TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
じゃじゃ馬奥様 只今 気楽に脱走中

一覧ページ

「じゃじゃ馬奥様 只今 気楽に脱走中」のメインビジュアル

じゃじゃ馬奥様 只今 気楽に脱走中

3 - 弐話目「妻としての」

♥

133

2025年02月09日

シェアするシェアする
報告する

弐話目「妻としての」

千暁

ねぇ〜、なんで今日はいつもより派手なの?

小袖の紫色に染められた和と洋の入り交じった様な ドレスの裾を握ってくるくるまわる

髪は珍しく丁寧に結い上げており 絹よりも美しい髪を結うのは女中も苦戦しただろう

今日はより、千暁の人離れした 容姿がよく映える姿だ

千暁

それにあそこに置いてる箱はなに?

千暁が指を指して示すのは 大体女の掌と同じ程度の大きさ程度の紫色の布が貼られた箱

そう聞いた千暁に対し、女中は少し呆れた表情をする

女中

千暁様、本日のご予定はお忘れで?

千暁

予定...?

千暁

.........華扇と一緒に行動する?

女中

まぁ......そうですね

女中

本日は他の有力者の方々との集まり...

女中

つまり合戦があるのです

千暁

え、何て?

説明しよう

女中の言う合戦とは有力な華族の集いのこと

情報、人脈、信頼、実力 その全てが完璧に揃っていなければすぐにでも蹴落とされてしまい 返り咲く事はほぼ不可能

そんな世界で生き残るためには こう言った社交界である集まりに参加するのは 必要不可欠なのである

一般よりそれなりに裕福ではあるがそれでも 庶民出身の千暁は こういった知識は無いに等しい

なのでこう女中が意気込むのも頷けるのだ

女中

さ、千暁様

女中

お化粧をしますので御顔を此方に

千暁

え、良いの……?

千暁

見た人全員私の輝きで目潰れちゃうよ…?

女中

静かにして下さい、眉毛全剃りしますよ

千暁

はい

千暁

おぉ…

千暁

余りにも母さん……

鏡で色々な角度から自分を見ながら 呟く

千暁

ドレスに対してちょっと地味じゃない?

女中

もう少し派手にしても良かったのですがね

女中

やはり公の場なので慎ましやかな雰囲気をと……

千暁

なるほどね〜

女中

あ、千暁様

女中

少々あの仕切りの所に隠れていて下さい

少し声を密め口角を上げながら 千暁一人程度ならば隠れられるスペースを指さす

千暁

え、あ、わかった

千暁が隠れたのを確認した後 女中は立ち上がって 襖を勢いよく開く

すると、聞き耳を立てていたであろう 千暁の夫である華扇が開けられた衝撃で倒れこんできた

華扇

あ痛ッ

女中

坊ちゃん、千暁様のご準備は終了致しました

女中

入るなら堂々として下さい

女中

もう19の男性です、跡継ぎとしての自覚も……

華扇

わかってますよ…

華扇

……ところで千暁は?

女中

ふむ、……

女中

千暁様、出てきて下さっても大丈夫ですよ

千暁

はぁい

女中の声に反応して千暁がひょこりと出てくる

すると、華扇が稲妻に撃たれたような表情になった

華扇

きゃっ……

華扇

きゃわわぁぁ〜っ♡

華扇

おめかししたの〜?可愛い……すっごくすっごく似合ってるよ!!!

千暁

でしょ〜っ

千暁

(…あ)

女中

ドヤァ…

千暁

(わぁ〜、すっごい自慢げな御顔〜)

女中

こほん、

女中

ではお二人共、そろそろ会場に行きましょう

華扇

…あと数刻

女中

華扇様???

華扇

……はい

夫婦揃って女中には勝てないのである

千暁

広ーい

女中

千暁様

千暁

はい、すみません

女中の一声ですぐに大人しくなり 口を少し噤む

広い洋館の様な建物は千暁にとってはあまり馴染みがなく 目をキラキラさせながら辺りを見る

因みに華扇は他の人達に呼ばれて千暁と女中とは別行動中。 ちなみに離れる時は歯を 食いしばり悔し涙を流していたそうな

千暁

あっ

千暁

彩楓ちゃん!

彩楓

!千暁ちゃんっ

女中

千暁様…大声はおやめ下さい……

彩楓

わぁ...すっごく綺麗...

千暁

ふふん、ありがと

千暁

彩楓ちゃんも来てたんだ

彩楓

えぇ、叔母様に連れられて

彩楓

千暁ちゃんは…旦那様?

