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燃え盛る炎
轟く爆発音
島にあるなけなしの財産を狙いに海賊達は好きなように暴れている
辺り一帯焼け野原となった私の、いや、私たちの島は跡形も無くなっていく
仲良かった幼馴染も、家族も、何処にいるのか分からない
どこにいるのか探そうとしても、海賊と燃え盛る炎がそれを許さない
気づいた時には航海術も何も分からないのに停まっていたボートに乗って出航していた
だけど、すぐに荒波に飲み込まれてしまう
かつて水泳が得意だった幼馴染の1人に教えてもらったように必死に泳いだ
私は生きたかった
また、大好きなギターで、幼馴染達とセッションしたい
こんな願望だけが私を生かしていた
家族も、幼馴染も生きているかどうか分からない
だけど、「生きてる」って信じて疑わなかった
私が死んでしまったらだめだ、だめなんだ
イチカ
もう意識はほとんどなかった
最後に見たのは棺のような形をした船だった
イチカ
目覚めたのは、ふかふかのベッドの上だった
イチカ
広々として、どこか気品を感じさせるような家具が堂々と並んでいる
枕にはタオルが巻かれており、少しばかり湿っている髪からは微かに潮の臭いが残っていた
海という危険な場所では無い安堵とどうしてここにいるのか、という疑問を胸に扉をゆっくりと開けた。
イチカ
イチカ
長い廊下を突き進むと、ダイニングルームのような場所へ出る
本でしか見た事のないような長いテーブルに大きな椅子
お城のような部屋にわくわくする気持ちを抑えながら辺りを見渡す
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
背後からかけられた渋みのある声に驚き、小さく声をあげる
イチカ
どこか威圧感を感じさせるような琥珀色の瞳と高身長の男性
お礼を言うはずの口が自然と戸惑いを見せる
イチカ
イチカ
イチカ
続く沈黙
2人は突っ立ったまま時間は無情にも過ぎていく
きっと、目の前にいる男性はイチカの出かけた言葉を待っている
イチカは勇気を振り絞って、口を開けた
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカは目の前の男性の言葉を聞いて意識を失う前の記憶を思い出していた
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
イチカ
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
ミホーク
イチカ
イチカ
ミホーク
と、そのままキッチンへと男性は向かった
ミホーク
イチカ
イチカ
ミホーク
ミホーク
イチカ
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
と、満足気にミホークは微かに口角を上げた
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
お礼を言うことでいっぱいいっぱいになってい、生乾きの服と髪には潮の臭いが付着していることを忘れていた
自覚すると急に寒気が襲い、くしゃみをひとつ
イチカ
と、ミホークに案内された大浴場に入ることにした
ミホーク
ミホーク
ここに女児の着れるような服は置いているはずがなかった
イチカ
多分ここに住んでいるのはミホークただ1人
当たり前だがここに女児の服はない
イチカ
イチカ
イチカ
イチカ
どうしよう、と頭を悩ませているうちに段々と逆上せる
イチカ
風呂から出る他ないイチカは羞恥と共に風呂を出た
イチカ
脱衣所にはきっとミホークのものであろうシャツが置いてあった
イチカ
ダボダボのシャツは膝下まであり、袖は言わずもがな
しかし、問題は下着だ
イチカ
とりあえず自分が履いていたパンツを履くことにしたが、生乾きのパンツはとても履き心地が悪い
イチカ
イチカ
気持ち悪さと葛藤しながら、何とか自分を説得させた
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
キッチンからはすごくいい匂いが漂う
匂いにつられてイチカのお腹も鳴った
イチカ
顔を真っ赤にしながらお腹を抑えるイチカを見ながらミホークは料理を運んでくる
ミホーク
ミホーク
と、袖をイチカの手が出るまで曲げてくれた
イチカ
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
ミホーク
イチカ
ミホーク
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
面と向かって言われるとやっぱり落ち込む
今頃家族とみんなはどうしているのだろうか
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
願うことしかできなかった
ミホーク
ミホーク
ミホーク
イチカ
と、食卓に並んだご飯を口に運ぶ
イチカ
ミホーク
自然とスプーンを持った手が動く
鬱々とした気持ちが少しだけ背き、目の前のご飯によって幸が広がる
イチカ
イチカ
あっという間に平らげ、更にはおかわりをもらおうと交渉し始めていた
イチカ
ミホーク
イチカをキッチンまで誘導し、ご飯を再びついでもらう
イチカは自分が満足するまでご飯を食べた
食後、鬱々とした表情は少し和らいでいた
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
ミホークとイチカは少し前に出会った、しかも今日初めて言葉を交わした赤の他人にすぎない
なのに
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
イチカ
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
ミホーク
イチカ
次の日、とんでもない量の服と下着がイチカの元に届くのだった
島全体に木霊する悲鳴
海賊の下卑た笑い声と悲鳴と爆発音
混沌化した島には血の臭いも漂い始めていた
やはり炎で前は見えない
夢であればどれほど良かったのだろう、と目の前の光景が本当に信じられなかった
お金は富んでなかったけれど
すごく心地のいい島だったのに
もう、大好きな島はーーー
イチカ
イチカ
イチカはあの日以来、悪夢に魘されるようになった
10歳のイチカにとって、あの光景はとてもショッキングなものだった
段々と心が冷えきってしまう
しかし、少しばかり温もりもあった
毛布の温かさだけではない
ミホーク
イチカ
イチカ
悪夢で魘される度にミホークがイチカを抱きしめてくれるようになった
ミホークの住居に来てもう半年以上経つ
未だに家族と幼馴染たちの安否は分からない
だけれども、ミホークの温もりがイチカの心を癒してくれた
ミホーク
イチカ
イチカ
ミホーク
後に知ったことだが、彼は海賊だった
しかも、世界一の剣豪の称号を持つ
事実を知った時は流石にイチカも驚いた
が、襲ってきた海賊と職業が同じであっても命の恩人に変わりは無い
イチカは今日もミホークと共に過ごしていくのだ
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
イチカ
ミホーク
ミホーク
しかし、現実は残酷だった
ミホーク
ミホーク
イチカ
ミホーク
イチカ
本当に、現実は残酷だ
生きているって信じてたのに
もうお父さんもお母さんもいない
絶望と悲しみか襲いかかってくる
イチカ
ボロボロと涙が零れてくる
イチカ
ミホーク
静かにミホークはイチカを抱きしめてくれた
ミホーク
ミホーク
ミホーク
イチカ
絶望の中に少しだけ光が見えたように感じた
イチカ
親はもう亡くしてしまったけれど
幼馴染たちは生きているかもしれない
今、幼馴染のシホと姉のシズクが生きていることだけでも救いだった
イチカ
イチカ
イチカもミホークを強く抱き締め返した
ミホークのシャツはイチカの涙で濡れていた
ミホークの暖かい手がイチカの頭を撫でた
イチカは気が済むまで泣き続けていた
イチカ
ミホーク
主
主
主
主