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エキザカム

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エキザカム

7 - 第7話

2024年07月18日

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剛side 7月の下旬。 美羽は回復傾向が続き 約束していた 花火大会の前日に退院予定らしい。

石黒

良かったね。退院出来そうで。

椎葉

うん。大腸がんの方も完治したみたいだからほんと良かった。

蝉の鳴き声が 響き渡り 朝から暑い日差しの中 佑弥と一緒にグランドに向かう。

藤田

剛〜今日何日?

椎葉

え?7月の最終日だけど。ほら。

何の確認なのか 分からないが とりあえずスマホ画面を 健斗に見せつける。

藤田

ん?何か不在着信あるけど。

椎葉

え?誰?あ、美羽か…

石黒

かけ直したら?

椎葉

そーする。

美羽に電話をかけたら すぐに電話に出てくれて 要件を聞くと 退院日を間違えて 伝えていたらしく 正しい退院日が今日らしい。

椎葉

え?マジで?

美羽

『うん。ほんとごめん。見間違えてた。とりあえずうちの父さんに急に頼んだから剛は練習と試合に集中してもらえたら助かる』

椎葉

了解。気をつけてね。

美羽

『うん。ありがとう。』

美羽が通話を切ったのを確認し スマホをカバンの中に入れた。

石黒

どうしたん?

椎葉

退院日間違えて俺に伝えてたらしい。ホントの退院日今日だったみたい。んで、間違えてたのは検診の日。

藤田

そうなんや。

石黒

まぁ間違えるのって誰でもあるからね。

2軍監督

あれ?彼女さんは?

椎葉

今日退院っす。多分今頃朝ごはん食べてるはずですね。

さっきの電話で 遠いところから看護師さんが ご飯の運搬の音が聞こえていた。 つくづく看護師さんって 偉大だなぁ〜って思いながら 美羽の話を聞いていた。

2軍監督

なら、今度時間がある時でいいから寮の食堂の人が彼女さんとメニューの話がしたいから寮来て欲しいって言っといて。

椎葉

あ、はい。わかりました。

石黒

気を取り直してグランド行こ〜

椎葉

うん

病院のお会計が終わり 外に出ると夏特有の暑さが 体にまとわりつく。 スマホの時計を見ると お昼時だった。

美羽

暑い …

美羽父

お昼ご飯食べたっけ?

美羽

病院の中にあるコンビニのおにぎり食べた。

美羽父

父さん食べてないからファミレス行っていい?お腹すいた。

着いてきてくれる代わりに 何か頼んでいいとの事で その誘いに乗ることにした。

車で10分ぐらいのところにあった ファミレスに足を運んだ。 お互い好きな物を頼み 並んできたごはんを 口に運んでいく。

美羽父

仲良くやってんの?最近。

美羽

うん。仲良くさせてもらってる。

美羽父

もうすぐで2年だっけ?

美羽

うん。

美羽父

デートとか行くの?

美羽

明後日の花火大会行く。

女子高生のような父親に 若干引きながらも 目の前にあるチョコのミニパフェを 口に運ぶ。

美羽父

浴衣って会ったっけ?

美羽

ある。

美羽父

明日の予定は?

美羽

明日は念の為の検診の後に、阪神の寮の方とご飯の新メニューの打ち合わせ。

入院中もパソコンと睨めっしてた おかげか分からないが 有難いことにお仕事の幅が広がり 色んな方面から取材や 本の監修のお仕事の依頼を 頂いていて 充実している。 七夕の日から剛とは会っていないが LINEとか電話は 予定が合うタイミングで いつもやっていた。 そんな話をしていたら いつの間にか食べ終えていて 父さんの運転で 一人暮らししている 家まで送ってもらった。

剛side お昼ご飯を食べに 食堂に向かうと 年下組が何やら輪になって騒いでいる。 様子を伺うように その中に加わると 純矢がとある女性を口説いていた。

椎葉

純矢。

西純

え?何?なんや剛か。

石黒

彼氏登場したね。

美羽が困り顔で 俺の様子を伺っていたから 美羽の隣に座っていた 純矢を追い払い隣に座った。

西純

あ、ちょっと。まぁいいけど。

椎葉

何話してたん?