千暁

うん、さっきあっちの方の方に行っちゃったけどね

千暁と仲良さげに話すこの少女の名前は 紅 彩楓

縫製を生業にしている叔母の手伝いをしており、 お転婆な性格とは裏腹に和歌などが得意な

千暁と仲良くなるべくしてなったというべきな女の子だ

女中

千暁様、ご挨拶に向かいますよ

千暁

挨拶?誰に?

女中

他のお家の方々ですよ、

女中

千暁様は所謂跡継ぎの妻……

女中

ここで関係を作らずとして一体いつ作るのですか

千暁

流石は合戦...てこと?

女中

そうです

女中

では、御家よりも上位にたっている方々に挨拶回りをしに行きましょうか

女中は千暁の後ろの方に回りこみ、 千暁に行く方向を伝えながら着いて歩く

キョロキョロと辺りを見ると 千暁は少し表情を明るくしてある人物の方に向かう

しかし女中が軽く咳払いをした為 ゆったりとした動きに速度を落として ドレスの裾を掴みお辞儀をする

千暁

ん‪”‬ンっ……

千暁

朝月天鞠お嬢様、お久しゅうございます

千暁

本日はお日柄もよく......ぇと...

女中

……(千暁様...帰ったら作法のお勉強ですよ...)

天鞠

まぁっ

天鞠

千暁お姉ちゃ...

千暁の挨拶に反応したのは齢10を少し越えたばかりの愛らしい少女

先程名前が出た様に この子の名は朝月天鞠

蝶よ花よと育てられた 名家の生粋のお嬢様

しかし偶に千暁に誘われて一緒に脱走するというお転婆ぶり

総財産的には一条よりも上だが 千暁を「お姉ちゃん」と慕っており

千暁も可愛がっている為仲も良いようだ

???

天鞠様

天鞠

あぁ、そうね

天鞠

一条千暁様、ご機嫌麗しゅうございます

天鞠

......ふっ

天鞠

あははっ笑

数秒の沈黙の後 天鞠が軽く吹き出した

そしてそれにつられてなのか 千暁もケラケラと笑いだした

千暁

あっは〜笑

千暁

んもー、天鞠ちゃん笑わないでよ〜っ

天鞠

だって千暁お姉ちゃんに敬語使われるの慣れないんだもの〜っ

女中

......

???

......

千暁

ひゅぉぇ...

女中とほか一名の冷ややかな目線に気付いた様で 千暁の背筋が一瞬で伸びる

千暁

あーっ、えーと...有栖川さんもこんにちは〜

暁杜

えぇ、どうも

そんな風に何処か冷たい口調で言う男は 有栖川 暁杜

天鞠の幼少期の頃からの護衛で 千暁とは天鞠を連れ出した時に会った程度の顔見知り

千暁からの評価は 「機嫌が悪い時の零慈兄ちゃんを少し冷静にさせたみたい」 とのことだ

暁杜

天鞠様、挨拶回りがまだ...

天鞠

千暁お姉ちゃん、また今度ねっ

千暁

うん、一緒に甘味処に行こうね〜

女中

千暁様???

千暁

あはは〜

千暁

つ、疲れた...

女中

一旦挨拶回りは終了致しましたね

女中

帰ったら整体を致しましょうか

千暁

おねがぁい...

慣れない靴を履いているせいでか 少し靴擦れしている足を少し擦る

千暁

...華扇は?まだ?

女中

他家の方々とのお話し中ですのでまだですね

千暁

...そーなの〜?

女中

そうですよ

女中がそう答えると千暁は少し頬を膨らませて 拗ねた子供の様な表情をする

すると、千暁の視界の端に 綺麗に着飾った令嬢が入ってきた

千暁

...?

令嬢達

ヒソヒソ...

千暁

ねぇ、あの人達さっきから私のこと見てる?

千暁

何でだろ、私が可愛いすぎるから?

女中

...あぁ

女中

あのご令嬢方は華扇様に昔好意を抱いていた方々ですね

千暁

へー...

千暁

あ、挨拶回りをした時合わなかったけど...一条家よりも一応下...ってこと?

女中

えぇ、なのに挨拶をしてこないなんて...一体どう言った神経を...

千暁

まーまー...

一気に険しい表情になり令嬢を睨みつけるで見る女中を宥めながら 令嬢に軽く目をやる

千暁

......

千暁

......どうしよ

千暁

(迷子になっちゃった...)

