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軽く手を上げるチョンベの前に、焼酎とショットグラスが置かれる

騒がしい店内に、カン、とグラスがぶつかる音が響いた

のそのそと上体だけを起こす

ズキズキと痛む頭に、昨夜酒を浴びるように飲んだ記憶が蘇ってきた

見慣れない天井に家具。一見モーテルのように見える

込み上げてくる吐き気に耐えられず、ベッドから下りてトイレへ向かった

しばらく嘔吐き、気分もマシになってきたところで不可解なことに気付いた

下着ひとつ何も身にまとっていない。

家まで辿り着けずホテルで寝てしまったのには頷けるが、服を脱ぐ余裕なんてなかったはずだ

そう思い直し、鏡に映る自分の姿を捉えた瞬間、思考が停止した

それもそのはずだ。首から肩にかけて、見覚えのない噛み跡や鬱血痕（俗にいうキスマ）がそれはもう顕著についている

酔った勢いで女をナンパしてワンナイトしてしまった

背中に冷たい汗が流れるのを感じた

勝ち金を盗られて逃げられているかもしれない。

そう思うと同時に体は財布を探して動いていた

ベッド脇にあった財布の中身は無事だった

そのとき先まで自分が寝ていたベッドに妙な膨らみを発見する

自分が裸なのだ。彼女もきっと何も着ていないはずだ。さすがに布団を剥ぎ取るのは気が引ける

少し揺すって声をかけてみても起きない

今度は強く揺すってみたが、全く起きる気配がない

首元の痕や腰の痛みから昨夜はどうも盛り上がりすぎたのは予想できる。

加えて、ベッド脇のゴミ箱には使用済みのスキンが大量に捨てられていた

いたたまれなくなり、声高々に宣言して布団をめくる

その先には、 親友＿＿＿＿チョンベが寝ていた

寝ぼけ眼でチョンベがこちらを見やった

その瞳はまだ状況を把握できていない

チョンベが横寝したまま首をちょいちょいと指さした

チョンベが傍にあったスマホを持ち上げたその時

あっ♡、ん…っだめ…ぇ、♡

チョンベのスマホから嬌声と水音が響き渡る

紡ごうとした言葉はチョンベのスマホに映る画面によってそれがかなわなかった

手持ちで撮ったのだろう撮影者こそ映っていなかったが、純白のシーツの上で激しく乱れている男は紛うことなき自分だった

ギフンの手を握っている雄々しい腕もチョンベのものと酷似していた

最低限外に出れる服を着て、ドアノブに手をかける