このお話は、とある男の子の女の子のお話
誰も知りやしない
君と、僕のお話...
僕は、「忌み子」らしい
だから小さい頃から近くの大人に暴力を受けている
生きているのが罪 だから 死ね
という言葉を聞き、その身に余る罰を受けた
僕
(僕は悲しくない...悲しくない...!)
最初はそんなことを思っていたが、こうも毎日暴力を受けているとこの気持ちも消えていった
僕
...僕が生まれた事が悪いんだ...
でも、たまに、優しくしてくれる人がいた
雨上がりに一人で歩いていると女の人が手を繋いで歩いて帰った
けど、優しくなかった
僕に暴力をふっている人達と仲良くお酒を飲んでいた
それを思い出して、手の温かさが一瞬にして消えた
僕
(優しくない優しくない)
でも、僕は知らない
叱られたあとの優しさも、
さっきの本当に優しい手の温もりも本当に知らない
ある日、少女が声をかけてきた
君
ねね、なにやってるの?
僕
.........?
君
君の名前はっ?
君
どこに住んでるの!?
僕
......
君は躊躇わず声をかけてくれた
これが僕たちの出会いだった
僕
......(名前はない...)
僕
(舌もないから喋れない...)
君
君...舌がっ
君はポケットから紙と鉛筆を取り出す
君
ちょっと書いて...
僕
(ご、め、ん、ね)
僕
(ぼ、く、な、ま、え、な、い)
君
...え
君
ご、め......
僕
(あ、や、ま、ら、な、い、で)
僕
(ぼ、く、は、い、み、ご、だ、か、ら)
君
そう...なんだ
これが僕たちの出会いだった
それから僕たちは毎日のように遊んだ
ある日、その「幸せ」は打ち砕かれた
大人達
いたぞっ!!
大人達
捕まえろ!
大人達
こいつは危険だ!!でも傷は付けるなよ!
僕
(な...んで!)
君
逃げて!!私は大丈夫だから
その時、僕は思った
僕
(この世界なんて...なくなってしまえ...)
僕
(君と僕だけの世界があればいいのに...!)
君
もー!遅い!
気づいたら僕は君に手を引かれていた
そして僕たちは夕日の光の中に入った
僕たちは何も知らない
これからどうすればいいのかも、
...君の名も
でも、今は...今だけはこの時間を大切にしたいと思った







