ホソク
俺は男版の遊郭?みたいなところ に売られた。
ここに勤めて7年? 俺はもう、そういうののプロだ。
ホソク
俺にさんざんヤらせといて 店長は報酬をくれなかった。 店にお金がない?どうでもいいよそんなの。 俺がいつもどんな気持ちでヤられてると思ってんの?
店長
ホソク
どんなに言ってもしつこいから そばにあった靴を投げつけようとした。 そのとき_
グク
みたことのない、 シルエットの大きい人がゆっくりと近づいてきた。
グク
グク
グク
店長
彼と目が合った。 純粋そうで濁りがない、そんな第一印象
グク
ホソク
グク
そういうと彼は 俺の冷え切った肩にコートをかけてくれた。
グク
ホソク
ホソク
グク
グク
純粋とは真逆の台詞を自信満々か傲慢か、そんな表情と共に言い放った。
ホソク
だから俺は"うち来る?"という誘いに乗った。 "ただ面白そうだから"だ。
ジョングクとの出会いはそんなのだった。 だから俺とジョングクの間に愛だの恋だのそんな幻想的で甘ったるい言葉は一個も存在しない。 存在してたら"今"はない
2ヶ月後
玄関のドアを開ける為のナンバーキーを押す機械音が微かに聞こえた。 テレビを付けていなかったからだ。
ホソク
グク
まるで俺など居ていないものの様に見向きもせずに通り過ぎるジョングクと、それを当然の様に俺も目で追ったりなんかしない。 ただとても快適に寝そべる事が出来るソファにずっと横たわって携帯でネットショッピングを継続している。
グク
頭の方のソファが沈んだのと名前を呼ばれた事でジョングクがそこに座ったのだと分かる。 携帯から目を離す。
グク
俺を見下ろすジョングクのTシャツから覗く首に赤い痣が見えた。
ホソク
グク
グク
赤い痣まで付けられて数日ぶりに帰宅しといて、可愛い顔して外道な言葉を呼吸する様に吐き捨てる。 俺からしたらもうそれも聞き慣れたものだけれど。 てかジョングクって男にもモテるんだな。
ホソク
グク
意味が分からない。 それ以上でもそれ以下でもないなら悪い気はしないけれど、ジョングクの言葉の意味は理解できなかった。
ホソク
グク
ジョングクの太腿に頭を乗せると携帯を見るのが少し楽だ。
テレビを付けたジョングクがバラエティ番組の再放送を見始めたせいで、笑う度に脚が揺れて俺の視界も揺れる。 この少し高い笑い声と無邪気な笑顔はその他の女や男からしたらただ"可愛い"でしかないのだろう。
俺とジョングクには甘ったるい言葉なんかない、と言った様に"それ"も一度もない。 どれだけくっ付いても離れていても。 当たり前か、男同士なんだから。 遊郭に勤めてたせいか、人とはちょっとずれてる気がする。
"それ"はないし今後もそんな予定はない。 こうして目の前のジョングクが素性の知れてる女と火遊びに興じて帰宅して、その逞しい首に赤い痣があろうと俺が何か言う事もない。
それに何か余計な事を思う事もない。 もし思う事があるとすれば"独占欲の強い女に捕まったな"って事くらいだ。 今回の場合は。
ただジョングクもジョングクで首にそんなのがあるのを承知で遊んでるんだろうけど。 そのくせ不特定多数という方法は切り捨てない。
グク
グク
ホソク
“窮屈”と顔を顰めてまで言ったジョングクの言葉を聞いたら、不特定多数のうちの何人の女が絶望するだろうか。
気の毒だが俺には何も出来ない。 いい気味だとかは全く思わないけれど、見た目よりずっと典型的悪い男ジョングクに落ちたのはご愁傷様とは思う。
顔良し身体良しなのは否定しない。 でも火遊び相手にしておくのが丁度良い。 なんて思う俺も道徳的な基準が下がってる気がする。
グク
ホソク
ホソク
ダイニングテーブルの上に置きっぱなしのペットボトルの水に手を伸ばす。 程なくして両脇腹に俺のものではない体温。
グク
ジョングクの両手だ。
ホソク
グク
こうしてどっちかがどっちかに容易く触っても、何もない。 俺も反応しないジョングクも反応しない
何かが成り立った生活がお互いに心地良くてジョングクの言う通り2ヶ月が過ぎた。 弟、家族、友達、親友、悪友、ジョングク。
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