……「こっちだよ」

目の前で人が倒れる

ブイが倒れる。

Kと組み合っていたブイの首に 赤い花が咲く。

崩れていく。崩れていく。

ありえないありえない

ブイの首に花を咲かせたナイフが

私の方をむく。

少しだけ風で晴れた白い煙幕から 赤く染まった上着が見えてしまう。

嫌だ。嫌だ。嫌だ。

彼の鋭い目が私の目と合う。 殺される。

嫌なほど知ってる。

この理不尽さを。

常人じゃ、目で負えないほどの 人殺し術。

手も出せず殴られる。

腹に激痛が走る。

痛い

痛い痛い痛い痛い痛い

腹部に手を触れれば、、生暖かい液体が手に付着する。

腹に触れると激痛が止まない。

切られている。

切られている、切られている

痛い、、苦しい、、死ぬ

怖い。

フォーが崩れていく様を、 俺は見ることしか出来ない。

有り得てはいけない。

何度も訓練で見てきた。

理不尽過ぎる。 勝てるわけ、無い。

言葉は帰ってこない

瞬きをすれば、アイツはもう、 俺の腕を貫いていた。

次に目を開けばソイツは もう居なくて。

俺はそのまま目を閉じることしか出来ない。

目が合えば、直ぐに彼は 私に飛び付いてきた。

手には、短剣を持って。

胸元？腹部？どこかを狙ったナイフを、肉に刺さる寸前で 無理やり受け止める。

少しだけ、、、 ナイフへの圧力が弱くなった。

ただ、もちろん力勝負で 維申に勝てるわけなくて

次の瞬間には視界は真っ赤だった。

痛みは無かった。死ぬの？私。

避難誘導を済ませる。

扉の方から聞こえる喘ぎ声を、 聞かないフリして。

誰か、苦しんでる。

助けを求めてる。

それでも、私は、、いけない。

彼から、みんなを救う力はない。

出来ることはただ一つ。

襲撃から10秒？経っただろうか。

白い煙幕から1人の影が現れる。

彼は私を見つけるや否や、

彼と私の周りにいた人間、 全員を無視して

私に掴みかかってくる。

押し倒される形になる。 取っ組み合い、になる。

もちろん、直ぐに私の力が尽きて、、

左腕が、ネジ曲がる感覚がする。

折れては行けない方向へ、、 腕が、関節が悲鳴を上げている。

彼に掴まれてから、、 抵抗できて5秒。そして、腕を折られ、そのまま意識ごと飛ばされる。

こんなチーターに、 勝てるわけ無い。

数日前