エキザカム

美羽side 手術から数日後の午前中。 経過観察で入院をしていて 検査をしたところ 胃腸系の数値が悪くて もう少し入院時期を伸ばすらしい。 在宅ワークで良かったと思いながら 剛が持ってきてくれた お花に水をあげていると ドアが開いた。

お花の水やりを終わらせ ベットに戻る。 剛の遠征の時のチームメイトの話や 私が入院中に見た映画の話をして これまでの生活の中で感じたものを お互いに話し始める。

食欲はあるんだけど 食べる度に御手洗に行ってるから 多分そのせいだと思う。 元々お腹の調子が悪い方だったし、 薬の副作用もあるから 病院の方も ヨーグルトとかお腹に良さそうなものを よく頂いてる。 ついさっきお腹の検査を終え 今はその検査待ち。

剛side 美羽のお見舞いに行き 寮に戻ってきた後、 部屋で彼女の好きな本の続編を スマホで見ていると 佑弥がノコノコとやってきた。

LINEは時間がある時に 連絡取り合っていて 文面や直接会いに行った時は 元気そう。 けどいつ体調崩すか分からないから 常に気を張ってる感じ。 そんなことを佑弥に話してたら 勢いよく部屋のドアが開いた。

純矢に連れられて ご飯に向かった。 お肉を焼きながら 美羽の話を振られ 全てを打ち明ける。

いい意味で楽観的で 悪く言えば危機感がない。 けど基本的にはのんびりしてて ほっとけない子。 そんな彼女からLINEが来ていた。

美羽の連絡の文字を読んだだけなのに その場の空気がどんよりし始める。 純矢と佑弥はさっきと変わって 黙々とご飯を口に頬張っていく。 聞こえていないのか もう一度同じ言葉を繰り返すと 純矢に止められる。

美羽side 7月7日七夕の日。 内視鏡の治療を始め出した今日この頃。 大腸がんの方はまだ初期だし 治る確率が高いらしい。 さっき病院にある図書館に行ったら 小児科の子に七夕の短冊を貰ったから 自分の部屋で願い事を書いている。

いつの間にかいた剛にびっくりして 慌てて机の上を整理する。 急ぎすぎて 本とかペンとか床に落としてしまった。

そう言われ 白紙の紙に今出ている 願い事を書いていく。

3個ほど出した案の中で 真ん中にあった願い事を 指を指した剛。

幸い眼科で入院中に発覚して そのまま大腸がんの方の 治療を始めほぼ初期だから 花火大会前後に退院できるらしい。 けど私の体調次第で 入院時期を伸ばすかもしれないとのこと。

剛自身も生活かかってるし 何か申し訳ない感じになっちゃって ボーッとベット上から窓をの外を 見上げる。 そんな私の様子を汲み取ってるのか 剛の右手が頭をそっと撫でていた。

そっと左手を握ってくれた 剛は名残惜しそうに 仕事場に向かっていった。 私も点滴した右腕を気にしながら パソコンを立ち上げるのだった。