若井滉斗side
余命があと一ヶ月だと知っても、俺はあまり悲しくならなかった
前だったらきっと、 『涼ちゃんと元貴と離れたくない』 と思ったのかもしれないけど。
でも二人に今俺は必要ないもんね、笑
お医者さん.
お医者さん.
お医者さんはそう言って微笑んだ
無理ですよ
だって仕事してるだけで孤独や悲しみを感じるんだから。
そう思ったけど、お医者さんに伝えることはできなかった
その日は、家に帰って早めに寝た
若井滉斗side
俺は、廊下に立っていた
目の前の扉を開く
藤澤.
若井.
部屋に入るなり、涼ちゃんに明るく笑いかけられた
俺の名前を呼んで。前みたいに
大森.
大森.
俺の後ろから笑顔でそう言ってきたのは元貴だった
俺の名前を呼んで。前に戻ったみたいに。
元貴と涼ちゃんが喋りかけてくれて、俺を会話に入れてくれた
急な変化に驚きながら、俺は安心する
藤澤.
涼ちゃんが呼んでいる
でも、ぼやぼやしてうまく聞き取れない
涼ちゃんの方を見ると、涼ちゃんの輪郭が歪んでいく
俺は気づいた
これは、現実ではないんだと。
若井.
朝。最悪な目覚め。
また、あの夢
元貴と涼ちゃんが前みたいに喋りかけてくれるなんて、あるわけないのに。
だって今俺は、求められてないから
LINEにメッセージが届く
🍏に送られたメッセージは元貴が曲作りに行き詰まっている時に送られる、素っ気ないもの。
『涼ちゃん、若井』
短い個人の名前を呼ぶだけのメッセージ。
そこには確かに俺の名前が入っていて、元貴からちょっと求められている気がしてちょっと嬉しかった
そうまた🍏に送ったのは涼ちゃんだった
今までは二人で元貴の家に行ってきたけれど、最近は一緒に行かない。
一緒に行ったとして、気まずくなるのは目に見えていたから。
無事に元貴の家に着いた
元貴の家の鍵は空いていた
玄関に入る。
玄関に涼ちゃんの靴はまだなくて、元貴が唸っている声が響いている
若井.
俺のみっともなく掠れた声が元貴の家に響く
大森.
元貴の少々間抜けな声が俺の耳に入ってくる
そして廊下を歩く音とともに元貴が姿を現した
大森.
若井.
大森.
元貴が笑いながらそう言う
そんなこと、一人できた俺に言ったことないくせに。
元貴も、俺の前に涼ちゃんなんだ。 涼ちゃんも、俺の前に元貴。
だって、二人は付き合ってるもんね。
自虐的に心の中で呟いた。
その時だった
藤澤.
藤澤.
涼ちゃんの明るい声が頭の中で響く
今、涼ちゃんは確かに言った。
「若井?なんで?」
なんで、ここに、若井がいるのか。 きっとそう言う意味だろう
大森.
藤澤.
大森.
藤澤.
元貴と喋って上機嫌になった涼ちゃんがころころ笑う
そして元貴と一緒にリビングに向かい始める
玄関に棒立ちになっている俺には見向きもせず。
俺に背中を向ける涼ちゃんに、心の中で語りかける
ねぇ、俺がなんでいるのか、本当にわからない?
ねぇ、涼ちゃんはいつから変わっちゃったの?
二人とも、なんで変わっちゃったの?
ねぇ、どうして?
大森.
若井.
元貴がリビングから俺を呼んでいる
今すぐにでも、元貴の家を逃げてしまいたかった、 でも。
元貴がこんな時に限って呼んでしまうから、 逃げ出すことも許されなかった
こんにちは✨
1000いいねありがとうございます😭 感想も沢山きていて、めちゃくちゃ嬉しいです✨
この作品もいいねと感想よろしくお願いします🤲
次は大森さんサイドになります。 実は大森さんも、なんか色々な思いを持っているかも…しれないです
続きを楽しみにしてくれると嬉しいです✨
それではまた!
コメント
4件
うわあああ こういうお話好きすぎます 更新これからも楽しみにしていますね
投稿ありがとうございます! 主様の作品見ると、涙腺がおかしなことになります…😭 若井さん病み少ないので、すごい嬉しいです! これからも楽しみにしてます!