昇降口から見える目の前の景色は、
急な雷雨のせいで
5分前とは全く違っていた。
芽依
夕方に急な大雨って……最悪だ

芽依
うーわ、しかも真っ暗だよ

芽依
これだから雨は嫌だ

仁
どうした?

芽依
あ、仁……

芽依
急な雨だし

芽依
傘持ってないしでさ

芽依
このまま学校にお泊りかな……

仁
泊まるの?

仁
風呂無しはきっついぞ

芽依
冗談を真に受けないでよ

仁
知ってた

芽依
いじわる

芽依
雨なんて最悪だよ

芽依
服は濡れるわ
移動は面倒だわ
お母さんは洗濯物が乾かないギャーギャー言うわ

芽依
イイことなし!

芽依
早くやめ!

仁
何してんの?

芽依
雨ごい

仁
雨呼んでどうすんだよ

芽依
ちがった、雨を止めるやつ

仁
バカだな……うん

芽依
ひどくない!?

仁
いや、俺が悪いんだ

芽依
でしょ?

仁
こんなに芽依がバカって気づいてなかった俺が……

芽依
やかましいわ!

芽依
あーもう……雨はやまないし
仁はうるさいし
役に立たないし

仁
へー……

仁
役に立たない……かぁ

仁
悲しいなあ

芽依
仁くんはとってもいい人です

芽依
ワタシ
サイショカラ
シッテタ

仁
ロボットかよ

仁
現金な奴だ

芽依
現金大好きです

仁
ほんと黙って?

芽依
はーい……

仁
黙ってればかわいいんだから

芽依
は……はい

芽依
これだから雨は嫌だな……

仁
何か言った?

私は首を横に振り、仁の傘に入る。
本当に、これだから雨は嫌だ。
好きな人と同じ場所にいて、
ドキドキしちゃうから。