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アナウンス

皆さま本日はお集まりいただきありがとうございます。これより、王子レイ様の御就学記念パーティーを開幕致します!なにかお困りごとがございましたら近くの使用人までお声がけください

アナウンスが流れ、周囲の人々がそれぞれ動き出す。 国王に挨拶しに行く者、料理を嗜む者、参加者同士で会話する者と様々だ。

シャーク

(主人公は…あそこか)

念のため位置を把握しながら、目立たぬよう周りに合わせて参加者に紛れる。 人込みでよく見えないが、今回は誰が来ているのだろうか。

シャーク

(…いや、関わんなきゃいいだけの話だ)

緊張で早まる鼓動を抑えながら、姿勢だけは崩さぬように主人公とは逆方向へ歩みを進めた。

ちらりと時計を覗けば丁度パーティーが始まってから30分とちょっと。 意外にもシャークに話しかけに来る貴族は多く、対応しているうちに主人公が一人になる時間になってしまった。

シャーク

(主人公は、、ん?)

主人公レイとその母親はこの辺りの地域では珍しい黒髪だから、人混みだろうがすぐに見つけることが出来る。 見つけることは出来たのだが、何故か人気のない部屋の角っこであの五人ではない、別の誰か二人に囲まれていた。

シャーク

(キャラデザ的にモブっぽい雰囲気だが…あんまいい雰囲気じゃ無さそうだな……)

シャーク

(言い合ってる…?いや一方的に言われてんのか?)

関わっても良い事は無い。 むしろ俺のフラグが進んでしまう可能性がある。 そんな事分かっている。 分かっているがどうしても気になってしまい、少し急ぎ足で主人公の元へ向かった。

モブ

お前まだこの国に居んのかよw早く帰れよ~w

モブ

ちょ、かわいそうだろ〜あんな何も無い国に居たら治ったもんも再発しちまうw

モブ

どんな場所だよwやっば!

ゲラゲラと下品な笑い声を上げて、主人公と恐らくホンニチをバカにしている同年代の貴族のガキ二人。 仲裁に入りたいと思うものの、過去に自分がやったことを思い出してしまい今更助けたって、と足が止まってしまう。

モブ

は?何シカトしてんだよ。お前王子だからって色々甘えすぎだろ

モブ

うわ泣きだしたんだけど、きっしょ!

主人公(テンマ・レイ)

ッ、、、

シャーク

(こんなイベント、ゲームには無かった…!)

ぎゅっと手を握りしめ目を瞑って俯く主人公。 もしかしたら俺がちょっかいを掛けなかったせいでモブが追加されてしまったのかもしれない。この後の好感度イベントのために。

モブ

おい、なんとか言ったらどうだよ!!!

反抗してこないからイライラしてんのか調子に乗ってんのかは知らないが、一人が主人公に掴みかかってこぶしを振り上げる。

シャーク

ッ、やめろよ!!!!

そのこぶしが主人公の腹に当たる寸前、ぎりぎりでガシッと一人の腕をつかむ。

モブ

っは、てめなに……あ?

モブ

んで邪魔すんだよシャーク、テメェもやってたことだろ。

そう言われてしまえば何も言い返せない。 確かに、俺だってこれぐらい……いやこれ以上のことをやっていた。 でも。

「シャーク様は変わられました。」

シャーク

うるせえ、俺はもうしねえって決めたんだよ。これ以上突っかかってくんなら次はお前らだからな?

ぎちぎちと腕を握りつぶす勢いで絞めて脅せばチッと舌打ちをし、俺の腕を振り払って去っていく二人。

シャーク

……………はあ

仮にもこの国の王子なのに、こんなにも下に見られてるのはきっと俺のせい。 誰かがやってるから、そんな気持ちを皆もっているから王子だろうが何だろうがこんな仕打ちが出来るのだ。

主人公(テンマ・レイ)

ご、め……あ、ありがと、、

シャーク

別に、お前に礼言われるような立場じゃねえからいいよ。

さっきの馬鹿どもと、昔の俺…いや俺が憑依する前のシャークにイラついて口調が荒くなる。

主人公(テンマ・レイ)

どうして……たすけ、てくれっ、たの?

震える手と声、目からは未だ涙が零れ落ちていて、今にも膝から崩れ落ちそうだ。 なんでわざわざ、俺に話しかけてんだこの王子。どこまでお人好しなんだよ……まあ、恋愛ゲーってそんなもんか?

シャーク

………まあ色々あっ、

ッレイ!!!!!!!!

ハンカチでも渡そうかと考えていたその時、後ろからかなりの声量の怒声が飛んできた。 ハッと気づいた時にはもう遅い。

シャーク

(そうだ。このイベントは五人がいじめっ子からレイを救う……)

テメエ、シャークだろ。噂は聞いてるぞ、レイから離れろよ。

普段より何倍も低いトーンで、明らかに怒っているのが伝わってくる。 怖い、怖い、こわい。 思考が恐怖に乗っ取られそうになるのをなんとか阻止して、声のする方に振り向いた。 そこに立っていたのは片目が隠れた茶髪に水色目の貴族…Nakamuだ。 最悪、40%引くとかツイてなさすぎる。

シャーク

いやっちが…

レイは普段とは違う様子のNakamuに怯えて、いっそう震えている。 レイからの援軍は期待できないし、しちゃいけない。俺は、おれ、は。

Nakamu

ごめんねレイ、俺が君の傍を離れたばっかりに……まさか一人になった僅かな時間を縫ってまでいじめに来る最低なヤツが居るとは思って無くて。

言葉に一切の温度が無い。 物語が好きな彼は、喋るのも好きだ。 だからセリフが人一倍多くて……どのキャラよりも言葉のナイフが鋭い。

こんなの、助けた俺がバカみたいじゃんか。 どんな理由があったって、コイツが…シャークが過去に何をしてたって"俺"には関係ないのに。 困っているなら助けてあげたいだろ。俺だって人間なんだから。 くそ、くそ、くそくそくそ

シャーク

ッ…………!!

Nakamu

っあ、おい待て!!!

涙が目から落ちる前に、全速力でその場を逃げ出した。

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