ー昼休み、校門前ー
五限目が終わってすぐ、私はのあさんと一緒に各教室を巡り、 ゆあんくんと面識がある面々に呼びかけて周った。
集まったのは、私とのあさんを除いて五人ーーー じゃっぴ、ヒロくん、うり、るな、そしてなお兄。
各々ゆるく雑談しながら校門に辿り着いたけれど、 生憎主役はまだ来ていないようだった。
ヒロ
じゃぱぱ
るな
じゃっぴ達がゆあんくんとの思い出話に花を咲かせている間、
私とのあさんは少し離れた一本松の影の下、 互いの恋愛事情をつっつき合っていた。
えと
のあ
のあ
のあ
えと
えと
のあ
のあ
えと
のあ
小声でチンアナゴのような、不毛な言い争いをしていると、
隣でヒロくんらと話していたなお兄がぴょんっと立ちあがり、 急に大きく手を振り出した。
なおきり
なおきり
釣られてこちらも振り返れば、確かに見慣れた顔が少し遠くで、
ぽかんとした表情でこちらを見つめているのが見えた。
思わず頬を緩めて私も手を振ると、 我に返ったらしく小走りでこちらに駆け寄って来る。
えと
なんて考えている間に、気付けばゆあんくんは 私達のすぐ目の前まで来ていた。
あまり体力を使い慣れていないのか、既に若干息切れしている。
ゆあん
その一言を皮切りに、まごつく本人を置いて行く勢いで、 周りのメンバーは次々各自の反応を示し出す。
じゃぱぱ
なおきり
るな
るなに関しては、私と同じく4年ぶりの再会なのにも関わらず、 毛先に入った赤メッシュに早速コメントしだす始末だ。
えと
そう結論付け、何気なく辺りを見回す。
えと
えと
うり
わいわいと騒ぐ人の輪から外れて、物憂げに微笑みながら、 静かにそれを見守っている人物がひとり。
えと
でも、どうしてだろう。二人は幼馴染だったと聞いているし、
挨拶くらい行っても良いような気もするけど…
そこまで考え、ふと少し前に彼が言っていた事を反芻する。
…
うり
うり
うり
…
えと
えと
えと
本当は、放っておいた方が良いのだろうけど。
いつものお節介な自分がつい顔を出し、 私はうりが寄り掛かる塀の方へと歩いて行った。
えと
えと
うり
えと
うり
うり
うり
うり
えと
えと
えと
うり
うり
えと
うり
うり
うり
えと
えと
うり
うり
おずおずとそう告げるうりはいつに無くしおらしく見えて、 滅多に見せないその姿にこちらまで気勢を削がれてしまいそうになった。
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
えと
うり
うり
えと
うり
うり
うり
うり
えと
自嘲気味に眉を下げるうりに、私は掛ける言葉を見失っていた。
……
今、うりの背中を押すのは、別に間違いでは無いと思う。
でもそれは優しさじゃなくて、 私が二人に仲良くして欲しいというだけの…ただのエゴだ。
えと
えと
えと
えと
重荷になってしまわないように、なるべく気にしていないふうを装って、
たんぽぽの種を飛ばすような優しさで、言葉をふわりと投げて寄越す。
すると、うりは一瞬だけ、
切れ長の目をちょっと丸くしてから、あどけなさの残る表情で明るく笑った。
うり
うり
うり
うり
うり
えと
うり
うり
うり
うり
えと
えと
うり
うり
えと
えと
えと
えと
うり
うり
うり
えと
言葉尻に合わせて肩をぐいっと押され、バランスを崩して壁に手を付く。
ただのノリ……じゃれあいだと分かっていても、 やられっぱなしは悔しくって、笑いながら脛を軽く蹴飛ばしてやった。
うり
えと
うり
うり
えと
静かに二人の周りを漂っていた空気が、また元気に跳ね回り出した。
下らなすぎるやりとりに腹を抱えて笑っていると、 ふと、うりの視線が私自身にでは無く、私の後ろ辺りに移るのが見えた。
えと
そう聞いて振り向こうとした瞬間、
視界がやんわりと何かの影で覆われる。
えと
急な事に戸惑っていると、頭上から、良く知った声が落ちて来た。
記憶の中のそれよりちょっとだけ大人びた、低くて安心する……
ゆあんくんの、声だ。
えと
なんだか可笑しくなって、覆い被さった手のひらを退けつつくるりと振り向く。
そのまま視線を上へとずらせば、 眩しいくらいに煌めく真ん丸の瞳と目が合った。
えと
ゆあん
ゆあん
えと
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
えと
えと
えと
えと
ゆあん
えと
えと
えと
ゆあん
ゆあん
えと
えと
色桃学園へようこそ、ゆあんくん!
…to be continued…
コメント
2件
遅くなりましたごめんなさいm(._.)m続き楽しみです!!待ってます!!