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夜の雨は、重く、沈んでいた。
街の光がぼんやりと滲んで、雨粒がアスファルトを叩いていた。
ザー…という音が、まるで世界の全てをかき消すように響いている。
相川は、学校の裏の屋根付きのベンチに座っていた。 制服の裾は、すでに濡れていて、髪の先からも雫が落ちる。
目の前のスマホには既読の文字。
―たける…。
既読はつくのに、返信がない。
相川こうま
相川が呟くと、隣の真堂が腕を組んだまま低く言った。
真堂そうた
花丸先輩は黙って煙草の箱をいじっていた。 吸うわけでもなく、ただ、箱の角を指で弾く。
花丸先輩
相川こうま
その言葉に、ためらいもなかった。
花丸先輩が小さくため息をついて、立ち上がる。
花丸先輩
相川こうま
相川が濡れた前髪をかきあげ、低い声で言った。
三人は傘をささずに歩き出した。
雨はどんどん強くなった。 真堂の横顔は、街灯に照らされて硬く、険しかった。
真堂そうた
相川こうま
花丸先輩がうつむきながら言った。
花丸先輩
花丸先輩
真堂そうた
真堂が短く答えた。 静かな怒りと、決意が混ざっていた。
曲がり角を過ぎる度、街の光が少しずつ遠くなっていく。
たけるの家は住宅街の奥。 街灯の光も届かないような静かな場所にある。
真堂が呟いた。
真堂そうた
三人の足音が水を蹴る音と混ざり、夜の雨に消えていく。 濡れたアスファルトに映る街灯の光が揺れていた。
たけるの家が見えた時 誰も言葉を発さなかった。
ー遠くから聞こえた…
大きい物音、悲鳴、叫び声。
ーやめて!!!
たけるの声だった。
相川こうま
相川が飛び出そうとするのを、真堂が抑える。
真堂そうた
相川こうま
花丸先輩
真堂そうた
花丸先輩
ーもう、やめて!
その声が聞こえた瞬間 相川はドアに向かって全速力で走った。
相川こうま
ノックもせず、全力でドアを蹴る。
ドンッ!!!!!!
玄関が激しく揺れ、扉が少し開いた。
相川こうま
中から、酒と血の混じったような匂いがした。 リビングの奥。倒れているたけると、髪が乱れているたけるの母。
母
低く、掠れた声。
花丸先輩
真堂そうた
母
女は叫び、手にしていたリモコンを投げた。
ガシャーン!!と壁にぶつかり、破片が飛び散る。
たけるは怯える体で必死に声を絞り出す。
桐生たける
相川こうま
相川はその肩を抱き寄せた。
女がにじり寄る。
母
真堂の怒りが、抑えきれず、叫んでしまう。
真堂そうた
真堂そうた
真堂そうた
真堂の怒鳴り声が、室内に響く。 静まりかえる室内。
花丸先輩
相川こうま
花丸先輩の合図に相川はたけるをお姫様抱っこして、外に走っていった。
花丸先輩
真堂そうた
主
主
主
主
主