佐古大和
頭を抱えたまま、布団に突っ伏す。
先日、何をとち狂ったのか、女好きを公言する俺は、守若の兄貴に告白してしまった。守若の兄貴が、俺の告白を受けたので、晴れて恋人になった訳だが、実はその日、俺はインフルエンザに罹患しており、高熱から正しい判断ができなくなっていたのだ。そうでなければ、あの悪魔と付き合おうと恐れ多い事を考えもしなかったはずだ。
絶対、久我の兄貴たちは分かった上で、俺に守若の兄貴を押し付けたに違いない。体のいい人身御供として。
そして、野島の兄貴からは
野島翔
謎の励ましと恐怖の現実を突き付けられた。
佐古大和
どうして守若の兄貴は俺の告白を受けたのか分からないが、俺の身の安全の為にも、ここは一刻も早く別れなければならない。
そうとなれば善は急げだ!と、意気揚々と守若の兄貴に話かけようとしたのだが
守若冬史郎
当然の如くパシられた。
やはり面と向かって言うには、俺に荷が重すぎるうぅぅぅ。
佐古大和
悪魔のような守若の兄貴にも弱点はある。それはお酒だ。喧嘩は強いのに、お酒には滅法、弱い兄貴の弱点を利用する。
題して、酒の力を借りて有耶無耶にしちゃえ作戦だ。
しかも、守若の兄貴は下戸の割にお酒が好きだ。飲みに行きましょう、と誘うと即、了承を貰えた。
ただ俺行着けのキャバクラで飲むことは却下され、何故か、守若の兄貴の行着けのバーに行く事になった。
店につくやいなや、いつもの如く、守若の兄貴によるアルハラが始まった。勿論、俺に酒を選ぶ権利など与えられない。
守若冬史郎
俺の前に置かれたカクテルはキス・ミー・クイック。
早くしろというのは、このカクテルの名の通り、早くキスして!と事なのか、それとも早く飲めという事なのか。
うん、きっと後者だ。絶対そうに違いない。守若の兄貴が期待した目で見てるのも頬が赤いのもきっと気のせいだ。見なかった事にするんだ、佐古大和!自分の第6感を信じるんだー!
守若冬史郎
守若の兄貴の詰りを交わしつつ、別れ話を切り出すタイミングを図る。
守若冬史郎
佐古大和
守若冬史郎
そんなこんなで酒はすすんでいくも肝心な別れ話を切り出せずにいる。
なんとか現状を打破できる方法はないか、焦る気持ちを落ち着かせる為に、カクテルに口をつける。
佐古大和
自分の握っているグラスをみると、さっきまで飲んでいた物と違っていた。どうやら、守若の兄貴の酒と間違えて飲んでしまったようだ。
佐古大和
じゃあ、なんで守若の兄貴の顔が赤いんだ?炭酸で酔ったのか?そんな筈はない。ふと、一つの答えが閃く。
佐古大和
俺の言葉に、守若の兄貴の顔が、みるみる赤く染まっていく。
守若冬史郎
どうやら図星だったようだ。キープボトルでグリグリと俺を攻撃してくるが、いつもよりも加減されており、照れ隠しの一環だと分かる。
佐古大和
佐古の胸はぽかぽかとしてる。それは酒のせいなのか、守若の兄貴の意外な一面を見たせいなのか、はたまた、その両方なのかは分からないが、心地よい気持ちのまま、この日は眠りについた。
翌日
佐古大和
結局、冒頭へ戻るのだった。
おわり
あとがき 大抵は何時も対になる話を作るけど、たまには同じ題目で対極の話を書くのも面白いかもって思って書いた話。まあ、厳密には対極ではないけどね。 三日も過ぎてるけど、野田神復活と誕生日祝いを兼ねての、のだかぶを無事にpixivにあげられたので、こっちもこのままにしとくのもなんだから、ついでに仕上げた。 次回は、華太総受けか、シリアスあきたか、辺りを書く予定。どっちを書くかは、その日の気分次第。
コメント
9件
もりさこ…最高!!
最高でした( ́ཫ`)