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名探偵(仮)古瀬明莉の事件簿

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名探偵(仮)古瀬明莉の事件簿

1 - 〜消えたプリンと屋上の女〜

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2025年07月17日

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古瀬 明莉

しょうへいくん、事件よ!!

事務所のドアを勢いよく開けたのは、探偵・古瀬明莉。

ポニーテールを揺らしながら、カバンを放り投げ、デスクに突進してきた。

井倉 渉平

…またコンビニでプリンが消えたとか、そういう事件ですか?

助手の井倉渉平は書類に目を通しながら、慣れたように冷静に言った。

古瀬 明莉

違うわよ。今回はガチの事件!とある高校の屋根で“幽霊が出る”って話!

井倉 渉平

幽霊…?

古瀬 明莉

そう!しかもその幽霊、“プリンが好きだった女生徒の霊”なんだって!

井倉 渉平

やっぱプリン絡んでるんじゃないですか

明莉と渉平は、依頼主である女子高生・上澤真帆に案内され、問題の高校へと向かった。

上澤 真帆

夜になると、屋上の柵の向こう側に女の子が立ってて…それで、泣いてるんです。“プリンが…プリンが…”って…

古瀬 明莉

その幽霊、わたしと気が合いそうね…

と明莉。

井倉 渉平

やめてください。あんまり感情移入しないでください

調査は夜に行われた。校舎の裏口からこっそり入り、屋上へと向かう。

古瀬 明莉

うう…怖いねぇ、しょうへいくん…ほら、手、握っていい?

井倉 渉平

いやです

風が吹き抜ける屋上。明莉が懐中電灯を照らすと、柵の向こうに確かに誰かの影が──

古瀬 明莉

し、しょうへいくん…あれ…

その時、影がこちらを振り向いた。

古瀬 明莉

うわあああああああ!!

明莉が叫んで後ずさり、渉平に突っ込んで二人で盛大に転んだ。

井倉 渉平

落ち着いてくださいってば!あれ、生きてますよ!

結果から言うと、幽霊の正体は生徒会長の山宮さんだった。

彼女は、亡くなった親友が好きだったプリンを毎晩供えに来ていたのだ。

山宮 久美

友達、病気で入院してて…卒業前に一緒にプリン食べようって約束してたんです…

古瀬 明莉

…そっか。だから、“プリンが”って…

明莉はそっとポケットから、自分の買い置きのプリンを差し出した。

古瀬 明莉

これ、よかったら一緒に食べない?

その夜、明莉・渉平・上澤・山宮の4人は、屋上で静かにプリンを食べた。

井倉 渉平

明莉さん、なんで事件の真相わかったんですか?

古瀬 明莉

ふふん、女の勘よ!

井倉 渉平

絶対ちがうでしょ

古瀬 明莉

プリンの匂いがしたのよ!そこに気づけるかが名探偵かどうかの分かれ目なの!

井倉 渉平

いや、名探偵だったらまず霊だって思わないでしょ…

古瀬 明莉

なにそれ、ひどい!じゃあ、しょうへいくんがやればいいじゃない!

井倉 渉平

じゃあ助手の交代を希望します

古瀬 明莉

やーだー!絶対やだー!!

月夜の屋上で、プリンの甘い匂いが優しく香った。

それは、ちょっとヘンテコな探偵と助手の、小さな優しい事件の結末だった。

名探偵(仮)古瀬明莉の事件簿

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