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正直に言えば、
オレは人を招くのが得意じゃない。
特に、
相手が“国”である場合はなおさらだ。
立場があって、歴史があって、
形式的で丁寧に振る舞って、言葉を選んで、
どう転がっても、裏を考えなきゃいけない。
……だけど。
今回は、少しだけ気が楽だった。
理由は分からない。
考えようとしても、言葉にならない。
警戒すべき相手だということは、ちゃんと理解している。
オスマン帝国。
長い間、刃を向け合ってきた相手。
だったら尚更、警戒しないといけない。
…だけど、とてもじゃないけど"敵"とは思えなかった。
こういった事例は、以前も聞いたことがある。
敵国同士だけど、仲が良いカントリーヒューマンズ同士というのは、
案外、結構な数いる。
オレは、さっきもいったように他人を招くのが得意ではない。
それでも彼を招いたのは、ただ仲良くなりたかったから。
無理に理由を探すほどのことじゃない。
そう、自分に言い聞かせて、
そのまま思考を切り上げた。
オーストリア
香水の棚に、手を伸ばす。
香水は大体全部、オレが調合したものだ。
他国に頼んで輸入してやってるから、ほぼ独学だし、
オレ以外付ける人なんていないけど...
不意に、机を見る。
割れにくいカップや皿なんかを用意して、
テーブルクロスもかけた。
ただ、なんか足りないような...
オーストリア
そういえば、肝心の紅茶を用意してなかった。
危ない危ない。
早く用意しないとな...
茶葉は...何にしようか。
…蜂蜜入りの甘いやつ、アイツ好きそうだな。
そう思ったオレは早速蜂蜜パウダーの入った茶葉を入れ、熱いお湯を注ぐ。
普通の紅茶に直で蜂蜜を入れるとなんか変色するらしいし、
まぁこれで十分だろう。
お茶会の準備が整ったところで、今度はオレの身だしなみだ。
やっぱり、アクセサリーとかも上質なものが良いだろうか。
オーストリア
いつも通り、普段つけているアクセ棚に手を伸ばす。
今日はブレスレットの気分だ。
派手すぎないものを選び、香水棚に再び目を落とす。
会議でつけたものとは違う香水に手を伸ばす。
今日は、こっちの香水のほうがいいだろう。
強すぎず、残りすぎない。
これなら問題ない。
ぱしゅっ、と首元に香水を吹きかけると、薄くはあるがいい香りが漂った。
オーストリア
そして、オレは彼の迎えへ、
約束の場所へと向かうのだった。
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