西純

そんなん決まっとるやん。剛の話。

椎葉

何聞いた?

西純

え?普通に普段見られない剛の挙動に、あとデートとか入院中の剛の惚気。

純矢が淡々と話す横で 美羽は段々顔を真っ赤にさせる すぐに持っていたパーカーを 美羽に着させて フードで顔を隠させる。 ついでに顔を見せないように 美羽の体を引き寄せた。

石黒

彼シャツ。

森木

剛さんそんなの聞いてないっす。ほらみてくださいよ彼女さん。めちゃくちゃ抵抗してますよ。

美羽

あ、落ちた。

椎葉

何を?

美羽の足元に 彼女に送ったエキザカムの花が 押し花としてしおりにされたものが 落ちていた。 大事そうに拾った美羽は それをカバンの中に入れようとすると 純矢が話を振る。

西純

その花って何?

椎葉

エキザカム。

美羽

剛が私の入院中に持ってきてくれて。綺麗に咲いてたから押し花にして取っておこうと思って。

石黒

本って読むの?

椎葉

めちゃくちゃ読んでる。初めて会ったのが図書館だったもん。付き合いたてのデートもほぼ図書館。

ある程度出会ったエピソードを 話したが詳しいデート場所なんて 言ったことがなかったから 驚きを隠せない同い年たち。 いつの間にか俺が被せたパーカーを 脱いでお腹にかけた美羽が 食堂のキッチンに向かって 何かを持ってきた。

美羽

これ味見で食べてみてください。新作なんですよ。

石黒

え?いいの?

西純

なにこれ?剛知ってる?

椎葉

ううん。初めて見た。

美羽

回鍋肉にちょっと餡掛けっぽくして唐辛子を入れてみたんですよ。剛は餡掛けじゃない普通の回鍋肉に唐辛子を入れたヤツ食べてる。

椎葉

あ〜あれやな。あれめちゃくちゃ美味しかった。

小さいコップに少量ずつ 入った寮の新作を 各自食べ始める。

石黒

美味しい。

西純

剛いいな〜。料理上手の彼女がいて。

椎葉

あ、俺お昼食べに来たんやった。

美羽

剛のご飯そこあるで。他の選手もう食べてるから。

慌ててご飯を受け取りに行き 座ってた椅子に腰掛ける。 いつの間にか周りには 純矢と佑弥だけが椅子に座っていた。 他に輪になっていた選手は グランドに向かったはず。 みんなとは少し遅れた ご飯になったが 箸を進めていく。

西純

これ美羽ちゃんが作ったらしいよ。

椎葉

やっぱり?味付け美羽やな〜って思ってた。

石黒

さすがやね。

美羽

久しぶりじゃない?私のご飯食べるの。

椎葉

うん。今度カレー食べたい。野菜の切り方が荒いやつ。

美羽

カレーのルーは水が多い方がいい?

椎葉

少ない方がいい。

西純

夫婦じゃん。その会話。

石黒

新婚さんって感じ。

美羽

え?新婚?

石黒

うん。

西純

剛頑張れよ。

椎葉

え?あ、うん。

美羽

なんの事?

椎葉

なんの事か分からへん。

西純

は?まだ言ってないん?

石黒

明日だって。

西純

明日なんかあんの?

石黒

花火大会。

西純

あ、なるほど。

美羽

私なんのことかわかんない…

西純

明日わかるから大丈夫。

意味がわからない様子の 美羽を横に 彼女が作ったご飯を完食した。 美羽はこの後家に戻り仕事の続きを する予定とのことで 純矢と佑弥と一緒に グランドに向かった。

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