美空
……朝だ
日記帳を開かなくなった日から、当然のことながらあの不思議な夢は見ない。
美空
やっぱり日記帳……だよね
ひさしぶりに翔太に会えたことが、余計に翔太への想いを募らせる。
美空
どうしたらいいんだろう……
今日も答えが出ないまま、私は準備をして出ると、いつものように学校へ向かった。
玲奈
おはよ、美空。
玲奈
ってどうしたの、その顔
教室に着くと、玲奈がいつものように声をかけてくれる。
美空
おはよう。……どうしたのって?
玲奈
なんか……辛そうな顔、してるわ
美空
そうかな……
玲奈
そうよ!
普段通りにしているつもりなのに、いつだってこの親友には敵わない。
玲奈
……今日って暇?よければ帰りにお茶いかない?
美空
__うん
ありがとう、と言った私に
玲奈
お礼なんかいいから、さっさと元気になりなさい。
そう言って小さく笑うと、玲奈は自分の席に座った。
玲奈
で、何があったの?
美空
……うん
玲奈
__言いにくいこと?
美空
………
言いにくい、というよりは……どうやったら信じてくれるんだろう、と言う気持ちでいっぱいだった。
もし私が玲奈の立場で同じ話を聞かされたとしたら……好きだった人が好きな人が死んだショックで気が変になったと思うかもしれない。
玲奈
……私、本当は気付いてたの
美空
え……?
唐突に玲奈は言った。
玲奈
美空が翔太のお葬式に行った後からなんか変なの、気付いてたの
美空
玲奈……
玲奈
だからさ、なんだって受け止めるから。
玲奈
この玲奈さんに話してみませんか?
__重い雰囲気を和らげてくれる、玲奈のこういうところに私は何度も救われてきたんだろう。
美空
笑わない……?
玲奈
笑わない
美空
絶対……?
玲奈
絶対
きっぱりと言う玲奈を見て……私は先日から起きている不思議な現象を話し始めた。
玲奈
__つまり、その……過去を夢の中でもう一度体験してるって、こと?
美空
体験してるというよりは……上書きしてる、みたいな感じ……
当時の私が取った行動とは違うことをすると、それが現実世界の思い出にまで影響している。
玲奈
ううーーん……
美空
やっぱり、信じられないよね……
玲奈
違う。
玲奈
美空がこんなことで嘘つかないの私知ってるから。……信じていないって言うんじゃなくって……
少し悩んだ後、遠慮がちに言った。
玲奈
私の覚えているきおくは、美空が言うところの上書きされた状態の記憶だから、今話してくれた変わる前って言うのが正直わからない
美空
そう、だよね……
玲奈
だけど、もし本当に過去が変えかれているのだとしたら……どうしてあの日、美空だけ直接呼ばれたのかがわかる気がする
美空
私だけ……?
玲奈
そう。あの日美空は翔太のお母さんから、直接亡くなったって連絡をもらったのよね?
美空
うん、玲奈もそうじゃないの?
玲奈
私は……深澤辰哉って覚えてるかしら?
玲奈
中学三年の時に一緒のくらすだった。あいつから連絡が入ったの
美空
……深澤君?