今日は月に一度の日直で、
少し面倒で、
私はなるべくゆっくり支度をして、
でもこの時期、遅刻が成績にひびきそうで
急いで家を飛び出した。
........が、
外は雨。 薄暗闇に包まれて、
今日の自分みたいだった。
玲
あー...うざ...
私はリュックを上に掲げ、
1人、通学路を走った。
私は急いで裏口から学校へはいる。
こんなに急いだし、
雨だし、
日直1人だし、
初めて一番乗りで学校に来たかと思った。
玲
...あれ、
玲
私の下の靴箱、もう上履きないじゃん。
玲
あー...今日こそ1番かと思ったのに
私は先生に頼まれた配布物を取りに行くため、
つい最近、出来上がったばかりの新校舎へと足を踏み入れた。
玲
...音、する...
ピアノの音が聞こえた気がした。
玲
.........誰かいる
小窓から覗き込んでみたら
私のクラスの後ろの席の
空谷 香栄(そらたに かえ)がピアノの前で楽譜に何かを書き込んでいた。
玲
失礼しまーす...
私のことには気づいてないらしい。
玲
こーんにーちはー.........
大きな声を出したのにダメだった。
玲
...は?聞こえてんだろ、お前、
玲
返事くらいしろ
香栄
.........うるせー
香栄
今ピアノ弾いてんだよ。考えればわかるよな
玲
...今弾いてねぇじゃん。
香栄
...つか、お前口悪。
香栄
クラスではもっと大人しめキャラじゃなかった?
玲
そっちこそうるせぇな
玲
私にも色々あんだよ!
香栄
あっそ。
どうにもこいつとは気が合わないらしい。
私は気分を悪くしたのでそのまま教室を出ていこうかと思った。
が、ふと止まって香栄に話しかけた。
玲
...ピアノ弾いてよ
香栄
はぁ?
玲
聞きたい。
下手くそだなって下に見てやりたかった。
まぁ、私はピアノ弾けないけど
なんなら音楽の成績2で
これ以上落ちたらやばいくらい。
香栄
...いきなりなんだよ
香栄
んな事言われても弾かねぇ。
玲
じゃあ、弾いて欲しいです。お願いします。(棒)
玲
...これでどう?
香栄
...可愛くねぇやつ
玲
は、別に可愛くなろうとなんてしてねぇよ
香栄
じゃあなんで教室にいる時はいつも優等生ぶってんだ?音楽成績2のくせに
玲
...はあ!?なんでお前が知ってんだよ!この地獄耳!!!!!
玲
じゃあお前はなんなんだよ!
香栄
...教えない
玲
あー、1なんだ〜?(笑)
玲
ピアノ弾いてくれないとみんなに言いふらすけど〜(笑)
香栄
はぁ?1じゃねぇし、だから洩らされてもなんの問題もねぇ
玲
...お前こそ可愛くねぇな。
香栄
男に可愛さ求めてんじゃねぇよ。
玲
ま、どーでもいいけど。
玲
毎週水曜にここ来るから。
玲
絶対にここにいてよ
玲
聞かせてくれるまで粘る。
玲
今日のところはこれで
玲
日直なんで。
香栄
おー早くどっか行け
香栄
頑張れ。雑用係
玲
黙れ、ガキ
香栄
お前に言われたかねぇわ
玲
また後でね♡
玲
今度は優等生の私として会うことになるわね♡
香栄
...気持ち悪...
玲
んじゃ、この私と会うのは次の水曜ね。
玲
さよならー
香栄
.........なんだアイツ