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ちぐはぐだらけの君と

第3話 - 珍しい

2025年04月25日

#あんさん腐るスターズ！

#つむ宗

古野

つむぎ

───あれっ？

つむぎ

もしかして……宗くんですか？

宗

ぎょっ！？

宗

───何故ここにいるのかね、青葉！？

つむぎ

こっちの台詞ですよ〜！珍しい……

つむぎ

まさか、夏祭りでばったり会うなんて……

つむぎ

宗くん、こういうところ苦手じゃありませんでした？
一体どうしたんです？

宗

用事を頼まれてしまってね。……本当は今すぐにでも帰りたいのだけれど。

つむぎ

ご用事、ですか？

宗

ああ。つい先程ね。

宗

『シュウ、霊感に溢れて動けないおれの為に軽食もってきて！』
……と。

つむぎ

あはは……月永くんですか。仲良しですね〜。

つむぎ

でも『軽食』だけならお祭りで買わなくてもよくありません？

宗

どうやら、祭囃子から霊感を得たようでね。
夏祭りの空気を感じたいのだと。

つむぎ

そうだったんですね。じゃあ、お祭りの軽食と言うと……

つむぎ

そうだ、ベビーカステラとかどうですか？
丁度つまみやすいサイズですし。

つむぎ

あっちに行くと、フライドポテトの屋台とかもありますよ〜。

つむぎ

あと、定番の焼きそばも向こうにありますけど……焼きそばって『軽食』とは違うような。

宗

……随分詳しいんだね。

つむぎ

俺、今回このお祭りのボランティアしてて。

つむぎ

お手伝いで屋台を転々としているうちに、
屋台の場所は自然と覚えたんですよ〜。

宗

はぁ……また自分を安売りして。見返りは？

つむぎ

へっ？特にないですよ、ボランティアですから。

つむぎ

あぁ……でも。お手伝いが終わると、屋台のひとからお礼としてなにか貰えたりしますね。

宗

ああ。その結果の、その両手の荷物か。

つむぎ

あはは、そうなんですよ。有難いことに、俺がアイドルだって知ってるひとも居て。

つむぎ

『ユニット』のみんなで食べて、って三人分貰っちゃったり……

宗

フン、毎回三人分貰っていては腕が足りないだろう。

つむぎ

それはそうなんですけど。折角いただいたものですし

つむぎ

誰かにあげちゃうのも申し訳ないので、

つむぎ

ボランティア活動中はどこか邪魔にならない場所に置かせてもらってますよ。

宗

そう。根本的な解決にはなっていないけれど、好きにしたまえ。

宗

……というか君、こんな所で立ち話をしていて大丈夫なのかね。

つむぎ

大丈夫ですよ〜。
今は休憩時間なので、また時間になったら持ち場につきますけど。

宗

……寮にはいつ頃帰るんだい？

つむぎ

えっ？そうですね〜……

つむぎ

ボランティアは八時半頃に解散予定なので、大体九時頃でしょうか

つむぎ

急にそんなこと聞くなんて珍しいですね。
どうしたんです？

宗

別に、僕はどうとも思っていないけれど。

宗

時間によっては、小僧もチビすけも晩御飯を済ませた後かもしれない……と思ってね。

つむぎ

あっ、そうですね……！
すっかり失念してました。今のうちに連絡しておきましょうか。

宗

いや、いいよ。僕が伝えておこう。

つむぎ

ホントですか？助かります……！

宗

その荷物じゃあスマホを取り出すのにも一苦労だろう。

宗

月永に軽食を与えるついでに言っておくよ。

つむぎ

わあっ、ありがとうございます……！

つむぎ

宗くん、最近わりと誰にでも優しいですよね。昔よりずっと。

宗

何を言うのかね。僕はずっと慈愛に満ち溢れていただろう。

つむぎ

いや、昔から優しかったのは事実なんですけど。表面化してきたのは最近だなあ、って。

つむぎ

ほら、昔はよく纏ってる空気がぴりぴりしてたといいますか……

つむぎ

最近はそれがあんまり出なくなったな、と思ったんです。

宗

フン、知ったような口をきくね。

つむぎ

実際、知ってるほうだとは思いますよ〜。

つむぎ

そりゃあ……みかくんや仁兎くん、紅郎くんとかには負けますけど。

つむぎ

俺だって、"友達"なんですから。

宗

……何度も言っているけれど、僕は君のことを友だとは思わないよ。

つむぎ

あはは……そうですよね。

宗

…………

宗

君だって、珍しいじゃないか。

つむぎ

へっ？

宗

普段の君なら、そんな事は言わない。

宗

影片や仁兎や……鬼龍には負けるだなんて。

宗

事実だけれど、わざわざソレを口に出すような君ではないだろう？

つむぎ

……ふふ。そうですね〜……

つむぎ

俺も、珍しく……
少し欲張っちゃったんでしょうか。

宗

ああ、そうだね。
……影片たちと並ぼうだなんて、欲張りにも程があるのだよ。

つむぎ

ふふ。……すみませんね、急に。
なんだか少しだけ、悔しくなっちゃって。

宗

君の辞書に"悔しい"なんてあったんだね。

つむぎ

うーん……そんなに理解してる訳じゃないんですけど。

つむぎ

たぶん、"悔しい"で合ってると思います。

宗

つくづく薄い奴だね、君は。

つむぎ

あはは……

つむぎ

……あっ、すみません。
俺、そろそろお手伝いに戻らないと……！

宗

ああ、行っておいで。
僕もその間にさっさと軽食を買って帰るよ。

つむぎ

はーい！あ、夏目くんと宙くんによろしくお願いしますね〜。

つむぎ

じゃあ、また明日〜！

宗

うむ。

宗

───さて、僕も自分の用事を済ませよう。

宗

───ほら、頼まれていた軽食だよ。

レオ

ありがとう！！でも遅いぞっ、何してたんだシュウ！！

宗

君には関係ないだろう。黙って受け取りたまえ

レオ

じゃあ勝手に妄想するからっ！

宗

……好きにしたまえ。

レオ

むむむ……む？

レオ

おーっ、どうしたんだーシュウ？珍しいな！

宗

どうした、とは？

レオ

わははっ。だってシュウ、すっごく嬉しそうなカオしてるぞ！

レオ

いつもギューって難しいカオしてるのに！何があったんだ！？

宗

なッ……君の気の所為だろう！

レオ

いやっ、おれの目は誤魔化せないぞ！気のせいじゃなかった！

宗

何を根拠に……！大体、いい事なんて何一つなかったしね。もうあんな所には行かないよ！

レオ

ほーら、まただ！
そんな事言いながらまたニヤニヤしてるっ！

レオ

本当に何があったんだシュウっ！！

レオ

……はっ！
まさかロマンスか？
ロマンスなのかっ！？

レオ

おおいっ、相手はダレなんだ！シュウっ！！

宗

───ああもうッ！！

宗

断じて！そうでは！
ないのだよ───！！

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古野

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