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狂月悠羅

えーと、着替えと時計と…

狂月悠羅

筆記用具も準備した方がいいかな?

母親

悠羅〜?

母親

ちゃんと準備してるの〜?

狂月悠羅

今準備してるよ!

母親

明日から演劇団の試験合宿なのよね

母親

頑張ってね

狂月悠羅

うん!

──私の名前は狂月悠羅

狂月 悠羅 クルツキ ユイラ 21歳

明日は、私が入団希望を出している『カメレオン演劇団』の試験合宿

カメレオン演劇団とは、業界ではとても有名な演劇団だ

団員は皆演技力が高く、色んな舞台から出演依頼が来ている

団の中でもトップクラスに演技力が高い人なんかは、テレビ業界のドラマなんかにも出演している

私は、そんなカメレオン演劇団に入りたいと思って応募した

母親

それにしても、有名な演劇団の採用試験で書類審査通過するとは…すごいわね

狂月悠羅

今でも信じられないよ

狂月悠羅

だって、何百人もが書類を送ってる中で十数人くらいしか通ってないみたいだもん

母親

せっかくここまで通ったんだから、試験合宿も頑張ってきなさい

狂月悠羅

もちろん!

私は知らなかった

あの有名な劇団がやっている試験の正体を──

次の日

狂月悠羅

ここが劇団のビル…

私は、郊外の住宅街から少し離れたところにポツンと建っているビルを見上げた

このビルはカメレオン演劇団が所有するビルで、公演舞台、練習舞台、会議室や団員達の寮など、様々な施設がひとつのビルになっていた

この立地と施設のおかげで好きな時間に練習することができ、希望者は寮で暮らすことも出来るので、自宅から通うという移動時間を無くし、その分練習などの時間に当てることが出来る

その上、プロ級の演者たちが後輩達に教育をするので、後輩達もどんどん成長していく…などと、とても恵まれた環境下にあるこのカメレオン演劇団は、演技に興味のある者が憧れる劇団となっている

狂月悠羅

…受かるかな

狂月悠羅

でも、頑張ろう

ビルを見上げながら意気込むと、直後背中に衝撃を感じる

狂月悠羅

……?!

風谷弥莉奈

わっ!

風谷弥莉奈

ご、ごめんなさい!!

後ろを振り返ると、同い年くらいの女性がいた

狂月悠羅

私こそ、ぼーっとしててごめんなさい…

風谷弥莉奈

私も、前見てなくて…

風谷弥莉奈

あなたも最終面接に来たの?

狂月悠羅

うん、そうだけど…

風谷弥莉奈

そうなんだ!

風谷弥莉奈

お互い頑張ろうね!

風谷弥莉奈

私、風谷弥 莉奈!

風谷弥 莉奈 フウヤミ リナ 21歳

狂月悠羅

私は狂月 悠羅、よろしくね

風谷弥莉奈

うん!

風谷弥莉奈

それじゃあ中入ろっか!

狂月悠羅

そうだね

私は莉奈と一緒にビルの中に入っていく

マップを見ながら、集合場所である3階会議室に入る

そこには既に何人かが集まっていた

風谷弥莉奈

わぁ…こんなに人いるんだ…

狂月悠羅

そうだね…

そのうち茶髪のボブヘアーの女性がこちらにやってくる

秋谷陽菜

あなた達も面接に来たんだね!

秋谷陽菜

私、秋谷 陽菜!

秋谷陽菜

よろしくね!

秋谷 陽菜 アキタニ ヒナ 21歳

風谷弥莉奈

よろしくね陽菜ちゃん!

狂月悠羅

よろしく

私と莉奈も自己紹介を済ませた

風谷弥莉奈

にしても、すごいなぁ…

秋谷陽菜

何が?

