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もうみんな優しすぎて泣けてくる(´;ω;`) 作品書くの上手すぎません?もう私からすれば神ですよ! 続き楽しみにしてます!
むっちゃ関係ないけど家族がインフル感染して、マスク生活です 鼻づまりなのに…
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 桃様体調不良⚠️ 嘔吐表現注意⚠️ 年齢操作注意⚠️ 兄弟パロ注意⚠️ 関東組虐められ注意⚠️
主
主
主
第14話 熱に揺れる日
部屋で、らんは布団に身を横たえていた。
額には濡れタオル、枕元には転がった体温計。
らん
体は鉛のように重く、喉は焼けつくように痛む。
熱は三十九度を優に超えていた。
昨夜から続く悪寒を「疲れのせい」とごまかしていたが、朝になって制服に手を伸ばした瞬間、胃の奥から突き上げるような吐き気がこみあげる。
らん
らん
白い陶器の縁に手をつき、喉を締め付ける吐き気に逆らえず胃の中のものをすべて吐き出す。
酸味のある液が喉を焼き、鼻の奥まで逆流する。
らん
胃液の酸っぱい匂いと、嗚咽の音が小さな部屋に響いた。
涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになりながら、らんは冷たいタイルに手をつき、肩で息をした。
らん
足に力が入らず、そのまま膝をつく。
――それでも。
らん
掠れた声が喉から漏れる。
長年の習慣だった。
前の家では熱があろうと吐こうと、休むことは許されなかった。
弱音を吐けば怒鳴られ、布団に伏せれば蹴り飛ばされた。
だから無理やり制服を着て、笑って家を出るのが「当たり前」になっていた。
ふらつく体を引きずりながら、らんは制服のシャツを手に取る。
足に力が入らず、壁に肩を預けながら袖に腕を通そうとした――その時。
いるま
不意に低い声が響いた。
ドアの隙間から入ってきたのはいるまだ。
寝癖のついた髪のまま仁王立ちし、険しい目でらんを睨んでいる。
らん
いるま
即答だった。
いるまは近づき、らんの手から制服を乱暴に奪い取る。
いるま
らん
いるま
いるま
らんは口をつぐんだ。
「前の家」では、それが絶対のルールだった。
吐こうが熱を出そうが、長男である自分は休むことを許されない。
そう染みついているから、いるまの言葉がすぐには理解できない。
らん
しぼんだ声で吐き出すと、いるまは一瞬だけ目を細めた。
いるま
短く言い放ち、布団を指差す。
いるま
いるま
らん
らんが呆然とする間に、背後から弾んだ声が飛んできた。
こさめ
顔をひょっこり覗かせたこさめが、笑いながら手を挙げる。
みこと
みことも続いて頷いた。
らん
らんは眉をひそめるが、いるまが低く遮る。
いるま
その一言は、鋭さの中に温かさを孕んでいた。
甘える――自分には許されないと思い込んでいた行為。
その扉を、強引に開かれる。
らん
小さく問うと、いるまは呆れたように鼻を鳴らした。
いるま
いるま
らんの喉が熱で焼ける。
涙が滲み、声にならない嗚咽が胸にこみあげた。
結局全員が学校を休むことになった。
布団の側には水の入ったコップと洗面器が置かれる。
らんが吐き気でうずくまれば、すぐに誰かが背中をさすった。
らん
こさめ
こさめが冷えたタオルを額に乗せながら覗き込む。
らん
みこと
みことが差し出すコップを受け取り、らんは唇を湿らせる。
らん
らん
だがすぐに胃が痙攣するように軋み、洗面器に吐き出す。
透明な水に混じって、先ほど飲んだポカリの甘い匂いが広がる。
らん
いるま
いるま
いるまが短く言い、背中を強く擦る。
手のひらの温もりが、張り詰めていた体を少しだけ緩めた。
なつとすちは、部屋の隅で宿題を広げながらも何度もちらちらと兄を見た。
すち
なつ
なつ
らんは薄く目を閉じ、その声を胸に刻んだ。
守るはずの弟たちに、今こうして支えられている。
苦しいのに、不思議な安堵が胸に広がった。
午後、熱は少し下がったが、らんはうとうとと眠りについた。
夢の中に浮かぶのは、前の家の記憶。
熱でふらつく自分を、容赦なく玄関へ追いやる父の背中。
吐いても休ませてもらえず、罵声と暴力しか返ってこなかった日々。
――けれど。
目を覚ますと、額には冷たいタオル。
隣にはタオルを濡らし、絞るいるまの姿があった。
いるま
らん
反射的に謝ると、いるまは即座に言い返す。
いるま
いるま
らんの喉が震えた。
そんな言葉をかけられたのは、生まれて初めてだった。
夕方、吐き気は落ち着き、みんなが用意したお粥を少しだけ口にした。
らん
思わず零した言葉に、こさめとみことが顔を見合わせて笑う。
みこと
こさめ
こさめ
いるまは黙って見守り、最後に短く言った。
いるま
らんは涙に濡れた瞳で、ゆっくりと頷いた。
もう一人で耐える必要はない――その確信が、熱に浮かされた胸の奥に静かに灯っていた。
第14話・了
主
主
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡150
主
主