありがとう...!
優希
私も大好き...!
優希
こころ...終わったよ...
優希
仲直りした...
こころ
そっか...
優希
でもまだ逝ってないから...
こころ
まだ寝てる...のね
優希
じゃあ、帰るわ
こころ
うん...
優希
ただいま帰りました
お嬢様
おかえり
お嬢様
仲直り、できた?
優希
はい、
お嬢様
愛されていないわけではなかったでしょ?
優希
はい...
お嬢様
...よかったね
優希
ありがとうございました
お母さんがいなくなった今、私の幸せはお嬢様と一緒にいること
だから、今のこの時間を大切にしたい
皆さんも、今ある、今だけしかない幸せを大切にしてください