かぶちゃんぱにっく

何やかんやあって、小峠の兄貴が幼児化してしまった。

普段の小峠の兄貴からは、想像できないほど、無邪気な笑顔を浮かべ、元気よく挨拶してくる。

小峠の兄貴を怖がらせないよう、俺たちはしゃがみ、目線を合わす。

『た』や『さ』などが発語しにくのか、その発音が含むものは『ち』や『し』になってしまうようだ。

速水と話しているとくいくいとズボンの裾が引っ張られる。

元の性格の片鱗なのか、礼儀正しくペコリと頭を下げる。

幼児化した兄貴は、常に笑顔を浮かべ、ニコニコとしていて可愛い。

確かに可愛いのだが、ただ余りにも可愛い過ぎた。これはヤバ過ぎる。

ここは天羽組事務所。小峠の兄貴は、兄貴たちのお気に入りだ。速水ですら、この調子なのだ。もし、兄貴に見つかればどうなるか、考えただけでも恐ろしい。

兄貴たちに見つかる前に、一刻も早く、小峠の兄貴を連れださなければ、不味い事になると俺の第六感が告げている。

北岡の兄貴が、書類の進捗(しんちょく)状況の確認のために顔を出す。

北岡の兄貴は普段から、小峠の兄貴に対して、並々ならぬ恋心を抱いていている。

流石は、小峠の兄貴マニアの北岡の兄貴、幼児を一瞬で、小峠の兄貴と見抜く。

小峠の兄貴の屈託のない笑顔が、北岡の兄貴のハートを撃ち抜いたようで、北岡の兄貴は、その場に膝をつく。

ただ単に、北岡の兄貴は、小峠の兄貴の可愛いさに身悶えてるだけなんだが、事実を知らない、小峠の兄貴は心配そうに顔を覗きこむ。

余りの可愛いさに、北岡の兄貴がガバッと抱きつく。

これ以上は流石にヤバい！

児ぽで通報される前に、俺は北岡の兄貴の後頭部を殴り、気絶させた。

小さな紅葉のような手が、俺の手を握りかえしてきた。

この幼げな手を俺が守らなければという使命感にかられ、俺は小峠の兄貴を抱え、事務所の外へと駆け出した。

こうして、飯豊とかぶちゃんの愛の逃走劇が始まりをつげた。

そんな愛の逃走劇を続ける二人に、モヒカンと日本刀を持った不審者と子供の皮を被った悪魔の三人の魔の手が迫る！

飯豊は三人から、逃げ切ることは出来るのか？果たして、かぶちゃんの運命はいかに？

次回、飯豊散る

迄うご期待！

嘘で～す。続きませーん。

おわり

あとがき よくエイプリルの日にエア新刊とかしてる人いるから、一度これやって見たかったんだよね。華太は幼児化さすと舌足らずで喋らせたくなるよね。幼児化ネタあと２つあるけど、書くか迷う。 以下は動画の感想。 やっぱり、カシラはそうなるよね。御三家兄貴だとコメント欄荒れるし、小林ニキは、一回死んで生き返らせたのに、また殺したら、殺すなら何故生き返らせたってなるからな。消去法で考えると、カシラしかいないもんな。カシラ(´Д` )酔っ払い華太ちゃん可愛い過ぎた。一瞬で悲しみふっとんだ(←薄情者) ふと気になったんだけど、室屋の顔のあれって、生まれつきの痣？ケロイド？皮膚移植の跡？どれなんやろなって、画像見たら、縫い跡あったわ。変色してる点から、ケロイドからの皮膚移植の可能性が高いよね。抗争中に、顔面焼かれたんかな？ 大抵、皮膚移植は自分の皮膚を使うけど、ヤクザもんやし、背中に墨入ってだろうから、背中からはとれんとなると、尻の皮膚からとるようになるよな。そうなると、お尻もつぎはぎなんかな？とってきた皮膚のところも変色すんのよな、あれって。

おまけ

かぶちゃんの大きな瞳には、今にもこぼれそうな程の大粒の涙が浮かんでいる。

なんとか涙をこぼさまいと必死に耐えている。

飯豊は小林に後ろ手に拘束され、野田によって、首もとにアイスピックを向けられている。

涙を何とか堪えながらも、飯豊を助けたい一心で、かぶちゃんは二人から教えられた言葉をつむぐ。

かぶちゃんが約束を口にしたことで、飯豊の拘束は外された。

飯豊が助かったことで、ついに耐えかねて、かぶちゃんの堤防は決壊し、ギャン泣きを始める。

和中の後ろ手には、小さな紙袋が握られていた。

言い争いを続ける三人。

飯豊の足に、必死にかぶちゃんはしがみつき、大粒の涙を溢している。

余程、怖かったのか、飯豊に紅葉のような手を広げ、抱っこをせがむ。

泣きじゃくるかぶちゃんを泣き止ませようと、飯豊はかぶちゃんを抱き上げたが

こんな役得を兄貴たちが、見逃す訳はなく、この後も不毛な争いは続いた。

そして、その翌日、速水の読み通り、かぶちゃんは、元の小峠華太の姿に戻っていた。

これにて、一件落着かに見えたが、元に戻った華太に、かぶちゃん(かぶちゃんの時の記憶は華太になし)に書かせた婚姻届けを片手に、野田を筆頭に、和中、小林から、身に覚えのない約束をたてに、結婚を迫られるのであった。

おわり