風谷弥莉奈

だって、カメ劇…カメレオン演劇団と言えば、何百人もが応募するくらい有名な劇団なのに、それが今ここにいる人数…15人ちょいくらいに絞られるなんて…

風谷弥莉奈

それに、まさか私が書類審査通ってここにいるなんてって…

狂月悠羅

それは私も同じ気持ち

秋谷陽菜

私もだよ〜

話をしていると、会議室の扉が開き、茶髪に黄色メッシュの男性が入ってくる

風谷弥莉奈

あれは…!

莉奈含め、部屋中の人が目を見開いたり声を上げて驚いたりしている

何故なら

入ってきた人物は、カメレオン演劇団の団長だったからだ

吹雨希悠穂

皆さんこんにちは

吹雨希悠穂

本日は、カメレオン演劇団の試験合宿にお越しいただき、ありがとうございます

吹雨希悠穂

私(わたくし)、当劇団の団長を務めております、吹雨希悠穂と申します

吹雨希 悠穂 フツウキ ユウホ 26歳

吹雨希悠穂

早速試験内容を発表…したい所なのですが、皆さんはるばるこんな郊外まで来られてお疲れでしょう

吹雨希悠穂

なので、ひとまず皆さんには本日より宿泊頂く寮室までご案内させて頂いて、夕方6時に試験内容を発表させて頂こうと思います

吹雨希悠穂

それまではどうぞご自由な時間をお過ごしください

そして、私達は悠穂団長に一人一人の寮と食堂や浴場などの場所を教えて貰い、自由時間を過ごすことにした

カラカラ…

私は、莉奈と陽菜と一緒に食堂へ向かった

時刻は13時過ぎ

お昼ご飯も食べておらず、お腹が空く頃だ

お腹を空かせているのは他の試験者も同じようで、食堂には列ができていた

秋谷陽菜

あれ?列ができてる

列の先頭に目を向けると、どうやら厨房で誰かが料理を作ったようだった

風谷弥莉奈

料理を配ってる…?

狂月悠羅

誰かが作ったんだろうけど、一体誰が…

話しながら近付いて行くと、厨房側に立っていた長髪の女の人が話しかけてきた

長髪の女性

あなた達もお昼ご飯かな?

秋谷陽菜

あっ…そうです…!

長髪の女性

わかった、そこに並んで待っててね!

そして列に並んでいる人達に食事が配られていき、私達も受け取る順番が回ってくる

お盆を持って配膳を待っていると、ボブヘアーの女の子が皿に入ったカレーをお盆に乗せる

女の子は私より少し下の年齢に感じた

狂月悠羅

(高校生くらいかな…?)

ボブの女子

ごめんなさいねーこんなものしか作れなくて

ボブの女子

お待たせしましたー

狂月悠羅

あぁいえ、こちらこそわざわざ食事をありがとうございます

ボブの女子

後輩になるかもしれない方々なんだから、当然ですよ

ボブの女子

試験頑張ってくださいね

女の子はにこっと笑って言った

狂月悠羅

ありがとうございます

3人とも食事を受け取り、席についてカレーを食べる

狂月悠羅

いただきます

風谷弥莉奈

いただきます

秋谷陽菜

いただきま〜す

秋谷陽菜

さっきのボブの人、私達のこと後輩になるかもしれない人って言ってたね

狂月悠羅

そうだね

秋谷陽菜

ということは、劇団の人なんだなぁ…

風谷弥莉奈

あのボブの人、高校生くらいに見えたんだよね…

狂月悠羅

私もそう見えた

風谷弥莉奈

あの人がいつ入ったのかは知らないけど、学生で劇団に入ろうと思うなんてすごいなぁ…

秋谷陽菜

ほんとにね〜

風谷弥莉奈

そういえば、2人はどうして劇団に応募したの?

狂月悠羅

私は高校の時演劇部に入ってて、またやりたいって思ったからかな

風谷弥莉奈

そうなんだ!

風谷弥莉奈

私も同じだよ!

秋谷陽菜

私はね、小さい頃から劇とかで演技をするのが好きで、将来この劇団に入るんだって決めて練習したりしてたの!

