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先に声をかけたのは僕だった
すぐ真横で話しかけたはずなんだけど
目的の相手は振り向きもしない
今度はそっと肩に手を置いてみた
さすがに気付いてくれたようだ
僕の方を振り向いたお兄さんは
柔らかそうな髪をサラリと流して微笑む
随分と間抜けな声が出てしまった
遠目から見た時よりもクリアに見えるお兄さんの顔が
想像していたよりもずっと綺麗だったから
酷いと言いながらもそんなに気にしていなさそうな態度のお兄さん
手元にあったカクテルを口へ運び
お兄さんはコクリと1度喉を鳴らした
まだお酒も飲んでないのにドキドキしてきた
こんな綺麗な男の人って本当に存在するんだ...
会話する事を許された気がして
僕はお兄さんの横へ腰かける
僕から目を逸らしてしまったお兄さん
僕はお兄さんから視線を逸らさずに
じっと綺麗な横顔を見つめていた
お兄さんは「マスター」と声をかけ
「隣の子にも俺と同じやつ」と飲み物を頼んでくれた
目の前に置かれたカクテルを1口飲み下す
仄かな甘さに強めのアルコール
どこか危険なイメージを受けるそのカクテルが
隣に座るお兄さんにピッタリだと思った
本当の名前を教えるのは少し抵抗があったから
僕は適当にヒロと名乗った
そんな事言われても
学生の頃に解いてきたどの問題よりも難しい
何も知らない人の名前を当てるだなんて
無理ゲーにも程がある
お兄さんも本気で当てれるなんて思っていないだろうし
思い付いたまま答えるしかない
男の名前としてはあまり相応しく無いかもしれないけど
お兄さんのイメージで考えたら真っ先にミヤビって名前が浮かんだ
お兄さんは少し驚いた表情を見せたが
それも一瞬の事だった
まさか今考えた名前で呼べと言われるなんて
そんな事想像もしていなかった僕は
目をパチクリと瞬かせて驚いた
名前を当てられた訳ではなさそうだし
こんな事ならもっとよく考えておけば良かったかもしれない
ニコッと笑うミヤビさん
その笑顔が美しいのは当たり前として
初めて少し胡散臭さを感じてしまった
もしかしたら僕
変なお兄さんに声かけちゃった?
なんて心の中で思いつつ
僕もニコリと笑顔を返したのだった