ドレスの裾を掴んで 立ち尽くしながら辺りを見回す

人の波に押しやられ 始めて見る西洋のものに目を惹かれ

気が付いたらポツンと一人になってしまった

きっと今頃、 女中が冷や汗を垂らしながら探しているだろうと千暁は妄想する

千暁

あの、本館に行くのはどの方向に行けば宜しいのですか?

千暁

(あ、やばい...さっきの令嬢さんだ)

時はもう遅い。この女は 先程千暁を見ていた令嬢の一人だった為 千暁は軽く後悔している

令嬢

......

千暁

......

令嬢

貴方ご出身は?

千暁

あ、下町の方の...

令嬢

...つまり一般家庭と......

千暁

えぇ、そうです

令嬢

......何故こんな品性の欠片も無い醜女が...

険しい表情で令嬢は睨みをきかせ ぽそりと呟く

千暁

(...え?)

千暁

(今の、私に言ったの?)

千暁

(品性の欠片もない?醜女?この私が?)

千暁

(この私が?)

千暁

(私...)

千暁

(神様の最高傑作よ???)

流石は兄達と両親、近所の人など 多くの人から蝶よ花よ天女よと愛されて育った娘

常人には持ちえないとんでもない自己肯定感と鋼の心を持っている

千暁

自己紹介が遅れまして申し訳ありません...

千暁

私、一条千暁ですの

令嬢達

私は-------家の□□と申しますわ

千暁

(-------家...確か貿易業を中心に行っている一族で)

千暁

(一条家ともそれなりに馴染みがある...無下に扱うのは駄目ね)

千暁

(怒られるのは嫌だし)

頭の中で一つ一つ絡んだ糸を解く様に 状況を整理していく

そうすればいつか答えはでる。 そんな父からの教えを実践しながら千暁は考える

千暁

失礼でしたのならば私はこれで...

令嬢

お待ちになって

千暁

...?

令嬢

単刀直入に言いますが、貴方

令嬢

華扇様と離縁なさって下さいまし

千暁

........えぇ???

そう、令嬢が単調な声で千暁の黄色い目を見つめながら告げる

千暁の頭の中には疑問符が漂い 変な汗が流れる

令嬢

貴女に華扇様の正妻としての役目が果たせるとは到底思えません

令嬢

ですのでどうk...((

千暁

ねぇ、貴方何か勘違いしてません?

令嬢

...はぁ?

真剣な表情で千暁が令嬢に言うと 令嬢は少し驚いた表情で声を漏らす

千暁

私と華扇が離縁した場合その空いた正妻の枠は一体誰が...

令嬢

そ、それは私が...!

千暁

え、本気であの癖強男の妻になろうと...!?

令嬢

く、癖強...????

令嬢

な、なにバカな...

千暁

あの人一見真面目そうに見えるけど実際はまっっったく違うよ???

千暁

語尾に♡付いてるし私の友達とバチバチしてるし偶にウザイし

千暁

それに私以外に興味無い

令嬢

そっ、そんな...あの背景に百合の花が咲き乱れてる華扇様が...

千暁

百合は百合でも黒百合ね

令嬢

......そんなに言うならなんで離縁しないのよ貴女

千暁

...............え?

千暁

何でだろ.........

令嬢

えぇ...???

「やめろやめろ、華扇泣くぞ。」 などと言う人も居ない状況下

千暁の中に疑問が芽生えた

ある意味千暁が迷子になったから 良かったのだと思える

令嬢

...相談乗るわよ?

千暁

え、いいの?

千暁

なら一緒に抜け出そうよ

令嬢

このドレスで?

千暁

あー...

千暁

まぁ、どうにかなるでしょ

令嬢

...そうね笑

「ならねぇよ阿呆」と、誰かツッコんでくれ

そんな誰かの願いも届く筈が無く 千暁は令嬢の手を引き会場から脱走する

団結した時の女は恐い恐い...

女中に怒られるのを覚悟しているのか否や...

次回 参話目「息子さんを私に下さい!」 投稿日…未定

おまけ

令嬢と千暁を探している頃の女中さん

女中

ち、千暁様!?何処に......

女中

あの、すみません

女中

10代半ばの白髪金色の目をした初見「あれ、天女かな?」って思う美女を見ておりませんか?

モブ

あ、いえ見てませn((

女中

チッ使えねぇなこのハゲ(左様ですか、お手数をお掛けして申し訳ありません...)

この作品はいかがでしたか?

133

コメント

13

ユーザー

女の団結力は恐いなぁ,‥( )

ユーザー

最後www最後w女中さんwwwウケるwww 令嬢と仲良くなってんのウケる、流石千暁()

ユーザー

使えねぇなこのハゲ好きすぎる

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