涼太じゃないといけないから。

俺はゆっくり、彼に近づいた。

彼は俺の事を数秒見たあと、下を見て、俯いてしまった。

多分、今日も誰も居ないよね。

すると彼は顔を元に戻し俺の事を見た。

俺は彼に向かい頷き、屋上から下の階へ下りた。

そう言い宮舘先生は扉を閉めた。

僕は宮舘先生に案内され、席に座った。

近くで見ると、本当にイケメンだ。

キリッとした目つきに厚い胸板。

声も高くもなく、低くもない、聞きやすい音程だ。

そして暖かい。

頭にはイジメの事、家族の事が浮かんだ。

それはそうだ。

なんか、宮舘先生には話しても良い気がした。

宮舘先生は一瞬ハッとびっくりした表情を見せた。

そりゃ、びっくりするよね。

本当は家族の事も話したい、と思った。だけど、引かれるよね。駄目だよね。絶対駄目だ。

気付けば涙が出ていた。

宮舘先生は僕の背中をさすってくれていた。

泣いた。

たくさん涙を流した。

親になんか、助けを求めたら何をされるだろう。

叩かれるかな…？

嘲笑われるかな…？

でも、こんな事言ったら、引かれるし、親にもなんか言われるんだろうな。

僕はここに来たいなと思った。

宮舘先生ともっと喋りたいと思った。

僕がそう聞くと宮舘先生はニコッと微笑んだ。

僕はふと時計を見た。

僕はそう挨拶し教室を後にした。