秋谷陽菜

最初は親が劇団に入るのを反対してたんだけど、ずっと練習してたら本気だってわかってくれて、応募する許可をくれたんだ

風谷弥莉奈

そうだったんだ〜

狂月悠羅

それは大変だったね

秋谷陽菜

それと、私考えてたんだけど

秋谷陽菜

試験の内容ってなんなんだろう

風谷弥莉奈

確かに、気になるよね

狂月悠羅

悠穂さんは6時になったら教えてくれるって言ってたけど…

秋谷陽菜

だって、先に教えてくれても良くない?

秋谷陽菜

準備くらいしておきたいし…

風谷弥莉奈

準備…うーん

風谷弥莉奈

もしかしてアドリブが求められる内容だから先に教えておく訳にはいかない…とかかな?

狂月悠羅

あー、それはあるかも

秋谷陽菜

うーん、そうなのかなぁ…

狂月悠羅

まあ、とりあえずは6時まで待つしかないかもね

秋谷陽菜

そっかぁ…

それからは、お互いの過去のことを話したり、趣味嗜好を聞きあったりなど、ゆっくりと過ごした

──夕方6時

悠穂団長の指示通り、試験者は会議室に集まる

吹雨希悠穂

集まって頂き、ありがとうございます

吹雨希悠穂

確認及び点呼のため、皆さんの名前をお呼びします

吹雨希悠穂

名前を呼ばれたら返事をしてください

吹雨希悠穂

累城紘希さん

累城紘希

はい

累城 紘希 ルイシロ ヒロキ 25歳

吹雨希悠穂

渡畑晴輝さん

渡畑晴輝

はい

渡畑 晴輝 ワタハタ ハルキ 24歳

吹雨希悠穂

村宮友花さん

村宮友花

は、はい!

村宮 友花 ムラミヤ ユウカ 22歳

吹雨希悠穂

風望亜朱花さん

風望亜朱花

はい

風望 亜朱花 フウミ アスカ 22歳

吹雨希悠穂

蓮川奏太さん

蓮川奏太

はい!

蓮川 奏太 ハスカワ ソウタ 22歳

吹雨希悠穂

清本祐穂さん

清本祐穂

はい

清本 祐穂 キヨモト ユウホ 22歳

吹雨希悠穂

雨葉由乃さん

雨葉由乃

はい…!

雨葉 由乃 アマタニ ユノ 16歳

狂月悠羅

…?

狂月悠羅

(あの子、なんか見たことがあるような…)

吹雨希悠穂

雨夜深梨沙さん

雨夜深梨沙

はい

雨夜深 梨沙 アメヤミ リサ 18歳

吹雨希悠穂

瑠雨希柚希さん

瑠雨希柚希

はい…!

瑠雨希 柚希 ルウキ ユズキ 20歳

吹雨希悠穂

羽皇裕太さん

羽皇裕太

はい!

羽皇 裕太 ハネカミ ユウタ 20歳

吹雨希悠穂

神谷健斗さん

神谷健斗

はい

神谷 健斗 カミヤ ケント 20歳

吹雨希悠穂

或那舞婪さん

或那舞婪

はい

或那 舞婪 アルナ マイラ 21歳

吹雨希悠穂

鏡狂悠斗さん

鏡狂悠斗

はい

鏡狂 悠斗 ミキョウ ユイト 21歳

吹雨希悠穂

秋谷陽菜さん

秋谷陽菜

はい

秋谷 陽菜 アキタニ ヒナ 21歳

吹雨希悠穂

狂月悠羅さん

狂月悠羅

はい

狂月 悠羅 クルツキ ユイラ 21歳

吹雨希悠穂

風谷弥莉奈さん

風谷弥莉奈

はい

風谷弥 莉奈 フウヤミ リナ 21歳

吹雨希悠穂

伊藤優樹さん

伊藤優樹

はい

伊藤 優樹 イトウ ユウキ 22歳

吹雨希悠穂

以上17名が、本試験の対象者です

吹雨希悠穂

皆さんの中に、名前が呼ばれていない人はいますか?

