いるまを買ってから数週間後の話。
いるま
出掛ける準備をしているといるまから声を掛けられた。
LAN
いるま
LAN
いるま
1週間程前から忙しい日々が続いている。毎日みことと仕事の為に城下町を駆け巡っている。“王子が無理してやらなくて良い”、と言われているが、自国のことは自分で把握しておきたい。
…しかし、いるまに寂しい思いをさせてるのは申し訳ない。次第に色んな人に心を開きかけてるとは言え、いるまが一番心を開いているのは間違いなくおれだ。そんないるまを屋敷に一人残していくのは心苦しい。とは言え、市場のことがよくわからないいるまを連れてくるのもな…。
みこと
LAN
みこと
LAN
みことも頑張ってくれてるし、おれが弱音を吐くわけにはいかない。
仕事が終わったらいるまを目一杯甘やかそうと思うも、疲れ過ぎて何もしたくない。家に帰るなりベッドに倒れ込む。
いるま
うとうとしかけた時、控えめないるまの声が聞こえた。
LAN
いるま
LAN
睡魔と戦いながら言葉を紡ごうとするも、口が回らない。そんな中、むぎゅ、とおれに抱き着いてくるいるま。可愛いな、と思いながらおれの瞼は落ちかけていた。
いるま
次の日、目が覚めたらベッドにいるまはいなかった。夢だったのか…?と思うも、確かにいるまに抱き締められた感覚は残ってる。
そう思いながら起きて支度をしていると、いるまがおれに何かを差し出してきた。
LAN
いるま
いるまが、おれの為にお弁当…?
いるま
LAN
おれが笑顔でお弁当を受け取ると、いるまもパアッと嬉しそうな表情になる。その笑顔が愛おしくて、いるまの頭を撫でてあげる。尻尾も揺れてるし、可愛いなぁ。
いるまのお弁当のおかげで今日は頑張れそうだな…。
LAN
今日でやっと全部業務が終わった。いるまのお弁当パワーのおかげかな?なんて思いながらるんるんで家に帰る。
LAN
意気揚々と屋敷のドアを開けるも、いるまのお出迎えがない。いつもなら玄関に走ってきてくれるのに…。
LAN
声をかけながら屋敷を探していると、おれの部屋から物音が。誰だろう、とこっそり部屋の中を覗く。
LAN
いるま
おれのベッドの上で泣きながらおれの名前を呼ぶいるま。…いるま、寂しかったけどおれには見せないように着丈に振る舞っていたのかな…。
おれは音を立てて部屋のドアを開ける。ビクリといるまの耳が跳ねて、飛び起きる。
いるま
LAN
おれはいるまを抱き締めた。
いるま
LAN
いるまはおれの腕の中で静かに涙を零し続けた。
***
LAN
いるま
LAN
ニコニコ笑顔のおれに対し、いるまは何故かそわそわと落ち着かない。
いるま
いるまは視線をあちこちに彷徨わせた後、おれに耳打ちする。
いるま
…言われてみれば、いつもよりいるまの息は荒いし、視線も熱っぽい。あれ、じゃあ昨日いるまがおれのベッドに潜り込んで来た時も…?
LAN
名前を呼ぼうとして、ベッドに押し倒された。
いるま
いるまの目には完全にハートが浮かんでいた。あ、これ、逃げられない…。
いるま