若井
大森
ぼくはモゾモゾと若いの腕の中から顔を出して、上に目線をあげると、顔を真っ赤にした若井と目が合った。
大森
若井
少しだけ気まずそうにそう言う若井。
そんな若井の言葉に、きっと今、ぼくの顔は若井に負けないくらい真っ赤に染まっているだろう。 緊張しているのか、ぼくを抱きしめる腕に力が籠り、ピッタリとくっついた身体から若井のドキドキが伝わってきて、愛おしい気持ちでいっぱいになる。
若井
嬉しくて、嬉しくて、言葉に詰まる。 こういう時、なんて返したらいいんだろう。 自分の人生でこんな幸せな事が起きるなんて思いもしてなかったから言葉がなにも出てこない。
普通に、よろしくお願いします...?
いや、違うな。 若井はぼくを幸せにするって言ってくれてるけど、ぼくだって若井を幸せにしたい。
だから...
大森
大森
こんな小っ恥ずかしい台詞、本当なら穴があったら隠れたくなるくらいなのに、隠れずにいるのは、きっと目の前の若井が泣いているから。
大森
若井
子供みたいに泣いてる若井を見て、笑うぼく。 さっき、ぼくも散々泣いてしまったけど、本来なら涙脆さで言ったらぼくより断然若井で、泣いてる若井を見て、ぼくが笑うと言うのがいつもの二人。 なんだか、久しぶりにいつもの二人になれた気がして、泣いてる若井をからかいつつも、ぼくも嬉しくて、幸せで泣きそうになった。
そしてぼくは、今、やっと自分がSubな事を受け入れる事が出来た気がする。 ダイナミクスなんてものがなかったらこんな遠回りする事もなかったかもしれないけど、もしかしたらダイナミクスがなかったら、自分の若井への想いに気付くこともなかったかもしれない。 良くも悪くもダイナミクスがぼく達を繋いでくれて、この幸せを手に入れる事が出来たのだと思うから。
恥ずかしくて中々言葉にする事は出来ないかもしれないけど、今は何にも囚われずに伝える事が出来るこの言葉を噛み締めようと思う。
若井、大好きだよ。
END