沈黙が流れた

否定の意だ

吹雨希悠穂

ご協力ありがとうございます

吹雨希悠穂

では試験の内容を発表します

吹雨希悠穂

皆さんに行っていただく試験は──

吹雨希悠穂

吹雨希悠穂

命をかけた人狼ゲームです

累城紘希

…は?

その場の全員が驚きの様子を見せる

或那舞婪

ど、どういうことですか?

或那舞婪

命をかけた人狼ゲームって…

吹雨希悠穂

そのままの意味ですが?

吹雨希悠穂

皆さんには今から、実際に命をかけた人狼ゲームをしていただくのです

吹雨希悠穂

処刑や襲撃では死亡し、ゲームに負ければ不採用…

吹雨希悠穂

人狼陣営なら欺いて、村人陣営なら演技を見破って、生き残る試験です

吹雨希悠穂

どうです?

吹雨希悠穂

これほど演技力が試される試験はないでしょう?

団長はにっこりと笑って語りかける

雨葉由乃

ふ、ふざけないで…!

雨葉由乃

わた、私…家族に応援してもらってここにいるのに…

雨葉由乃

生き残らなきゃ採用されないって…

雨葉由乃

人の命をなんだと思ってるんですか!!

由乃は涙を流しながら叫ぶ

そりゃそうだろう

今からデスゲームをすると言われているのに、恐怖を感じない人はいない

鏡狂悠斗

大体、なんでそんな内容の試験をしなきゃならないんだ?

鏡狂悠斗

他に方法は無いのか?

風望亜朱花

そ、そうよ!

風望亜朱花

そもそも、なんでこんなに有名な劇団がこんなデスゲームを試験にするのよ!

伊藤優樹

あ、もしかしてこれが団長の演技…?

各々、思ったことを口に出していく

恐怖や疑心などが部屋の中を渦巻く

最初団長はその言葉を黙って聞いていたが、全員が口々に発言し、収集がつかなくなると、団長は『はあっ』とため息をついて箱を取り出した

吹雨希悠穂

みんなちょっとうるさいよ

吹雨希悠穂

これ見て

団長は箱から取り出したものを掲げる

光がキラッと反射した

その場の全員が掲げられた物に釘付けになり…息を飲む

なぜなら、掲げられたのは1本のナイフだから

吹雨希悠穂

中には人狼ゲームが本気じゃないと捉えてる人がいるみたいだね

吹雨希悠穂

俺は本気だし、今までこの劇団はこの試験を通った人のみが入団して活躍している

吹雨希悠穂

だから、本気を証明してあげるよ

団長はそう言うと、近くにいた由乃を素早く捉える

雨葉由乃

っ…!!

雨葉由乃

やめて!離して!

吹雨希悠穂

っと…暴れないの

吹雨希悠穂

多分みんな見せしめないとわかってくれないんだよね

団長は呟くとナイフを勢いよく由乃心臓部分に突き刺す

雨葉由乃

ぐっっ……

狂月悠羅

……!

全員、顔が青ざめる

由乃の服はじわじわと赤くなっていく

雨葉由乃

はっ…はっ…

雨葉由乃

ゴホッゴホッ…ガハッ……

由乃は口から赤い液体を吐いた

風谷弥莉奈

きゃあああああああ!!

何人かは悲鳴を上げた

吹雨希悠穂

……

団長は掴んでいた由乃の体を離す

ドサッ

由乃は床でうずくまり、呼吸を荒くしている

吹雨希悠穂

ね?

吹雨希悠穂

俺は、本気だよ

団長は、不気味な笑顔を向けた──

人狼ゲーム〜命懸けの採用試験〜

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お知らせするの忘れてた この作品は“るいの67”のアカウントに投稿されている『人狼ゲーム』と、その続編で本アカウントに投稿されている『脱出ゲーム』のリメイク作品となります。

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