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夜明け前。 まだ空は薄暗く、雨はようやく小降りになっていた。
相川はずぶ濡れのまま、たけるを抱えて道路に膝をついていた。
たけるは顔を相川の胸に埋め、小刻みに震えている。
相川こうま
相川は何度も繰り返し言った。
たけるの髪から雨と涙が混じり合って流れ落ちる。
パトカーのサイレンが遠くから聞こえてきた。
花丸先輩と真堂が駆け寄ってくる。 二人とも息を切らし、顔には泥と雨の跡が残っていた。
真堂そうた
相川こうま
警察が駆け寄り、三人に尋ねる
警察
相川こうま
相川は震えた声で答えた。
花丸先輩と真堂は警察に連れられ、現場検証のために車に乗せられていく。 相川が見送ると、花丸先輩は小さく笑った。
花丸先輩
相川こうま
ー数時間後
保護施設の一室。
白い壁、暖かい毛布、静かな時計。
たけるはベッドに横たわっていた。 顔には小さな傷、腕には青いアザ。 でも、眠っている表情は穏やかだった。
相川は椅子に座ったまま、じっとその寝顔を見つめていた。
その時、ドアがノックされた。 職員の女性が顔を覗かせる。
職員の女性
職員の女性
相川こうま
相川こうま
相川は小さく礼を言い、もう一度たけるを見た。
たけるのまつげが、少し震えた。
ゆっくり目を開け、ぼんやりと相川を見る。
相川こうま
桐生たける
相川こうま
桐生たける
相川こうま
たけるの目に、涙が滲んだ。
桐生たける
相川は静かにその手を握った。
相川こうま
たけるは、相川の手をぎゅっと握り返す。 その手はまだ小さくて、震えていたけれど、 確かに、生きている温もりがあった。
真堂そうた
真堂の声は、かすかに震えていた。
警察署の薄暗い部屋。 机の上には白い紙コップと、冷めたコーヒーの匂い。
花丸先輩と真堂、2人は黙って椅子に座っていた。
雨の日の記憶が、何度も頭をよぎる。 ドアを蹴り破った瞬間。 倒れているたける。 血のように濡れた床と、泣き叫ぶ母親。
花丸先輩
花丸先輩が唇を噛み締める。
花丸先輩
警察は黙々と頷きながら、メモをとっていた。
真堂そうた
言葉が途切れ、喉がつまる。
真堂そうた
窓の外では雨がやみ、薄い光が差している。 濡れたガラスの向こうに、朝日が滲んでいる。
その光は、彼らの胸の奥まで、静かに届いていった。
事情聴取が終わり、病院に向かう真堂と花丸先輩。
真堂そうた
花丸先輩
真堂そうた
真堂そうた
真堂そうた
花丸先輩は少し笑い、真堂の頭をぽんと叩いた。
花丸先輩
真堂そうた
真堂は顔を見上げ、空を見た。 少しだけ、青空が見えていた。
真堂そうた
胸の奥で、そう呟いた。
主
主
主